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E p i s o d e . 1
しおりを挟む俺は歌うことが好きだ。
きっかけは小さい頃に隣の大きな家に住んでいたとある1人の男だった。
その男は俺に歌を教えてくれた。
「 菓は声が綺麗だから歌が映えるね。 」
そう言って大きな手で俺の頭を撫でてくれた。
男に歌を教えてもらうこの時間がなにより好きだった。
それから2年が経って俺が小学校に上がる時、男の家は綺麗さっぱりなくなった。
なにも聞かされてない俺は幼いということもあり健気にずっと男が俺を迎えに来てくれると思っていたしずっと待っていた。
しかし男は16年経った今も1度も俺を尋ねる事はなかった。
16年経った今、俺はシンガーソングライターとして専門学校に通いながら芸能事務所に所属し、メジャーデビューの時を待っていた。
「 ...ってのが、俺の初恋 」
「 ぇ、今のが...??どこに初恋要素あったんだよ 」
「 うるさい、仕方なくお前の作詞作りの手伝いしてるんだからなあ? 」
俺が今、悪態を付きながら話しているのは同じ事務所に所属している蒼矢。
俺よりも2年程先に所属しており、もうメジャーデビューしている。
新曲の作詞につまづいたらしく、俺が話を聞いていた。
俺の初恋はあの隣に住んでいた男だ。
健気に男が会いに来るのを待っていた俺は夢が覚める今日まで想い続けていたし彼女だったり彼氏だったりも作らなかった。
夢から覚めた今となっては後悔でしかないが。
「 やっぱり、作詞の事ならプロに頼んだ方がいいのかなあ。 」
「 ...プロ? 」
「 そう、プロ。詩人の事だよ...調べてみようかな 」
ふと、蒼矢がそんな事を言った。蒼矢はいつも自力で全てをこなしてしまうから少し驚いた。
蒼矢はいつも、俺に相談をするもその相談に答えた答えは1度も参考にした事はない。
「 ...詩人。ねえ、 」
あの男も詩を好んで書いていたな、そうぼんやり頭を働かせた
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