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マーガレットが連れてきた友人たちからもお姉様呼びを約束させられ、エリカちゃん呼びがメンバーの中で定着してしまった。ちゃん付けは、兄の馬鹿にした時の呼び方なので、実は居心地が悪いエリカなのだったが、お姉様達は可愛い、可愛いと言ってくれているので褒め言葉だと思うようにした。

お名前をお聞きして、お姉様達が伯爵家のご令嬢であることは知っていた。バーン家の嫁だから、こうして話が出来るんだなと、父達が貴族の繋がりが欲しかった理由がなんとなく理解出来た。

お姉様達の話から、婚活真っ最中なことや、社交界のことなどいろいろお聞きした。エリカにとっては知らない世界のキラキラした話で聞いていて楽しい。相変わらずロマンス小説の読みすぎで妄想が逞しいのだ。

「最近、アン様を見かけないと思っていたらバーン家にいたのね」

夫の愛人はアン様と言うらしい。お姉様達の話によると、なんだか方々で男性トラブルを起こしていたとかで、実際、婚約破棄されたお嬢様達もいたらしい。
しかし、婚約破棄したのに、アン様に、逃げられた方、人を見る目が無さすぎる。

「アン様に引っかかる男なんてゴミよね」

お姉様達は辛辣である。ダヨネ、訂正しないけどさ、バーン家の面々を見て納得してしまった。

「それでエリカちゃんは、夫を取り戻すおつもりなの?」
「ないです(わ)」

エリカとマーガレットお姉様が同時に答えていた。(わ)の方はマーガレットお姉様ね。そっか、最後に(わ)を付けるのかと心にメモする勉強熱心なエリカ。

「悪女から夫を取り返すなんてロマンチックじゃない」
あ、ロマンス小説の愛読者ですか?今度、ゆっくりお話しましょうなどと明後日の方を考えていたら、マーガレットお姉様がキッパリと仰った。

「私の可愛い妹がゴミになんか、くれるわけないでしょ。可愛い妹にはこのまま白い結婚を続けてもらう予定」

うん。事業に専念できるから、私もその方がいいかな。なんて思っていると

「えーでも、恋はしたいでしょエリカちゃん!!」
「恋も愛も白い結婚で砂の城のように崩れ落ちました(わ)」
ロマンスに憧れながら現実的で勉強熱心なエリカだった。

そうこうしながら、エリカは事業を拡大しつつ、マーガレットお姉様からは貴族社会のこと、マナーなどを学んで言った。特にマナーに感しては、自分が学んできたことなんか基礎の基礎程度であったことを思い知らされた。

マーガレットお姉様のマナーは、それはそれは洗練されていたのだ。それを言うと「当たり前でしってよ」とのお答えだった。なんでも、小さい頃に、みっちりしごかれたそうで、その時を思い出したのか、遠い目をしていた。
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