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第二十話【洋服と下着の選定者】
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お風呂上りのラフな格好をしているご様子の三嶋さんを呼びつけ、
財田さん、向かいに三嶋さん、佐竹さん、佐竹さんの上の私。というまたよくわからない席位置でお送りされる会合。
いや、家族会議か?家族じゃないけれども。
なんかもう、この場所からどうせ移動できない雰囲気だから諦めてコーヒー貰おう。
…うま。
ずずずっとコーヒーを飲むとほのかな苦みがいい感じで美味しい。
山村さんの家事スキルやべぇ。
私の語彙力もやべぇ。
「佐竹から聞いた。深月。パソコンとスマホは少なくとも今は与えられない。わかってると思うが、外部との連絡手段を今のお前に渡すわけにはいかないからな。」
「ですよねー」
まぁ分かっていたことではあるので、今は仕方ない。
監禁するっていうことは少なからず殺す気は今のところないってことだから
殺されないならまだ何とかなる。それだけで若干の緊張もなくなるってもんだ。
この人たちと同じ食事を与えてもらえるってだけでも
どちらかというと《保護》に近いと取れる。
「お前に与えた部屋は、お前の好きに使えばいい。」
「あ、私の部屋で思い出した。」
「んァ?」
片目を細目ながらコーヒーに口をつけようとしていた財田さんに首だけ向ける。
「用意されてた服、誰の趣味です?あんなの私着れませんよ!」
ずずっとコーヒーを飲みながら私の動向を伺っていた黒獅子が噴出した。
…ソファー同士がある程度距離離れててよかった。
コーヒーがかからなくて済んだ。
クハハと笑う私の真上からの声と、黒獅子から顔を背けて震えている三嶋さん。
(あ、これやらかした…明日の朝東京湾に浮かぶわ……)
「あの、えっと、な、なので!お洋服と下着の追加をしたいんですがっ」
そうだ、改めて買いたいと言えばなんとか乗り切れる…かもしれない!!
あわあわと無理やりな提案をすると
むせた口を押え、息を整えながら財田さんが涙目で向き直った。
「用意させたのは俺、だが、俺の趣味じゃねぇ。佐々木の野郎どんなの用意しんたんだよ、クソっ」
あ、財田さんでも山村さんでもないのか。
顔見知りの犯行…じゃない趣味じゃなくてよかった。
「あ?お前いま下着って言わなかったか?」
真上から低めの声が降ってくる。
「…っ!?…あの…下着はだいぶセクシーなものが多くて、布面積も少なくて、とっても可愛らしいのですが実用的じゃないというか……そ!そう!月のモノが来るときにはとてもあんな高そうなもの使えないですし!ね…?」
下着は佐竹さんの趣味で購入されたのか、そうか…なんて思っていたが
「結構な量、用意しましたよね?」
メガネをクイっと上げる三嶋さん。
「ああ、下着は十分だろ。あれでしばらくやりくりしろや。」
ずずっとコーヒーを改めて飲む財田さん。
「お前に似合いそうなものをそろえたはずだ。生理なんか気にすんな」
目を細めて私の頭をなでる佐竹さん。
いや、わざわざオブラートに包んだ発言したのに直接的なのに言い直しやがって!!!
ん?…あ。これ。全員選んでるわ……
そうかー、大量にあったセクシー下着はこいつら全員の趣味かー
私に綿パンをください。
「えーと。綿のショーツがほs「却下」」
えー…。
むぅ…とちょっとだけ頬に空気をためてぶすくれる、が、まぁ下着のデザインはこの際仕方がない。
ないよりはまし。使えるなら使う。
「わかりました。下着はまた今度でいいです。」
この家に用意されてしまった下着に罪はない。
いや、使うかどうかは別として。
「で、洋服についてですが、何着か購入しに行きたいんですヨ」
「ネットで買えばいいだろォ」
「さっきスマホもパソコンもくれないって言ったじゃないですか」
「俺らの誰かと見ながらやりゃーいいじゃねェか」
「サイズとか着心地とかあるから直接お店で買いたいんです。」
「言いたいことはわかるがなァ、お前が逃げねぇ保証がないだろ?」
「逃げないと言ったところで信じられるものでもないですもんねぇ」
ずずっとコーヒーを口に入れながら、相変わらずのほほんと受け答えする自分に男たちも気が抜けたのか
「俺は付いていくことは物理的に無理だな。」
なにせ俺は目立つからなァ…とため息を吐くようにつぶやいた。
「いっそ貸し切りますか。」
「それがいいんじゃね。」
三嶋さん、佐竹さんが名案だとでも言いたげにドヤ顔で提案する。
ん?貸し切り?
貸し切りっていったかこの人達。
「一番レディース用店舗が入ってるビルどこでしたっけ」
「新宿のアレじゃね?」
「お前ら女物くわしいなァ」
「好きなブランドとかありますか?よく利用しているとことか」
「あ、あ、ウニクロ…とか、しまざきとか…?」
「深月ィ……」
なんか哀れなものでも見るように三人から見られてるんだけどどういうこと!?
ウニクロもしまざきも動きやすくて着やすくてかわいいデザインで安いとか最高なんだぞ!?
「シュウ、明日の夜は?」
「作れますよ、時間。」
「俺もシロも、何もなきゃー21時ぐらいから時間空くぞ。」
「んじゃ、ヒカル、新宿押さえとけ。」
あれよあれよと予定が組まれ、私のお洋服のためだけに貸し切りにさせられるようである。
ビルの従業員様。
申し訳ありません。私が洋服欲しいとか言ったせいで残業になりそうです…
財田さん、向かいに三嶋さん、佐竹さん、佐竹さんの上の私。というまたよくわからない席位置でお送りされる会合。
いや、家族会議か?家族じゃないけれども。
なんかもう、この場所からどうせ移動できない雰囲気だから諦めてコーヒー貰おう。
…うま。
ずずずっとコーヒーを飲むとほのかな苦みがいい感じで美味しい。
山村さんの家事スキルやべぇ。
私の語彙力もやべぇ。
「佐竹から聞いた。深月。パソコンとスマホは少なくとも今は与えられない。わかってると思うが、外部との連絡手段を今のお前に渡すわけにはいかないからな。」
「ですよねー」
まぁ分かっていたことではあるので、今は仕方ない。
監禁するっていうことは少なからず殺す気は今のところないってことだから
殺されないならまだ何とかなる。それだけで若干の緊張もなくなるってもんだ。
この人たちと同じ食事を与えてもらえるってだけでも
どちらかというと《保護》に近いと取れる。
「お前に与えた部屋は、お前の好きに使えばいい。」
「あ、私の部屋で思い出した。」
「んァ?」
片目を細目ながらコーヒーに口をつけようとしていた財田さんに首だけ向ける。
「用意されてた服、誰の趣味です?あんなの私着れませんよ!」
ずずっとコーヒーを飲みながら私の動向を伺っていた黒獅子が噴出した。
…ソファー同士がある程度距離離れててよかった。
コーヒーがかからなくて済んだ。
クハハと笑う私の真上からの声と、黒獅子から顔を背けて震えている三嶋さん。
(あ、これやらかした…明日の朝東京湾に浮かぶわ……)
「あの、えっと、な、なので!お洋服と下着の追加をしたいんですがっ」
そうだ、改めて買いたいと言えばなんとか乗り切れる…かもしれない!!
あわあわと無理やりな提案をすると
むせた口を押え、息を整えながら財田さんが涙目で向き直った。
「用意させたのは俺、だが、俺の趣味じゃねぇ。佐々木の野郎どんなの用意しんたんだよ、クソっ」
あ、財田さんでも山村さんでもないのか。
顔見知りの犯行…じゃない趣味じゃなくてよかった。
「あ?お前いま下着って言わなかったか?」
真上から低めの声が降ってくる。
「…っ!?…あの…下着はだいぶセクシーなものが多くて、布面積も少なくて、とっても可愛らしいのですが実用的じゃないというか……そ!そう!月のモノが来るときにはとてもあんな高そうなもの使えないですし!ね…?」
下着は佐竹さんの趣味で購入されたのか、そうか…なんて思っていたが
「結構な量、用意しましたよね?」
メガネをクイっと上げる三嶋さん。
「ああ、下着は十分だろ。あれでしばらくやりくりしろや。」
ずずっとコーヒーを改めて飲む財田さん。
「お前に似合いそうなものをそろえたはずだ。生理なんか気にすんな」
目を細めて私の頭をなでる佐竹さん。
いや、わざわざオブラートに包んだ発言したのに直接的なのに言い直しやがって!!!
ん?…あ。これ。全員選んでるわ……
そうかー、大量にあったセクシー下着はこいつら全員の趣味かー
私に綿パンをください。
「えーと。綿のショーツがほs「却下」」
えー…。
むぅ…とちょっとだけ頬に空気をためてぶすくれる、が、まぁ下着のデザインはこの際仕方がない。
ないよりはまし。使えるなら使う。
「わかりました。下着はまた今度でいいです。」
この家に用意されてしまった下着に罪はない。
いや、使うかどうかは別として。
「で、洋服についてですが、何着か購入しに行きたいんですヨ」
「ネットで買えばいいだろォ」
「さっきスマホもパソコンもくれないって言ったじゃないですか」
「俺らの誰かと見ながらやりゃーいいじゃねェか」
「サイズとか着心地とかあるから直接お店で買いたいんです。」
「言いたいことはわかるがなァ、お前が逃げねぇ保証がないだろ?」
「逃げないと言ったところで信じられるものでもないですもんねぇ」
ずずっとコーヒーを口に入れながら、相変わらずのほほんと受け答えする自分に男たちも気が抜けたのか
「俺は付いていくことは物理的に無理だな。」
なにせ俺は目立つからなァ…とため息を吐くようにつぶやいた。
「いっそ貸し切りますか。」
「それがいいんじゃね。」
三嶋さん、佐竹さんが名案だとでも言いたげにドヤ顔で提案する。
ん?貸し切り?
貸し切りっていったかこの人達。
「一番レディース用店舗が入ってるビルどこでしたっけ」
「新宿のアレじゃね?」
「お前ら女物くわしいなァ」
「好きなブランドとかありますか?よく利用しているとことか」
「あ、あ、ウニクロ…とか、しまざきとか…?」
「深月ィ……」
なんか哀れなものでも見るように三人から見られてるんだけどどういうこと!?
ウニクロもしまざきも動きやすくて着やすくてかわいいデザインで安いとか最高なんだぞ!?
「シュウ、明日の夜は?」
「作れますよ、時間。」
「俺もシロも、何もなきゃー21時ぐらいから時間空くぞ。」
「んじゃ、ヒカル、新宿押さえとけ。」
あれよあれよと予定が組まれ、私のお洋服のためだけに貸し切りにさせられるようである。
ビルの従業員様。
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