19 / 27
−18−
しおりを挟む
……
そのうちエマお姉様とマーガレットお姉様がやって来て、婚約者様を紹介して頂いた。
「エリ嬢、私とも1曲どうですか?」と、マーガレットお姉様の婚約者が言うと「やめておきなさいよ。カイ様のダンスを相手出来るような子と踊ったらメッキが剥げるわよ」なんて辛辣なことをマーガレットお姉様に言われてシュンとしていた。
「うわー、エリちゃん、何このダンスメンバー、ダンスバトルでもするの?」エマお姉様がカイお姉様から私のダンスパートナー名簿を見て口元を扇子で隠した。
さらにエマお姉様の婚約者様が、うわー、申し込まなくて良かったって言ってる。
「がっぽがっぽ儲けるためには、エリちゃんに頑張ってドレスを見せつけて貰わないと。ダンスが超一流な男しか受けてないわよ」
ひーー。何それ、聞いてないよ。エマお姉様達に助けを求めると「まぁ頑張って」と励まされただけだった。
それじゃ楽しんでと、お姉様達は行ってしまう。婚約の挨拶で今日は忙しいらしいのだ。
そしてエリカとカイがまだ入口付近で粘っているのは、今日、立場上、どうしても挨拶しておかなければならない人がいるから。それは黒バラ姫様の命令。
子爵家なので、なかなかやってこない。もう、疲れたよ。と、零しそうになっていると、足元で「にゃー」と鳴く声がした。
「お猫様も飽きちゃいました?私もなんです」と、かがんでお猫様を撫でていると「エリ、来たわよ」
とカイお姉様が言うので、入口を見やると、2年ぶりに見る夫とアン様と義父母。アン様やっぱり胸が大きいな。と思いつつ、どうやって声をかけようかと悩んでいたら
「あら、あなた、どこかでお会いしたことあるかしら?」と、アン様が声をかけてきた。瞬間、場の空気がサッと凍る。下のものから声をかけてはマナー違反なのだ。
さすがに子爵家の面々はオドオドしている。エリカの隣にいる人が誰なのか知っているからだ。
でも、これは天の助けだ。これに乗じて挨拶をしてしまおう。
「カイ様の遠縁のエリと申します」
スっと夫に手を差し出すと、夫は妻だと気づきもせず真っ赤になりながら挨拶をしてくる。
多分、あれだ、カイお姉様の遠縁とはいえ上位貴族から声をかけられて喜んでるんだろう。
どれくらいの人達が自分たち夫婦の事を知っているのかは知らないけれど、知っている人なら、それなりに察した事だろう。
別にどうでも良いんだけど、所詮、一般人だしって言ったら黒バラ姫様に仕事に影響するのよって言われたから頑張って立っているだけ。
とりあえず、目的は終わったので、その場を去ろうとしたら「もしよろしければ1曲」などと言ってくる。アレか?アン様が声をかけても怒られなかったし、自分も挨拶させて貰えたしと、調子に乗ってるのか?
断ろうと思ったら「そうね7曲目はまだ空いてるから御相手しても大丈夫よ」とカイお姉様が言う。えーやだよってカイお姉様を見たら睨まれたので「はい。カイお姉様がそういうのなら」と、受けるしかない。
「わ、私も」と、アン様がカイお姉様に申し込んでくる。この人、綺麗なのにホント残念、本当に貴族なの?って言うか、貴族なのにカイお姉様が何者かご存知ないの?目はカイお姉様をロックオン?してるし。肉食系女子って怖い。
「あー。ごめんなさいね。私はこの子としか踊らないのよ」と、カイお姉様がものすごく睨んで答えてた。
カイお姉様、子爵家の皆さんに挨拶すらしていないのに、凄いなー。怖いもの知らずって凄い。
カイお姉様の冷気に当てられ、子爵夫婦が慌てて、その場からアン様を連れ出したのは正解だよね。どんどんバーン家の評判が悪くなる一方だったし、引き際は重要。
そのうちエマお姉様とマーガレットお姉様がやって来て、婚約者様を紹介して頂いた。
「エリ嬢、私とも1曲どうですか?」と、マーガレットお姉様の婚約者が言うと「やめておきなさいよ。カイ様のダンスを相手出来るような子と踊ったらメッキが剥げるわよ」なんて辛辣なことをマーガレットお姉様に言われてシュンとしていた。
「うわー、エリちゃん、何このダンスメンバー、ダンスバトルでもするの?」エマお姉様がカイお姉様から私のダンスパートナー名簿を見て口元を扇子で隠した。
さらにエマお姉様の婚約者様が、うわー、申し込まなくて良かったって言ってる。
「がっぽがっぽ儲けるためには、エリちゃんに頑張ってドレスを見せつけて貰わないと。ダンスが超一流な男しか受けてないわよ」
ひーー。何それ、聞いてないよ。エマお姉様達に助けを求めると「まぁ頑張って」と励まされただけだった。
それじゃ楽しんでと、お姉様達は行ってしまう。婚約の挨拶で今日は忙しいらしいのだ。
そしてエリカとカイがまだ入口付近で粘っているのは、今日、立場上、どうしても挨拶しておかなければならない人がいるから。それは黒バラ姫様の命令。
子爵家なので、なかなかやってこない。もう、疲れたよ。と、零しそうになっていると、足元で「にゃー」と鳴く声がした。
「お猫様も飽きちゃいました?私もなんです」と、かがんでお猫様を撫でていると「エリ、来たわよ」
とカイお姉様が言うので、入口を見やると、2年ぶりに見る夫とアン様と義父母。アン様やっぱり胸が大きいな。と思いつつ、どうやって声をかけようかと悩んでいたら
「あら、あなた、どこかでお会いしたことあるかしら?」と、アン様が声をかけてきた。瞬間、場の空気がサッと凍る。下のものから声をかけてはマナー違反なのだ。
さすがに子爵家の面々はオドオドしている。エリカの隣にいる人が誰なのか知っているからだ。
でも、これは天の助けだ。これに乗じて挨拶をしてしまおう。
「カイ様の遠縁のエリと申します」
スっと夫に手を差し出すと、夫は妻だと気づきもせず真っ赤になりながら挨拶をしてくる。
多分、あれだ、カイお姉様の遠縁とはいえ上位貴族から声をかけられて喜んでるんだろう。
どれくらいの人達が自分たち夫婦の事を知っているのかは知らないけれど、知っている人なら、それなりに察した事だろう。
別にどうでも良いんだけど、所詮、一般人だしって言ったら黒バラ姫様に仕事に影響するのよって言われたから頑張って立っているだけ。
とりあえず、目的は終わったので、その場を去ろうとしたら「もしよろしければ1曲」などと言ってくる。アレか?アン様が声をかけても怒られなかったし、自分も挨拶させて貰えたしと、調子に乗ってるのか?
断ろうと思ったら「そうね7曲目はまだ空いてるから御相手しても大丈夫よ」とカイお姉様が言う。えーやだよってカイお姉様を見たら睨まれたので「はい。カイお姉様がそういうのなら」と、受けるしかない。
「わ、私も」と、アン様がカイお姉様に申し込んでくる。この人、綺麗なのにホント残念、本当に貴族なの?って言うか、貴族なのにカイお姉様が何者かご存知ないの?目はカイお姉様をロックオン?してるし。肉食系女子って怖い。
「あー。ごめんなさいね。私はこの子としか踊らないのよ」と、カイお姉様がものすごく睨んで答えてた。
カイお姉様、子爵家の皆さんに挨拶すらしていないのに、凄いなー。怖いもの知らずって凄い。
カイお姉様の冷気に当てられ、子爵夫婦が慌てて、その場からアン様を連れ出したのは正解だよね。どんどんバーン家の評判が悪くなる一方だったし、引き際は重要。
1
お気に入りに追加
566
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
夫に離縁が切り出せません
えんどう
恋愛
初めて会った時から無口で無愛想な上に、夫婦となってからもまともな会話は無く身体を重ねてもそれは変わらない。挙げ句の果てに外に女までいるらしい。
妊娠した日にお腹の子供が産まれたら離縁して好きなことをしようと思っていたのだが──。
貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?
蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」
ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。
リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。
「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」
結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。
愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。
これからは自分の幸せのために生きると決意した。
そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。
「迎えに来たよ、リディス」
交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。
裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。
※完結まで書いた短編集消化のための投稿。
小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
目を覚ましたら、婚約者に子供が出来ていました。
霙アルカ。
恋愛
目を覚ましたら、婚約者は私の幼馴染との間に子供を作っていました。
「でも、愛してるのは、ダリア君だけなんだ。」
いやいや、そんな事言われてもこれ以上一緒にいれるわけないでしょ。
※こちらは更新ゆっくりかもです。
完結 喪失の花嫁 見知らぬ家族に囲まれて
音爽(ネソウ)
恋愛
ある日、目を覚ますと見知らぬ部屋にいて見覚えがない家族がいた。彼らは「貴女は記憶を失った」と言う。
しかし、本人はしっかり己の事を把握していたし本当の家族のことも覚えていた。
一体どういうことかと彼女は震える……
すべてが嫌になったので死んだふりをしたら、いつの間にか全部解決していました
小倉みち
恋愛
公爵令嬢へテーゼは、苦労人だった。
周囲の人々は、なぜか彼女にひたすら迷惑をかけまくる。
婚約者の第二王子は数々の問題を引き起こし、挙句の果てに彼女の妹のフィリアと浮気をする。
家族は家族で、せっかく祖父の遺してくれた遺産を湯水のように使い、豪遊する。
どう考えても彼らが悪いのに、へテーゼの味方はゼロ。
代わりに、彼らの味方をする者は大勢。
へテーゼは、彼らの尻拭いをするために毎日奔走していた。
そんなある日、ふと思った。
もう嫌だ。
すべてが嫌になった。
何もかも投げ出したくなった彼女は、仲の良い妖精たちの力を使って、身体から魂を抜き取ってもらう。
表向き、へテーゼが「死んだ」ことにしようと考えたのだ。
当然そんなことは露知らず、完全にへテーゼが死んでしまったと慌てる人々。
誰が悪い、これからどうするのか揉めるうちに、自爆していく連中もいれば、人知れず彼女を想っていた者の復讐によって失脚していく連中も現れる。
こうして彼女が手を出すまでもなく、すべての問題は綺麗さっぱり解決していき――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる