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……
後は、実家までの道を急ぐ。
まだ、早い時間なので、戸口は閉まっている。裏に周り、お腹に力を入れて声を張り上げる。
「頼もう!!」
どこの時代劇だよって苦笑いしながら、しばらく待つと、家政婦頭のミタが顔を出す。
「お嬢様の声が聞こえると思ったら、やっぱりお嬢様。もう戻ってきたんですか」と、冷たい一言に心が折れそうになりながら、精一杯の笑顔で答える。
「出戻りはしないけど、お腹が空いて死にそう。何か食べさせて。じゃなくて、お父様かお兄様に話をする前に、何か食べさせて。お願い」
そうだよ。お腹が空いてたら、戦に挑めないんだよ。まずはお腹を満たすことが先だよね。ミタなら、きっと食べさせてくれると期待していたのに
「申し訳ございません。大旦那様も、若旦那様もお嬢様が戻ってきたら、たとえお腹を空かせていようと、直ぐに呼ぶようにと言われてますので」
「えー」
すきっ腹のまま、戦闘かよー。負け戦覚悟かよー。とエリカが項垂れると、ミタが苦笑しながら、パンを差し出してくれる。
「お嬢様は、まだ帰って来ていませんからね。さぁ、とっとと食べて戦いに勝ってきてくださいませ。お嬢様の大好きなものをご用意しておきますから」
「ミターありがとう」
差し出されたパンを急いで頬張ると、胸につかえ、ミタが笑いながら牛乳を差し出してくれる。みんな、私の行動なんかお見通しなんだね。もう、戦う前に負けた気分だよー。そうだよね、最初にミタが出てくる所からして、この家では予想通りだったんだろうなー。と、すっかり戦う気力を削がれてしまったエリカだった。
とりあえず、パン1個だったけど、落ち着いた。よし!!と気合いを入れて裏口から入る。
通された部屋に入ると、やっぱり、間違いだったと、クルリと背を向けそうになったのを、グッと堪えた私!偉い!!と激励しつつ、冷たく見ている父と、ニヤニヤしながら見ている兄をみかえす。
「おはようございます?」
思わず、疑問形になってしまったよ。もう既に負けたよ。涙が出そうだよ。
「もう戻ってきたの?使えない子だね」とは兄。
「だって、屋敷には入れてもらえないし、食事も出して貰えないし」
兄の軽い口調に思わず愚痴が出てしまう
「言ったよね。平民が貴族に取り入るって大変だよって。お花畑のエリカちゃんは、ポヤポヤして聞かなかったよね」
声は優しいし、笑顔だけど、怖いよ。
「まさか、愛人がいるなんて思わなかったんだもん」
「だから甘いって言ったのにね。それで、どうしたいの?身ぐるみ剥がされて無一文のエリカちゃん」
ごめんなさい、ごめんなさい、お花畑の頭のエリカが悪うございました。謝って、泣いて家に戻らせて貰いたいと言いそうになった時
「お前の居場所はここにないから帰りなさい」
冷たい父親の声で頭が冷える。そうだよ。頑張れ私。居場所は自分で作るんだよ。
「お父様、世の中の冷たさは、昨日一晩で身に染みました。このままでは飢え死にです。だから、私に先行投資しませんか?」
「お前に何ができるんだ」
馬鹿にしたようにフンと笑われる。相変わらず声は冷たいけど、なんとなく目が優しいような?兄を見ると、面白そうにニヤニヤしているし。
大丈夫だ。これから話すことは兄には好評だったのだ。既に出だしで間違ったけど、お父様がやり直しを許してくれているんだ。と、一生懸命、新事業計画を説明する。
女の子の1番の興味ごとは綺麗であること。まずはスキンケアとヘアケア商品の販売からと思っていることと、自分で使ってみて良かったので、今は家の子達に使って貰って好評を得ていることを説明した。
「なんだ、そこまで進んでるのか」
あいも変わらずフンと鼻で笑う父の顔をそっと伺っていると兄が楽しげに
「まぁ15の娘がそんな事を考えているなんて、誰も思わないよね。あの人達、エリカを大切にしたらそれだけで大金が入ってきたのに馬鹿だね」
「それで、販売の目処は立っているんだな」
「はい。結婚して落ち着いたら仕入れを始めるつもりで仕入れ先はもう確保してましたので」
ひとまず、スキンケア用品を販売することで話が決まった。細かい契約書は兄が作ってくれるというので、それは全て任せることにした。
「エリカはやっぱり甘いな」
「お兄様が公明正大なのは知ってるし。お父様が作るなら不安だけどね」
「まぁ、好きにしなさい。それで子爵家はどうする」
一応、気にしてくれたらしいので、なんとなく嬉しかった。
「何もしなくていいですよ。かえって、好きなことが出来そうだし。お父様もお兄様も子爵家の名前はどんどん利用されて、持参金の元をお取りになってくださいな」
「あー。うちの夢見るエリカちゃんが、別人になっちゃったよ。許すまじ子爵家。きっちりエリカちゃんの涙分も絞り取って上げましょうね」
ひー...お兄様に目を付けられたら、どうなっちゃうんだろうね子爵家と心配になり、兄から目を逸らすと、今度は父と目が合い、うわっ、こっちもなんだかドス暗い炎が出ているみたいなんだけど…2人のことは見なかったことにしよう。うん、心の平安のために大切だね。
後は、実家までの道を急ぐ。
まだ、早い時間なので、戸口は閉まっている。裏に周り、お腹に力を入れて声を張り上げる。
「頼もう!!」
どこの時代劇だよって苦笑いしながら、しばらく待つと、家政婦頭のミタが顔を出す。
「お嬢様の声が聞こえると思ったら、やっぱりお嬢様。もう戻ってきたんですか」と、冷たい一言に心が折れそうになりながら、精一杯の笑顔で答える。
「出戻りはしないけど、お腹が空いて死にそう。何か食べさせて。じゃなくて、お父様かお兄様に話をする前に、何か食べさせて。お願い」
そうだよ。お腹が空いてたら、戦に挑めないんだよ。まずはお腹を満たすことが先だよね。ミタなら、きっと食べさせてくれると期待していたのに
「申し訳ございません。大旦那様も、若旦那様もお嬢様が戻ってきたら、たとえお腹を空かせていようと、直ぐに呼ぶようにと言われてますので」
「えー」
すきっ腹のまま、戦闘かよー。負け戦覚悟かよー。とエリカが項垂れると、ミタが苦笑しながら、パンを差し出してくれる。
「お嬢様は、まだ帰って来ていませんからね。さぁ、とっとと食べて戦いに勝ってきてくださいませ。お嬢様の大好きなものをご用意しておきますから」
「ミターありがとう」
差し出されたパンを急いで頬張ると、胸につかえ、ミタが笑いながら牛乳を差し出してくれる。みんな、私の行動なんかお見通しなんだね。もう、戦う前に負けた気分だよー。そうだよね、最初にミタが出てくる所からして、この家では予想通りだったんだろうなー。と、すっかり戦う気力を削がれてしまったエリカだった。
とりあえず、パン1個だったけど、落ち着いた。よし!!と気合いを入れて裏口から入る。
通された部屋に入ると、やっぱり、間違いだったと、クルリと背を向けそうになったのを、グッと堪えた私!偉い!!と激励しつつ、冷たく見ている父と、ニヤニヤしながら見ている兄をみかえす。
「おはようございます?」
思わず、疑問形になってしまったよ。もう既に負けたよ。涙が出そうだよ。
「もう戻ってきたの?使えない子だね」とは兄。
「だって、屋敷には入れてもらえないし、食事も出して貰えないし」
兄の軽い口調に思わず愚痴が出てしまう
「言ったよね。平民が貴族に取り入るって大変だよって。お花畑のエリカちゃんは、ポヤポヤして聞かなかったよね」
声は優しいし、笑顔だけど、怖いよ。
「まさか、愛人がいるなんて思わなかったんだもん」
「だから甘いって言ったのにね。それで、どうしたいの?身ぐるみ剥がされて無一文のエリカちゃん」
ごめんなさい、ごめんなさい、お花畑の頭のエリカが悪うございました。謝って、泣いて家に戻らせて貰いたいと言いそうになった時
「お前の居場所はここにないから帰りなさい」
冷たい父親の声で頭が冷える。そうだよ。頑張れ私。居場所は自分で作るんだよ。
「お父様、世の中の冷たさは、昨日一晩で身に染みました。このままでは飢え死にです。だから、私に先行投資しませんか?」
「お前に何ができるんだ」
馬鹿にしたようにフンと笑われる。相変わらず声は冷たいけど、なんとなく目が優しいような?兄を見ると、面白そうにニヤニヤしているし。
大丈夫だ。これから話すことは兄には好評だったのだ。既に出だしで間違ったけど、お父様がやり直しを許してくれているんだ。と、一生懸命、新事業計画を説明する。
女の子の1番の興味ごとは綺麗であること。まずはスキンケアとヘアケア商品の販売からと思っていることと、自分で使ってみて良かったので、今は家の子達に使って貰って好評を得ていることを説明した。
「なんだ、そこまで進んでるのか」
あいも変わらずフンと鼻で笑う父の顔をそっと伺っていると兄が楽しげに
「まぁ15の娘がそんな事を考えているなんて、誰も思わないよね。あの人達、エリカを大切にしたらそれだけで大金が入ってきたのに馬鹿だね」
「それで、販売の目処は立っているんだな」
「はい。結婚して落ち着いたら仕入れを始めるつもりで仕入れ先はもう確保してましたので」
ひとまず、スキンケア用品を販売することで話が決まった。細かい契約書は兄が作ってくれるというので、それは全て任せることにした。
「エリカはやっぱり甘いな」
「お兄様が公明正大なのは知ってるし。お父様が作るなら不安だけどね」
「まぁ、好きにしなさい。それで子爵家はどうする」
一応、気にしてくれたらしいので、なんとなく嬉しかった。
「何もしなくていいですよ。かえって、好きなことが出来そうだし。お父様もお兄様も子爵家の名前はどんどん利用されて、持参金の元をお取りになってくださいな」
「あー。うちの夢見るエリカちゃんが、別人になっちゃったよ。許すまじ子爵家。きっちりエリカちゃんの涙分も絞り取って上げましょうね」
ひー...お兄様に目を付けられたら、どうなっちゃうんだろうね子爵家と心配になり、兄から目を逸らすと、今度は父と目が合い、うわっ、こっちもなんだかドス暗い炎が出ているみたいなんだけど…2人のことは見なかったことにしよう。うん、心の平安のために大切だね。
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