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第3話

2・衝撃の事実

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 たっぷり、10秒以上は絶句していたと思う。

「……………………は?」

 なんだって?
 抱かれる側?
 誰が?
 俺が?
 青野に? 抱かれてた?

「はぁぁぁぁっ!?」

 再び飛び出した大声に、さっきよりデカい咳払いが聞こえてきた。
 ごめん、同室の人! けど、こんな大声が出るくらい衝撃的な事実が判明したんだ。

(嘘だろ……こっちの俺)

 喪失していたのは、童貞だけじゃなかったのか?
 まさか、まさかの後ろまで!?

「……なにモゾモゾしてんだよ」
「いや、なんか……急にケツに違和感が……」
「気のせいだ。つーか、そういう生々しいこと言うんじゃねぇ」
「俺だって言いたかねぇよ!」

 なのに、お前が知りたくもなかった事実を突きつけてくるから!
 これじゃ俺、明日以降、青野の顔をまともに見られねぇよ!
 抗議する俺に、親友は「面倒くせーな」とあくびをした。

「べつに会うこともないだろ。お前ら別れたんだし」
「そうだけど……俺もそう思ってたけど、なんかあいつとは縁があるっていうか……今日も校内で二度も出くわしたし」
「は? なんでだよ」

 俺は、昼休みの一件と数時間前の額田とのあれこれを説明した。
 とたんに、八尾が「うわぁ」って顔つきになった。

「お前、よりによって額田に……」
「やっぱヤバイんだ? あいつ」
「ヤバいっつーか、マジでエゲつねぇって言ってたぞ、こっちのお前が」

 八尾いわく、こっちの俺は良くいえば「チャレンジ精神旺盛」、悪くいえば「考えなしのバカ」なので、ちょっとやそっとのめずらしい出来事なら「ああ、面白かった」で終わらせてしまうらしい。

「そのお前が、額田のことだけはずっと避けていたくらいだからな。そりゃ、青野も心配になるだろうよ。なんだかんだいってあいつ、世話焼きだし」
「……なるほど」

 じゃあ、相手が額田じゃなければ助けに来てくれなかったってことか。
 そうだよな、青野にはもうそんなことをする義理がないんだもんな。
 俺ら、もう別れたんだし。
 そっか、そっか……
 うん……

「なに落ち込んでんだよ」
「……っ、落ち込んでなんかいねーよ! それよりさ」

 俺は、さらに声を潜めるためにベッド上に身を乗り出した。

「お前に相談したいことがある」
「なんだよ」
「あのさ、俺……これからどうすればいいと思う?」
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