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1日ゆっくり休んだので、翌日にはすっかり元気になった。熱の影響もあったのだと思うけど、ズキズキ傷んでいた足首も痛みは引いた。

というのに、未だベッドの住人だった。今日も一日、寝ていなさいと言われてしまった。皆さんにご迷惑をかけているからと思ったのだけれど、じっとしてくれた方が安心とかって言われてしまったので、しかたがないので大人しくしていることにした。

メイド様もつけると仰ってくれたのだけれど、それだけはお断りした。庶民にメイド様は不要です。

朝食もベッドの上。
メイド様にお嬢様って呼んで貰った上に、くつろぎやすいようにと、沢山のクッションを背に当ててもらったりして、気持ちはお姫様だよー。極楽だよー。
こんなに、ゆっくり過ごすのは久しぶりだなー。たまには、こういう贅沢もいいな。
顔が自然と緩む。

「ナァ」

いつ入ってきたのか、ヒョイっとベッドの上に乗って来たお猫様。

「お猫様、おはようございます」

挨拶すると、お猫様がググっと顔を近づけてくる。これは、アレか?鼻キスを期待しているのか?

誰もいないのに、思わず、周りを確認して、お猫様を抱くと、昨日、お猫様がしてくれたように、鼻と鼻を合わせた鼻キスをした。
もう、ダメだ、お猫様相手にドキドキしすぎて、死にそうだ。

そのまま、お猫様を膝の上にのせ、お猫様の毛並みを楽しんでいると

「エリ起きてる?」
ノックもそこそこに、カイお姉様が入ってきた。
すっかり、エリ呼びが定着してしまったらしい。ちゃん付よりは、全然OK。むしろ、みんなにエリ呼びしてもらいたい。
今度エマお姉様達にもお願いしてみよう。

カイお姉様は、入ってきた途端、お猫様を見つけて、物凄い形相で近づいてきた。

「猫!!盛ってるんじゃないわよ!!」

ムンずとお猫様の首根っこを掴まえると、勢いよくお猫様を投げ捨てた。

「レディの寝室に入り浸ってるんじゃないわよ」

カイお姉様の剣幕に、お猫様がちょっと縮こまっている。

「カイお姉様、お猫様は猫だし」
「エーリー。猫でもオスよオス。ベッドの上に上げるのはぜーったいダメよ」

うわっ、こっちにもお怒りが来た。別にいいじゃん。オス猫だろうと猫だし。そりゃ第3王子のお猫様かもしれないけど。

「エーリー!!」
「ヤバい。心の声が漏れてた」
「エリ!!」

どうしてこんなに怒るのかさっぱり分からないけど、ひとまず、カイお姉様の言うとおりにしないと殺される。

「ワタクシ、エリカハ、オネコサマヲ、ベッドニ、アゲナイコトヲ、チカイマス」

右手を挙げて棒読みで宣誓してみると、カイお姉様は、はぁと思いっきりため息を着きながら椅子をベッドの近くに持ってくる。すると、お猫様が澄ましてその椅子を占拠したので、もう一脚用意してカイお姉様が座る。なんだかんだ言ってもカイお姉様は優しい。

そして、エリカの手を取ると

「ごめんなさい。こんなことになるなんて」
「私も、公衆の面前であんな行動を取るとは思ってもいなかったので。対応を間違えた私のミスです」
「それでも、私が受けなければ、こんなことにはならなかったのよ」

シュンと項垂れるカイお姉様。

「サイテーなのはアイツですよ。いくらなんでも、ダンスの途中で、パートナーを置いてけぼりはないでしょ」
「そうなんだけどね」
「んー。でも、そう思っても、カイお姉様の心が晴れないですよね」

カイお姉様はダンスの申し込みを受けただけなので、全然、悪くないんだけどなー。むしろ、私の方が悪かった。相手の事を理解していなかった。つい本音が出てしまったのが悪かったのだ。

「一つ教えて貰いたい事があるんですけど」

カイお姉様がパッと顔を上げて、何?と先を促してくるので、助けてくれた人の事を教えて欲しいと言ったら、それは教えられないと言う。自分で探して欲しいと、何故かお願いされてしまった。

それなら他には何がいいかなー。と周りを見回して目に入ったバラの花。

「そこに生けてあるバラって王家の庭園のものってお聞きしたんですけど、歩けるようになったら庭園を見せて頂いても良いですか?」

「そんな事でいいの?好きなだけ見ていいわよ。ついでに猫の庭も見ていくといいわ」

「お猫様、お庭を持っているんですか?」
「多分、猫の庭の方がエリには楽しいと思うわよ」

というわけで、絶対入ることが出来ない王家の庭園とお猫様の庭の鑑賞権をゲットして、超ご機嫌なエリカだった。



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