星の子ども

秋野 木星

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第二章 家での生活 1

6/26 たまに覚醒?

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先日、ラクーは臨死体験というんですか? 死後の世界を覗いてきた人の本を読みました。

一度、がん宣告をされてからこういう話が気になるんですよ。
将来の心づもりになりますからね。( ´艸`)

その人は、この世の身体は「着ぐるみ」のようなものとハッキリ言っていました。
この世は三次元の世界だけど、あの世は縦・横・高さに、時間と精神を加えた五次元になっているそうです。

そうするとたまたまリノの身体に入った「精神」くんは、この着ぐるみは動かしにくいなぁと感じているかもしれませんね。^^


今日のリノは目がパッチリと開いていて、相変わらずピンピンしていました。
ばあばはその筋緊張を利用して、リノの身体をサッと立ち上がらせたのです。

うまいこと立ちましたわ~

自分が立っていることに気づいたリノは「え、え? どーゆうこと?」と訳が分からないという顔をして目をキョトキョトさせていました。
ラクーが「今、リノは立ってるんだよ。上手だね」と言うと、ばあばの顔をじっと見てもの言いたそうに口を動かしながら、考え込んでいました。
しばらくすると膝が疲れて折れていきましたが、結構な時間、立っていました。

その後、庭に連れて行ったのですが、いつもより曇った空を真剣に眺めていました。

リノの目には何が見えたんでしょうね。

こんな風に、たまーに意識が通じるというか、本人も驚くほど覚醒している時があるんです。
身体が大きくなって、こういう時も増えてきたように思えます。
たまにこの子は話し出して、歩き出すのではないかと想像してしまいます。

リノには使い勝手の悪い着ぐるみが当たってしまいましたが、精神はリノの中でこの世の不思議を楽しんでいるのかもしれませんね。


昼のお風呂の準備で、引き出しからリノの人工鼻を出している時に、中身の数の少なさにドキリとしました。
そういえば来月、胃瘻の手術で入院するんでした。
うちの病院は物品の数をきっかり日割りで支給してくれるので、余分というものがただの1個もないんですよ。(^_^;)

「来月」というと遠い先のことと思っていましたが、「来週」の月曜日には入院でした。
Σ(・ω・ノ)ノ! 6月が過ぎていくのはあっという間でしたね。

今日は伸びすぎていたリノの髪を、少しだけネムルーが切りそろえました。
「病院へ行くんだから、綺麗にしとかないとね」

リノはお母さんの言うことをよく聞いて、神妙にしていましたよ。

体調が良いままで手術の日を迎えられたらいいな。
それだけを祈っています。
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