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第七十話【雰囲気作り】※
しおりを挟む「お前軽いなァ、飯はちゃんと食わせてるんだけどなァ…」
「………。」
壁に追いやられたあと、すっとお尻の下に手を入れられそのまま片腕で支えられ担がれている私です。
軽いとかマジで言ってんのか…
落ちるのが怖いので首に手を回し抱き着いている形になっているわけで。
「まさか怖いのか?」
「小人が巨人に抱き抱えられてるんですよ…怖くないわけないじゃないですか!」
「ヒカルに常に抱きかかえられてるだろうが。」
「そもそもこんな体験佐竹さんと貴方にしかされてないんですっ!」
ぷるぷると小刻みに震えながらいる私に、楽しそうに背中も支えてくれながら移動する。
もうさー、わかり切ってることだけど絶対ベッドいくんだよね。わかるわかる。
ベッドルームのドアを開け、パチンと電気をつけて中に入る財田さんの髪の毛からいい匂いがする。
「こらこら、抱きしめてくれるのはいいが、頭を抱えるのはどうよ、前見えなくて落とすぞおい」
「ひぇ」
気が付いたら頭を抱えていたらしい私は肩に手を回すことにした。
安定感はある程度あるものの、万が一ということがある。
すっと優しくベッドにおろしてくれた財田さんは、そのまま私を押し倒した。
唇が耳の下あたりにチュっと音を立てて触れる。
少し硬い黒い髪が私の頬に触れて少しくすぐったい。
そのまま何度かチュッチュと唇が下に向かい、鎖骨あたりに来た時に気づいた。
服がほぼ脱がされている。
なんだこれ、ワンピースの生地が胸の上にまとめてあるんだけど…!
「はい、バンザーイ」
反射的に手を上にあげるしぐさをした瞬間、纏っていた服がスポンと脱がされ、下着姿になってしまった。
「……手慣れてますね…」
皮肉たっぷりに言ってやる。
「そりゃァ、回数はお前よりやってるだろうよ?」
その間も、「よっ」とか「はい。」とか言いつつ態勢をかえつつブラジャーも剥がされた。
胸を隠すように腕を交差させるとクスクスっとまた笑われた。
「今から全部見られるってのに、隠す意味あんのかねェ」
「関係ないですっ!恥ずかしいものは恥ずかしい!」
セックスという行為において、嫌悪しかなかった私だが、獣たちと過ごしていたわずかな時間、そして佐竹さんとの行為のせいなのか、恐怖というのは薄れていた。
今目の前にいる、財田さんの雰囲気も恐怖を感じるようなものではなく、どちらかというと温和な感じだ。
「安心しな、痛いことはしない。俺様はセックスうまいからな。天国見せてやるよ」
「誰にでも言ってそう。」
ギロリと睨めつけながら、のしかかる男に軽口を言ってみる。
今まで財田さんとの会話は大して多くはない。
雑談程度と、初期の交渉くらいなものだ。
最初の交渉の時は殺されるんじゃないかというほど高圧的で、支配者のソレだった雰囲気や空気は一切感じない今だから言える軽口でもある。
「おうおう、言うようになったじゃねェか!」
ニヤっと口の端を上げながら楽しそうに笑う黒獅子が、私の目を見つめながら、ツツツーと脇の下あたりから腰骨のあたりまで指でなぞる。
「っ!」
ビクンと反応してしまう自分が恥ずかしい。
これから行われる行為。
身に着けているのはショーツのみ。
胸を隠すために両手はふさがっている。
顔をいくら背けても、痛いほど視線が突き刺さる。
その熱い視線と、これから何をされるのかという気持ちで、心臓が痛い。
セックスが始まる雰囲気が、出来上がってしまった。
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