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僕のクラスのさえずりくん
第4話/僕を占領するさえずりくん
しおりを挟む僕は独りさえずりくんが作ってくれたお弁当を食べながら、先程見たさえずりくんの表情を思い出していた。
(あの表情は、なんなんだ?一体誰からの連絡だったんだ)
知らず知らずの内に〝さえずりくん〟は僕の心に入ってきていたんだ。
それに気付いた僕は
お弁当を食べ終えると、急いで教室へ向かった。
(さえずりくんに会いたい)
*****
教室に着くと、さえずりくんを目で探す。
ざっと見渡したが、その姿を確認する事は出来なかった。
(何処行ったんだ?トイレ?いや、まさか…)
僕は、たまたま近くにいたクラスメイトに問い掛ける
「ね!水っ…さえずりくん知らない?」
「さえずりぃ?さえずりなら、さっき帰ったぜ」
「ー?!!」
クラスメイトの口から衝撃の発言。
まだ授業が終わっていないのに、帰った、だと?!!!
僕は眩暈を感じた。
「まだ授業終わってないだろぉ、帰っちゃダメじゃない?」
僕はしな垂れながら、この世の終わりが来たとでも言うように呟いた。
明日、さえずりくんを捕まえよう
そう胸に誓うと僕は残りの授業を受けたのだった。
*****
授業も無事に終わり、僕は知り合いの家へと急いだ。
知り合い宅は、駅から一駅の所にある。
僕は切符売り場で切符を買うと改札口を通った。
電車に揺られながら、今日教える教科を頭の中で復習する。
だが、復習しなきゃいけないのに、僕の頭の中は、さえずりくんで占領されていく
(ダメだ!給金が発生する以上、ちゃんとしなきゃ)
自分の頬をペシッと叩くと、気合いを入れ直した。
そして教科書を取り出すと駅に着くまでの間、復習に勤しむのだった。
*****
知り合い宅に着くと、娘さんが出迎えてくれた。
「しょーくん!いらっしゃい!」
「しーちゃん、こんにちは」
しーちゃん事、詩雨ちゃんは僕の父の同僚の娘さんで、中学3年生。
僕の1個下だ。
僕はたまに彼女に勉強を教えている
「えへへー、会いたかった」
そう言うと彼女は僕に抱き付いてきた。
「しーちゃん、お勉強を始めようか」
背中をポンポンと撫でると彼女を引き剥がし、部屋へと向かう。
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