記憶喪失だったが、元奴隷獣人少女とイチャイチャしながらも大鎌担いで神を殺す旅に出ました！

第三章

3-3幕間「アオイの本心」

　カズナリさん一日独占権。

　それがこの模擬大会における優勝商品。

　私のカズナリさんを誰かに独占されるなんて絶対に嫌です。

　その役目はアタシだけが許されることなんですから。

　けど、この大会で優勝さえすればアタシがカズナリさんを独占できる……。

　本来ならアタシはカズナリさんに付いて回る女の子の一人です。

　カズナリさんにとってはただの女の子……。特に最近になってドロシーさんという……胸の大きな女の子が同行してしまいました。

　アタシとは比べ物にならない立派な胸です。

　ドワーフだからと一言で言ったものではないでしょう。ドワーフの中でも特に大きな部類に入るはずです。

　カズナリさんはあの夜アタシの胸を好きと言ってくださいました。ですが、男性は皆大きな胸が好きなのとお母様から聞きました……なので、カズナリさんもきっと。

　ですが！アタシにはドロシーさんには負けないお尻があります！カズナリさんが何度も好きと言ってくださったお尻です！

　ですが……。

　あの夜以来カズナリさんがアタシとまぐわってくださることはありませんでした。

　その都度アタシは心の奥に灯った炎を消すように何度も自分を慰めました。

　所詮アタシとカズナリさんの関係は一夜限りだったのでしょうか……。

　いや、違います。シグさんがいる部屋の中そのような行為をするわけはいきませんでした！だから、カズナリさんは我慢していたはずです！

　なので、正妻であるアタシがここで独占権を入手してカズナリさんの、その……積もり積もった……日頃の鬱憤を晴らさせてあげないとっ！

　そのためにもアタシはこの模擬大会に優勝する必要があります！

　と、そんなことを考えている間にカズナリさんはシグさんに勝利しておりました。

　シグさんのナイフ捌きは立派なものですが近距離禁止では流石に勝負はわかりませんでした。

　次の試合はドロシーさんです。

　ここで、もしドロシーさんが勝ってしまったら……。

　いえ、そんなことはありません！カズナリさんはどんな相手だとしても勝ちます。

　アタシが好いた人はそういう人です。

　あの人はどんな逆境でも勝ち、困った人を見過ごせないそういう人なのですから。

　けど、だから危なっかしいんです。

　どんな危険だろうとしても人のためなら飛び込んでしまう。だからアタシは好きであり不安で仕方ありません。

　なのでアタシが見守ってあげないといけないんです。

　今回だってエルレラさんのお願いを二つ返事で了承してしまって……。

　そんなことばかりやっていると、いつか自分が危険な目にあうに違いありません。

　ドロシーさんとカズナリさんの試合は見ていてハラハラドキドキしてしまいます。

　こんなに不安になることは何度もありました。

　そういえば昔、お母様に言われました。「アタシたちの種族は一途すぎるから好きになる人は選びなさい」と。

　それがこのことなのでしょうか。

　ですが、お母様。アタシの好きになった人は人一倍お人好しでアタシを不安にさせるそんな人でした。

　アタシの好きな人はそんな人なのです。お母様ごめんなさい。

　そうアタシは心の中で謝罪をするとともに今まさに試合をしている愛しい人は視線を移すのでした。