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親友
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「ここの学校は、少しどころかかなり変わっていて。
女子校であり、男女の恋愛は外でも禁止されているんだって。
しかも年収1000 万円くらいないと入れないらしいし、そもそもお金持ちの家しか近寄れないんだって。」
庶民の友香はそんな噂を耳にした。
べつにいいじゃない。親友が、まどかが今幸せに学校へ行けてるなら。
べつに、いいじゃない…。
まどかと友香は中学時代の友人であり、親友だった。
だがある日をきっかけに、まどかが学校を欠席するようになった。
いわゆる「イジメ」だ。
家庭科の授業中の出来事だった。
クラスでグループごとに分かれて料理を作ることになった。
まどかは家庭科の成績が、おおむね良かったため、すべてを任されてしまった。
(誰も話を聞いてくれない…やる気ないのかな。)
まどかと同じグループは、組み合わせが悪かった。
授業中も手鏡を離さずに、メイクを直してるギャル。
料理なんか女子に丸投げで、教科書に下品な落書きをしてゲラゲラ笑ってるバカな男子たち。
四人グループなのに、まともな話が出来る状態じゃなかった。
「みんな、雪野さんの話を聞いてよ!」
友香がグループの生徒たちをたしなめる。
けれど、誰も耳を貸さない。
「じゃあお前らがやれよ。俺ら料理とか知らねーし」
男子は食べることしか興味ないらしい。
「あたしー、ネイル剥げるからやりたくなーい」
茶髪の女子が長い髪をいじりながら、爪をチラチラ見てため息をつく。
「あの、これはグループのみんなでやらないといけない課題なの。みんな話し合いしよう?」
まどかはやっとの思いで、小声で振り絞って言った。
けれど、伝わらない。どうしよう。
(私がやらなくちゃ…)
「分かったわよ!まどか、私がついてるから、一緒に何作るか決めよ?」
助け船を出したつもりだった。
約束を守るつもりでいた。
もちろん嘘なんてつかなかった。
「うん…ありがと友香…」
落ち込んでる。動揺してる。
友香には分かった。まどかは一人で背負い込みすぎるところがあるということを。
シャープペンシルを持つ手が震えてる。
「じゃあ、何を作ればいいか挙げて下さい…」
まどかと友香しかまともに話し合いに参加しなかったので、結局オムライスを作ることになった。
けれど、まどかは家庭科の成績は大体良いのだけれど料理なんてほとんど、いや全くの未経験だったからあてにされるのはプレッシャーだった。
「大丈夫だよ!まどか。私も料理なんて出来ないけど教科書のレシピ通り四人前作れば良いんだから」
教科書には一人分の材料が載っている。これを掛ける四人分にすれば…。
言い訳かも知れない。でもまどかには友香しか味方はいなかった。
そして、友香もまどかを裏切るなんて思いもしなかったし、不可抗力だった。
調理実習当日、友香は学校を休んだ。
女子校であり、男女の恋愛は外でも禁止されているんだって。
しかも年収1000 万円くらいないと入れないらしいし、そもそもお金持ちの家しか近寄れないんだって。」
庶民の友香はそんな噂を耳にした。
べつにいいじゃない。親友が、まどかが今幸せに学校へ行けてるなら。
べつに、いいじゃない…。
まどかと友香は中学時代の友人であり、親友だった。
だがある日をきっかけに、まどかが学校を欠席するようになった。
いわゆる「イジメ」だ。
家庭科の授業中の出来事だった。
クラスでグループごとに分かれて料理を作ることになった。
まどかは家庭科の成績が、おおむね良かったため、すべてを任されてしまった。
(誰も話を聞いてくれない…やる気ないのかな。)
まどかと同じグループは、組み合わせが悪かった。
授業中も手鏡を離さずに、メイクを直してるギャル。
料理なんか女子に丸投げで、教科書に下品な落書きをしてゲラゲラ笑ってるバカな男子たち。
四人グループなのに、まともな話が出来る状態じゃなかった。
「みんな、雪野さんの話を聞いてよ!」
友香がグループの生徒たちをたしなめる。
けれど、誰も耳を貸さない。
「じゃあお前らがやれよ。俺ら料理とか知らねーし」
男子は食べることしか興味ないらしい。
「あたしー、ネイル剥げるからやりたくなーい」
茶髪の女子が長い髪をいじりながら、爪をチラチラ見てため息をつく。
「あの、これはグループのみんなでやらないといけない課題なの。みんな話し合いしよう?」
まどかはやっとの思いで、小声で振り絞って言った。
けれど、伝わらない。どうしよう。
(私がやらなくちゃ…)
「分かったわよ!まどか、私がついてるから、一緒に何作るか決めよ?」
助け船を出したつもりだった。
約束を守るつもりでいた。
もちろん嘘なんてつかなかった。
「うん…ありがと友香…」
落ち込んでる。動揺してる。
友香には分かった。まどかは一人で背負い込みすぎるところがあるということを。
シャープペンシルを持つ手が震えてる。
「じゃあ、何を作ればいいか挙げて下さい…」
まどかと友香しかまともに話し合いに参加しなかったので、結局オムライスを作ることになった。
けれど、まどかは家庭科の成績は大体良いのだけれど料理なんてほとんど、いや全くの未経験だったからあてにされるのはプレッシャーだった。
「大丈夫だよ!まどか。私も料理なんて出来ないけど教科書のレシピ通り四人前作れば良いんだから」
教科書には一人分の材料が載っている。これを掛ける四人分にすれば…。
言い訳かも知れない。でもまどかには友香しか味方はいなかった。
そして、友香もまどかを裏切るなんて思いもしなかったし、不可抗力だった。
調理実習当日、友香は学校を休んだ。
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