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【百一話】犬の機転と裏切者
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佐竹視点___
「…深月っ!!!!…ぐっぁ」
右腕を空に伸ばし深月に手を伸ばした…つもりだった。
急に腹に激痛が走る。
「深月は居ねえよ。よかったなあ死ななくて」
「ほんとっスよー?急所外れたから良かったようなものの」
「お前が言うな!お前も動脈やられてたら死んでんだからな」
「そうなっスよねぇーほんと良かったっスよ。痛み堪えて死んだふりしながらシロさんに電話かけたおかげで今の俺たちがあるっス!!」
「すっすすっす、うせぇなぁほんとに…」
横目にシロに目をやるとその後ろ側のベッドに寝転んでるハチがいる。
「……深月は…」
「持ってかれた。追いかけようとしたけど威嚇射撃されてなぁ…お前とハチがやられてるの見えてるから…スマン」
丸椅子に座りながら頭を下げるシロを見てそれ以上問い詰める気は起きなかった。
ハチの出血の量も東堂が俺たちを本気で撃つつもりなのも深月は分かっていた。だから庇うために東堂の元にわざといったんだ。
自分を傷つけるつもりはないと踏んで。
深月が俺を呼ぶ声が耳に残っている…
「シロ」
「分かってる、大丈夫だ。深月の居所も分かってるから」
「まだ、連れ戻せてないのか」
「まぁ、まだ難しいな……」
分かっている。分かってるが…深月を庇えなかった、行かせてしまった自分が許せない。
「いつ退院できるんだ」
「傷がふさがるまでは無理そうだなぁ。2週間は無理だろうよ」
「俺も同じくらいっス。ボスのほうが内蔵やられてるんでもうちょっとかかるかもっスね」
「おっ前は!!いい加減な事をっ」
思わずハチのあけっけらかんと言う声に反射的に声を荒らげてしまった。
さっきまでとは違う真剣な声で、俺の声に被せる。
「悔しくないわけないっスけど。喚いたって落ち込んだって深月ちゃんは帰ってこないっス。俺らに今出来るのは食って寝て少しでも早くここから出る事なんスよ」
「……」
「ま、そゆこった」
シロが立ち上がって俺の頭をペシっと叩き、んじゃまぁ俺はこれで帰るわ。と病室を出ようとした。
「お前一応ハチに感謝しとけ、ハチが必死に俺に電話かけてきたからあの速度でお前らのとこまで行けたし、一応ハチもお前も死にかけだったからな。良く生きてた。とりあえず傷塞ぐところから始めろ。あとはこっちに任せろ。絶対に息の根を止めてやる」
低いドスの聞いた声に空気が一気にピリ付く。
久しぶりに見た黒獅子のその声に思わず身震いしてしまうほど、怒気が含まれていた。
ドアが閉まり、一泊置いて「かっけーっス!」と興奮したように叫ぶハチを横目に、目を閉じる。
ハチの言う通りだ。
怪我人の俺が焦って動いたとしても周りに迷惑をかけるだけで、足手まといだ。
あの首輪は特殊な金属で出来ていて、外し方を知らないと物騒な言い方をすれば、首を切り落とさない限り取れない。
取らない限り深月の生死も居場所もこちらに筒抜けだ。
大丈夫。深月を取り戻せる。
「ハチ」
「はいはい」
「ありがとな。良くやった」
「へへっ、あざっス」
「あと、今すぐタマを呼べ」
「へ?」
「俺にできる、事をする」
「え、でも今組長さんが後は任せろって」
ドアを指さしながら俺を見るハチに
「……ユダがいる」
「うそん、マジっスかぁ」
前日に決まった花見。
行く場所も『公園』ということ以外は基本決めていなかった。
出かける時間も前日に決めた。
行った公園には一般人が来なかった。
あの場所でシートを広げたのは偶然だ。
なのに、狙撃が出来た。
田辺がそれをかぎつけることが出来るわけがない。
しかも東堂が出てきている。
裏切り者が、確実にいる___
「…深月っ!!!!…ぐっぁ」
右腕を空に伸ばし深月に手を伸ばした…つもりだった。
急に腹に激痛が走る。
「深月は居ねえよ。よかったなあ死ななくて」
「ほんとっスよー?急所外れたから良かったようなものの」
「お前が言うな!お前も動脈やられてたら死んでんだからな」
「そうなっスよねぇーほんと良かったっスよ。痛み堪えて死んだふりしながらシロさんに電話かけたおかげで今の俺たちがあるっス!!」
「すっすすっす、うせぇなぁほんとに…」
横目にシロに目をやるとその後ろ側のベッドに寝転んでるハチがいる。
「……深月は…」
「持ってかれた。追いかけようとしたけど威嚇射撃されてなぁ…お前とハチがやられてるの見えてるから…スマン」
丸椅子に座りながら頭を下げるシロを見てそれ以上問い詰める気は起きなかった。
ハチの出血の量も東堂が俺たちを本気で撃つつもりなのも深月は分かっていた。だから庇うために東堂の元にわざといったんだ。
自分を傷つけるつもりはないと踏んで。
深月が俺を呼ぶ声が耳に残っている…
「シロ」
「分かってる、大丈夫だ。深月の居所も分かってるから」
「まだ、連れ戻せてないのか」
「まぁ、まだ難しいな……」
分かっている。分かってるが…深月を庇えなかった、行かせてしまった自分が許せない。
「いつ退院できるんだ」
「傷がふさがるまでは無理そうだなぁ。2週間は無理だろうよ」
「俺も同じくらいっス。ボスのほうが内蔵やられてるんでもうちょっとかかるかもっスね」
「おっ前は!!いい加減な事をっ」
思わずハチのあけっけらかんと言う声に反射的に声を荒らげてしまった。
さっきまでとは違う真剣な声で、俺の声に被せる。
「悔しくないわけないっスけど。喚いたって落ち込んだって深月ちゃんは帰ってこないっス。俺らに今出来るのは食って寝て少しでも早くここから出る事なんスよ」
「……」
「ま、そゆこった」
シロが立ち上がって俺の頭をペシっと叩き、んじゃまぁ俺はこれで帰るわ。と病室を出ようとした。
「お前一応ハチに感謝しとけ、ハチが必死に俺に電話かけてきたからあの速度でお前らのとこまで行けたし、一応ハチもお前も死にかけだったからな。良く生きてた。とりあえず傷塞ぐところから始めろ。あとはこっちに任せろ。絶対に息の根を止めてやる」
低いドスの聞いた声に空気が一気にピリ付く。
久しぶりに見た黒獅子のその声に思わず身震いしてしまうほど、怒気が含まれていた。
ドアが閉まり、一泊置いて「かっけーっス!」と興奮したように叫ぶハチを横目に、目を閉じる。
ハチの言う通りだ。
怪我人の俺が焦って動いたとしても周りに迷惑をかけるだけで、足手まといだ。
あの首輪は特殊な金属で出来ていて、外し方を知らないと物騒な言い方をすれば、首を切り落とさない限り取れない。
取らない限り深月の生死も居場所もこちらに筒抜けだ。
大丈夫。深月を取り戻せる。
「ハチ」
「はいはい」
「ありがとな。良くやった」
「へへっ、あざっス」
「あと、今すぐタマを呼べ」
「へ?」
「俺にできる、事をする」
「え、でも今組長さんが後は任せろって」
ドアを指さしながら俺を見るハチに
「……ユダがいる」
「うそん、マジっスかぁ」
前日に決まった花見。
行く場所も『公園』ということ以外は基本決めていなかった。
出かける時間も前日に決めた。
行った公園には一般人が来なかった。
あの場所でシートを広げたのは偶然だ。
なのに、狙撃が出来た。
田辺がそれをかぎつけることが出来るわけがない。
しかも東堂が出てきている。
裏切り者が、確実にいる___
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