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第9話(Another.ver)
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何事かとざわめく車内に、車掌からのアナウンスが流れた。
『お客様に申し上げます。ただいま線路内に人が立入り──』
ため息やら舌打ちやらが、あちらこちらから聞こえてくる。
けれども俺はそれどころじゃない。
だって今、青野とめちゃくちゃ密着しているんだ。
(ヤバい、心臓壊れそう)
でも、ドキドキしているのはどうやら俺だけらしい。
密着した青野からは、特にこれといった反応がうかがえない。
「あ……え、ええと……」
「……」
「悪い」
でも、これは不可抗力だ。わざとじゃないんだ。
つーか後ろのおっさん、早く体勢を立て直してくれ。
このままじゃ、青野とくっついたまま離れられない──
「なるほど」
小さな声が、俺の耳元に届いた。
「やっと……納得できました」
え、なにを?
この状況で、お前は何を納得したの?
訊ねるよりも先に、青野の手がとても丁寧に俺の身体を引き剥がした。
「今まで無視してすみませんでした。一度ちゃんと話をしましょう」
「え……あ、う、うん」
ていうか、やっぱり意識的に無視していたのか。
いや、まあ……そうかなとは思っていたけど。
「早速ですが、今日の放課後はいかがですか?」
「う、うん……それでいい」
「ではラッキーバーガーで。先に店に着いたほうが、席を取るということで」
「……わかった」
そっか、教室まで迎えにくる気はないんだ──なんて言葉を、口に出せるはずもなく。
電車は再び動き出し、青野はまたもや窓の外に目を向けた。
そのあと、俺たちは正門前で「じゃあな」「ええ」と別れるまで一言も口をきかなかった。
『お客様に申し上げます。ただいま線路内に人が立入り──』
ため息やら舌打ちやらが、あちらこちらから聞こえてくる。
けれども俺はそれどころじゃない。
だって今、青野とめちゃくちゃ密着しているんだ。
(ヤバい、心臓壊れそう)
でも、ドキドキしているのはどうやら俺だけらしい。
密着した青野からは、特にこれといった反応がうかがえない。
「あ……え、ええと……」
「……」
「悪い」
でも、これは不可抗力だ。わざとじゃないんだ。
つーか後ろのおっさん、早く体勢を立て直してくれ。
このままじゃ、青野とくっついたまま離れられない──
「なるほど」
小さな声が、俺の耳元に届いた。
「やっと……納得できました」
え、なにを?
この状況で、お前は何を納得したの?
訊ねるよりも先に、青野の手がとても丁寧に俺の身体を引き剥がした。
「今まで無視してすみませんでした。一度ちゃんと話をしましょう」
「え……あ、う、うん」
ていうか、やっぱり意識的に無視していたのか。
いや、まあ……そうかなとは思っていたけど。
「早速ですが、今日の放課後はいかがですか?」
「う、うん……それでいい」
「ではラッキーバーガーで。先に店に着いたほうが、席を取るということで」
「……わかった」
そっか、教室まで迎えにくる気はないんだ──なんて言葉を、口に出せるはずもなく。
電車は再び動き出し、青野はまたもや窓の外に目を向けた。
そのあと、俺たちは正門前で「じゃあな」「ええ」と別れるまで一言も口をきかなかった。
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