26 / 27
−25−
しおりを挟む
......
1日ゆっくり休んだので、翌日にはすっかり元気になった。熱の影響もあったのだと思うけど、ズキズキ傷んでいた足首も痛みは引いた。
というのに、未だベッドの住人だった。今日も一日、寝ていなさいと言われてしまった。皆さんにご迷惑をかけているからと思ったのだけれど、じっとしてくれた方が安心とかって言われてしまったので、しかたがないので大人しくしていることにした。
メイド様もつけると仰ってくれたのだけれど、それだけはお断りした。庶民にメイド様は不要です。
朝食もベッドの上。
メイド様にお嬢様って呼んで貰った上に、くつろぎやすいようにと、沢山のクッションを背に当ててもらったりして、気持ちはお姫様だよー。極楽だよー。
こんなに、ゆっくり過ごすのは久しぶりだなー。たまには、こういう贅沢もいいな。
顔が自然と緩む。
「ナァ」
いつ入ってきたのか、ヒョイっとベッドの上に乗って来たお猫様。
「お猫様、おはようございます」
挨拶すると、お猫様がググっと顔を近づけてくる。これは、アレか?鼻キスを期待しているのか?
誰もいないのに、思わず、周りを確認して、お猫様を抱くと、昨日、お猫様がしてくれたように、鼻と鼻を合わせた鼻キスをした。
もう、ダメだ、お猫様相手にドキドキしすぎて、死にそうだ。
そのまま、お猫様を膝の上にのせ、お猫様の毛並みを楽しんでいると
「エリ起きてる?」
ノックもそこそこに、カイお姉様が入ってきた。
すっかり、エリ呼びが定着してしまったらしい。ちゃん付よりは、全然OK。むしろ、みんなにエリ呼びしてもらいたい。
今度エマお姉様達にもお願いしてみよう。
カイお姉様は、入ってきた途端、お猫様を見つけて、物凄い形相で近づいてきた。
「猫!!盛ってるんじゃないわよ!!」
ムンずとお猫様の首根っこを掴まえると、勢いよくお猫様を投げ捨てた。
「レディの寝室に入り浸ってるんじゃないわよ」
カイお姉様の剣幕に、お猫様がちょっと縮こまっている。
「カイお姉様、お猫様は猫だし」
「エーリー。猫でもオスよオス。ベッドの上に上げるのはぜーったいダメよ」
うわっ、こっちにもお怒りが来た。別にいいじゃん。オス猫だろうと猫だし。そりゃ第3王子のお猫様かもしれないけど。
「エーリー!!」
「ヤバい。心の声が漏れてた」
「エリ!!」
どうしてこんなに怒るのかさっぱり分からないけど、ひとまず、カイお姉様の言うとおりにしないと殺される。
「ワタクシ、エリカハ、オネコサマヲ、ベッドニ、アゲナイコトヲ、チカイマス」
右手を挙げて棒読みで宣誓してみると、カイお姉様は、はぁと思いっきりため息を着きながら椅子をベッドの近くに持ってくる。すると、お猫様が澄ましてその椅子を占拠したので、もう一脚用意してカイお姉様が座る。なんだかんだ言ってもカイお姉様は優しい。
そして、エリカの手を取ると
「ごめんなさい。こんなことになるなんて」
「私も、公衆の面前であんな行動を取るとは思ってもいなかったので。対応を間違えた私のミスです」
「それでも、私が受けなければ、こんなことにはならなかったのよ」
シュンと項垂れるカイお姉様。
「サイテーなのはアイツですよ。いくらなんでも、ダンスの途中で、パートナーを置いてけぼりはないでしょ」
「そうなんだけどね」
「んー。でも、そう思っても、カイお姉様の心が晴れないですよね」
カイお姉様はダンスの申し込みを受けただけなので、全然、悪くないんだけどなー。むしろ、私の方が悪かった。相手の事を理解していなかった。つい本音が出てしまったのが悪かったのだ。
「一つ教えて貰いたい事があるんですけど」
カイお姉様がパッと顔を上げて、何?と先を促してくるので、助けてくれた人の事を教えて欲しいと言ったら、それは教えられないと言う。自分で探して欲しいと、何故かお願いされてしまった。
それなら他には何がいいかなー。と周りを見回して目に入ったバラの花。
「そこに生けてあるバラって王家の庭園のものってお聞きしたんですけど、歩けるようになったら庭園を見せて頂いても良いですか?」
「そんな事でいいの?好きなだけ見ていいわよ。ついでに猫の庭も見ていくといいわ」
「お猫様、お庭を持っているんですか?」
「多分、猫の庭の方がエリには楽しいと思うわよ」
というわけで、絶対入ることが出来ない王家の庭園とお猫様の庭の鑑賞権をゲットして、超ご機嫌なエリカだった。
1日ゆっくり休んだので、翌日にはすっかり元気になった。熱の影響もあったのだと思うけど、ズキズキ傷んでいた足首も痛みは引いた。
というのに、未だベッドの住人だった。今日も一日、寝ていなさいと言われてしまった。皆さんにご迷惑をかけているからと思ったのだけれど、じっとしてくれた方が安心とかって言われてしまったので、しかたがないので大人しくしていることにした。
メイド様もつけると仰ってくれたのだけれど、それだけはお断りした。庶民にメイド様は不要です。
朝食もベッドの上。
メイド様にお嬢様って呼んで貰った上に、くつろぎやすいようにと、沢山のクッションを背に当ててもらったりして、気持ちはお姫様だよー。極楽だよー。
こんなに、ゆっくり過ごすのは久しぶりだなー。たまには、こういう贅沢もいいな。
顔が自然と緩む。
「ナァ」
いつ入ってきたのか、ヒョイっとベッドの上に乗って来たお猫様。
「お猫様、おはようございます」
挨拶すると、お猫様がググっと顔を近づけてくる。これは、アレか?鼻キスを期待しているのか?
誰もいないのに、思わず、周りを確認して、お猫様を抱くと、昨日、お猫様がしてくれたように、鼻と鼻を合わせた鼻キスをした。
もう、ダメだ、お猫様相手にドキドキしすぎて、死にそうだ。
そのまま、お猫様を膝の上にのせ、お猫様の毛並みを楽しんでいると
「エリ起きてる?」
ノックもそこそこに、カイお姉様が入ってきた。
すっかり、エリ呼びが定着してしまったらしい。ちゃん付よりは、全然OK。むしろ、みんなにエリ呼びしてもらいたい。
今度エマお姉様達にもお願いしてみよう。
カイお姉様は、入ってきた途端、お猫様を見つけて、物凄い形相で近づいてきた。
「猫!!盛ってるんじゃないわよ!!」
ムンずとお猫様の首根っこを掴まえると、勢いよくお猫様を投げ捨てた。
「レディの寝室に入り浸ってるんじゃないわよ」
カイお姉様の剣幕に、お猫様がちょっと縮こまっている。
「カイお姉様、お猫様は猫だし」
「エーリー。猫でもオスよオス。ベッドの上に上げるのはぜーったいダメよ」
うわっ、こっちにもお怒りが来た。別にいいじゃん。オス猫だろうと猫だし。そりゃ第3王子のお猫様かもしれないけど。
「エーリー!!」
「ヤバい。心の声が漏れてた」
「エリ!!」
どうしてこんなに怒るのかさっぱり分からないけど、ひとまず、カイお姉様の言うとおりにしないと殺される。
「ワタクシ、エリカハ、オネコサマヲ、ベッドニ、アゲナイコトヲ、チカイマス」
右手を挙げて棒読みで宣誓してみると、カイお姉様は、はぁと思いっきりため息を着きながら椅子をベッドの近くに持ってくる。すると、お猫様が澄ましてその椅子を占拠したので、もう一脚用意してカイお姉様が座る。なんだかんだ言ってもカイお姉様は優しい。
そして、エリカの手を取ると
「ごめんなさい。こんなことになるなんて」
「私も、公衆の面前であんな行動を取るとは思ってもいなかったので。対応を間違えた私のミスです」
「それでも、私が受けなければ、こんなことにはならなかったのよ」
シュンと項垂れるカイお姉様。
「サイテーなのはアイツですよ。いくらなんでも、ダンスの途中で、パートナーを置いてけぼりはないでしょ」
「そうなんだけどね」
「んー。でも、そう思っても、カイお姉様の心が晴れないですよね」
カイお姉様はダンスの申し込みを受けただけなので、全然、悪くないんだけどなー。むしろ、私の方が悪かった。相手の事を理解していなかった。つい本音が出てしまったのが悪かったのだ。
「一つ教えて貰いたい事があるんですけど」
カイお姉様がパッと顔を上げて、何?と先を促してくるので、助けてくれた人の事を教えて欲しいと言ったら、それは教えられないと言う。自分で探して欲しいと、何故かお願いされてしまった。
それなら他には何がいいかなー。と周りを見回して目に入ったバラの花。
「そこに生けてあるバラって王家の庭園のものってお聞きしたんですけど、歩けるようになったら庭園を見せて頂いても良いですか?」
「そんな事でいいの?好きなだけ見ていいわよ。ついでに猫の庭も見ていくといいわ」
「お猫様、お庭を持っているんですか?」
「多分、猫の庭の方がエリには楽しいと思うわよ」
というわけで、絶対入ることが出来ない王家の庭園とお猫様の庭の鑑賞権をゲットして、超ご機嫌なエリカだった。
1
お気に入りに追加
566
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
夫に離縁が切り出せません
えんどう
恋愛
初めて会った時から無口で無愛想な上に、夫婦となってからもまともな会話は無く身体を重ねてもそれは変わらない。挙げ句の果てに外に女までいるらしい。
妊娠した日にお腹の子供が産まれたら離縁して好きなことをしようと思っていたのだが──。
お父様お母様、お久しぶりです。あの時わたしを捨ててくださりありがとうございます
柚木ゆず
恋愛
ヤニックお父様、ジネットお母様。お久しぶりです。
わたしはアヴァザール伯爵家の長女エマとして生まれ、6歳のころ貴方がたによって隣国に捨てられてしまいましたよね?
当時のわたしにとってお二人は大事な家族で、だからとても辛かった。寂しくて悲しくて、捨てられたわたしは絶望のどん底に落ちていました。
でも。
今は、捨てられてよかったと思っています。
だって、その出来事によってわたしは――。大切な人達と出会い、大好きな人と出逢うことができたのですから。
貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?
蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」
ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。
リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。
「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」
結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。
愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。
これからは自分の幸せのために生きると決意した。
そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。
「迎えに来たよ、リディス」
交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。
裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。
※完結まで書いた短編集消化のための投稿。
小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
目を覚ましたら、婚約者に子供が出来ていました。
霙アルカ。
恋愛
目を覚ましたら、婚約者は私の幼馴染との間に子供を作っていました。
「でも、愛してるのは、ダリア君だけなんだ。」
いやいや、そんな事言われてもこれ以上一緒にいれるわけないでしょ。
※こちらは更新ゆっくりかもです。
完結 喪失の花嫁 見知らぬ家族に囲まれて
音爽(ネソウ)
恋愛
ある日、目を覚ますと見知らぬ部屋にいて見覚えがない家族がいた。彼らは「貴女は記憶を失った」と言う。
しかし、本人はしっかり己の事を把握していたし本当の家族のことも覚えていた。
一体どういうことかと彼女は震える……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる