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聖女じゃなくて嫁召喚?

聖女じゃなくて嫁召喚?−21−

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……

ピンクの小瓶を見ながら、なんだか嫌な予感しかしないのはなんでだろう。散々、香りをかがされて酔ったからかな?
私、薔薇の香りは好きなはずなんだけど。

マリーは、小瓶の蓋をとり香りを嗅ぐと、慌てて栓を締める。

「マリー、大丈夫?私、ここに来る時、ディーテの香りに酔っちゃって吐きそうになったんだけど。マリーは平気?」
「え、ええ。大丈夫です。これは、お嬢様には、少し早いと思いますので、特別な日まで、仕舞っておきましょう」

なんだか、大慌ててポケットに仕舞い込むのをみて、やっぱり、ディーテの香りには近寄らない方が良さそうだ。

お風呂から出ると、他のメイドさん達が控えていて、マリーに確認を取っている。

「ドレスの方は、流石に間に合いそうもなくて、いかが致しましょう」
「17歳のお姿かと思って、そのつもりで準備していたから仕方ないわね」
「昔のお召し物で、お似合いになりそうなものをお持ちしてみたのですが」
「ああ、当面はそれで我慢して頂きましょう」

マリー達は、私が来るのを知って、色々と準備をしていてくれたらしい。が、実際に現れた私は幼女で用意していたものが無駄になっちゃったのね。申し訳ないです。

それでも、下着は真新しいものを用意してくれて、どれだけ無理をさせたのだろうか。
有難いやら、申し訳ないやら。

メイドさん達が、何着かのドレスを広げて見せてくれる。どれも私好みのデザイン。

「お嬢様の昔のお召し物で申し訳ございません。しばらくは、我慢して下さいませ」
「マリー、他にもあるのなら、わざわざ、新しいものは用意しなくていいよ。それを着るから」
「お嬢様はレオン様のご婚約者なのですから、それなりのものをお召になって頂かないと」
「あー。そういうものは、そういう場所の時に着るから、普段着は用意しなくてもいいよ。それに、私、これ好き。好きな物を着たいよ」
「分かりました。状態の良いものは普段着に致しましょう」

マリーの了解が出ると、メイドさん達が、ワラワラとやってきて、あれよあれよと着替えや、髪のセットをして行く。
昔もこんなにお世話してもらっていたんだろうか。なんとなく、居心地が悪い。
自分でしたいと言ったらマリーに睨まれ、大人しく、されるがままになっていた。

着せ替え人形の時間は短くて助かった。完成とばかりに鏡の前に立たされる。
うん。着せ替え人形で良かったかも。我ながら、なかなか良い感じ。レオンハルト様、褒めてくれるかな?

その時・・・


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