33 / 106
❷
第二十八話【嫌だって言ってるのに】※
しおりを挟む追いかけっこをするつもりだった。
ベッドから降り、部屋の中をじりじりと睨み合っているだけでも時間を過ごせる。
30分という短くも長い時間。私が取れる方法なんて時間稼ぎくらいだ。
と、思っての行動だったんだけど。
左手を固定した状態で、ベッドの端から床に降りるのは意外と難しかった。
スプリングが軋む柔らかなベッドではバランスがうまく取れず、足がもつれてベショっと顔面からベッドに突っ込んだ。
こんなに自分に筋力がないことを呪った日はない。
転んだ恥ずかしさで、穴があったら入りたい。
「ふふっふ……大丈夫…ですか?」
こらえきれずに笑いながら男が私を起こそうとして手を差し伸べた。
「…大丈夫ですっ」
ギリィっとその手を睨みつけ身体を起こそうと試みる。
火事場の馬鹿力を今すぐ発揮しろ!私の筋肉!!
左腕が動かせないため、バランスを崩して倒れた私の体勢は、
膝を折り、お尻を上げ、上半身はベッドにうつぶせる状態。
……。
これ……めちゃくちゃ恥ずかしくないか?
メイド服(ミニ)を身に着けている私のお尻丸見えなのでは?
「ああ、別にそのままの体勢でも構いませんよ?私からとっても素敵な景色が見えていますので」
(うぁぁぁぁぁぁぁ!!!)
こんなラッキースケベをお見せするために転んだわけじゃないのに!!!
まぁまて、落ち着け深月!
深呼吸しよう、深呼吸!
ヒッヒッフー…違う!ラマーズ法じゃないっ!
そっと三嶋さんを見ると、まだ「ふふふ」と笑っていた。
笑い上戸なのか?
今日この人にどれだけ笑われてるかわからない。
まぁいい。私の痴態はどうやら時間稼ぎを少しできたようですし…
アホな状態だとしても多少、多少はタイムロスさせられただろ…
では…と一言聞こえた瞬間、
ギシっとベッドのスプリングが軋み、三嶋さんがベッドに乗り上げたのがわかる。
「せっかく素敵な体勢をとってくださったので、活かして気持ちのいいことをしましょうか」
「結構です。遠慮します。拒否します。だめです。そんなのは罰ゲームの条件に入っていません。」
「確かに、メイド服を着て、手を耳から離さない。これが僕の出した罰ゲームですが。貴女に触れないなんて一言も言っていませんよ?」
「うぐっ」
「さぁ、時間もありませんし。楽しませて頂きますね?」
三嶋さんが言うな否や、私の足の間に胡坐を滑り込ませた。
(いやだぁぁぁぁぁ!!ちょ!!ま!!!なにしてるんです?!)
「……お見苦しいものをお見せしたくありませんのでそこ、どいてください。」
男の顔面に私のオマタが丸見えです。
勘弁してください。マジで…
ずるずると体を前にずらして、男の顔から離れようと試みるも、
膝を男に押さえられ前に動けない。
「なぜです?せっかく素敵なお尻なのに」
いや、素敵だとか素敵じゃないとかどうでも…いっ!!!?
内心抗議をしようとした瞬間、
ショーツの割れ目をスルっと何かが撫でた。
「ちょっ!!何するんですか!」
「目の前に差し出されたところを触っただけです」
「差し出してないので触らないでください」
「美味しそうですし。すこし食べてみましょうか」
ぺろり、とショーツ越しに秘部を舌で舐められ、そのままカプッと口に含まれた。
(話をきけぇぇぇぇぇ!!)
「ヒッ…」
ちゅる、じゅっ
あむあむと口を動かされ、音がなるほど嬲られる。
時折肉芽に歯が当たり、反射で体が跳ねる。
(…この人も結局そういう事を私にしたいのか…)
佐竹さんといい、財田さんといい、三嶋さんまで私を抱くことを目的としてここに連れてきているのであれば
こういう行為に耐えなくてはいけないということだ。
望まないセックスを強いられる。
もう諦めたらいいんだろうか。
男たちに抱かれるという行為を。
飽きて捨てられるまで、人形のように、感情を捨てて。
「……。もしかして考え事ですか?余裕ですね。」
きゅっとショーツの上から肉芽を摘ままれる。
「?!」
「せっかくですから」
三嶋さんがスカートを持ち上げ、ショーツのサイドにある、紐を解く。
隠されていた秘部が露わになり、男の眼前にさらされる。
思わず抵抗しようと、前に体をずらし腰をベッドに下ろそうとするが、男の足が邪魔であぐらにお腹を載せる形になってしまう。
だが眼前に秘部を晒すよりはマシ。
ショーツを取り払われることを邪魔することは、右手だけではどうにもできなかった。
(これで直接アソコを見られることはなくなったはず…)
何がせっかくだ。
冗談じゃない。30分どうにかできれば男からは解放されるはず。
時間が30分と短くすることが出来たおかげで、セックスまではする時間はないだろう。
だからと言ってえっちなことをまざまざ許すなんてのはあり得ない。
0
お気に入りに追加
541
あなたにおすすめの小説
本の虫令嬢は幼馴染に夢中な婚約者に愛想を尽かす
初瀬 叶
恋愛
『本の虫令嬢』
こんな通り名がつく様になったのは、いつの頃からだろうか?……もう随分前の事で忘れた。
私、マーガレット・ロビーには婚約者が居る。幼い頃に決められた婚約者、彼の名前はフェリックス・ハウエル侯爵令息。彼は私より二つ歳上の十九歳。いや、もうすぐ二十歳か。まだ新人だが、近衛騎士として王宮で働いている。
私は彼との初めての顔合せの時を思い出していた。あれはもう十年前だ。
『お前がマーガレットか。僕の名はフェリックスだ。僕は侯爵の息子、お前は伯爵の娘だから『フェリックス様』と呼ぶように」
十歳のフェリックス様から高圧的にそう言われた。まだ七つの私はなんだか威張った男の子だな……と思ったが『わかりました。フェリックス様』と素直に返事をした。
そして続けて、
『僕は将来立派な近衛騎士になって、ステファニーを守る。これは約束なんだ。だからお前よりステファニーを優先する事があっても文句を言うな』
挨拶もそこそこに彼の口から飛び出したのはこんな言葉だった。
※中世ヨーロッパ風のお話ですが私の頭の中の異世界のお話です
※史実には則っておりませんのでご了承下さい
※相変わらずのゆるふわ設定です
※第26話でステファニーの事をスカーレットと書き間違えておりました。訂正しましたが、混乱させてしまって申し訳ありません
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます
ことりの上手ななかせかた
森原すみれ@薬膳おおかみ①②③刊行
恋愛
堀井小鳥は、気弱で男の人が苦手なちびっ子OL。
しかし、ひょんなことから社内の「女神」と名高い沙羅慧人(しかし男)と顔見知りになってしまう。
それだけでも恐れ多いのに、あろうことか沙羅は小鳥を気に入ってしまったみたいで――!?
「女神様といち庶民の私に、一体何が起こるっていうんですか……!」
「ずっと聴いていたいんです。小鳥さんの歌声を」
小動物系OL×爽やか美青年のじれじれ甘いオフィスラブ。
※エブリスタ、小説家になろうに同作掲載しております
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 11/22ノベル5巻、コミックス1巻刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロが苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
待鳥園子
恋愛
ーーお前ごとこの国を、死に物狂いで守って来たーー
数年前に母が亡くなり、後妻と連れ子に虐げられていた伯爵令嬢ブランシュ。有名な将軍アーロン・キーブルグからの縁談を受け実家に売られるように結婚することになったが、会えないままに彼は出征してしまった!
それからすぐに訃報が届きいきなり未亡人になったブランシュは、懸命に家を守ろうとするものの、夫の弟から再婚を迫られ妊娠中の夫の愛人を名乗る女に押しかけられ、喪明けすぐに家を出るため再婚しようと決意。
夫の喪が明け「今度こそ素敵な男性と再婚して幸せになるわ!」と、出会いを求め夜会に出れば、なんと一年前に亡くなったはずの夫が帰って来て?!
努力家なのに何をしても報われない薄幸未亡人が、死ぬ気で国ごと妻を守り切る頼れる軍神夫に溺愛されて幸せになる話。
※完結まで毎日投稿です。
異世界宿屋の住み込み従業員
熊ごろう
ファンタジー
なろう様でも投稿しています。
真夏の昼下がり歩道を歩いていた「加賀」と「八木」、気が付くと二人、見知らぬ空間にいた。
そこに居たのは神を名乗る一組の男女。
そこで告げられたのは現実世界での死であった。普通であればそのまま消える運命の二人だが、もう一度人生をやり直す事を報酬に、異世界へと行きそこで自らの持つ技術広めることに。
「転生先に危険な生き物はいないからー」そう聞かせれていたが……転生し森の中を歩いていると巨大な猪と即エンカウント!? 助けてくれたのは通りすがりの宿の主人。
二人はそのまま流れで宿の主人のお世話になる事に……これは宿屋「兎の宿」を中心に人々の日常を描いた物語。になる予定です。
家族に虐げられていた私は、嫌われ者の魔法使いに嫁ぐ事になりました。~旦那様はとっても不器用です~
初瀬 叶
恋愛
「良かったじゃない。あんたみたいな娘が結婚出来るんだもの!喜ぶべきよ!」
私を散々使用人扱いしてきた義姉からの言葉に自分も、この家に居るよりはマシかもしれないと思った。
私、アメリア・ワーカーは嫌われ者と名高い ウィリアム・バルト公爵と結婚する事になった。…しかも後妻。
なんと、ウィリアム様は、まだ前妻であるイメルダ様を愛しているのだと言う。
しかし、残念ながら、ウィリアム様は稀少な魔法使い。その血を後世に残すため、絶対に跡継ぎを成さなければならないのだ。そう…これは王命に近い。
…旦那様!泣いて嫌がっても、子作りに協力していただきます!
※相変わらずのゆるふわ設定です。
※中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の異世界のお話しです。言葉遣い等、史実とは異なります。
※R15にしております。性的な事を匂わせるような描写や言葉を使用する可能性があります。
※暖かい目で御覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる