102 / 107
第三章 飯屋
成長
しおりを挟む
9月40日に催される叙勲式が近づくと、パーティーの数はますます多くなっていった。
セリカは妊娠中でもあるので、ダニエルが厳選したパーティーにだけ出席していた。
しかしバノック家のパーティーでの噂が広がっているのか、どこに行っても奥様方に名刺を渡されて、レストランや刺繍教室の案内を送ってほしいと言われることが多かった。
パーティーの翌朝には、たいていセリカが束になった名刺を持って事務室に来るので、シビルにも笑われた。
「セリカ様は素晴らしい広告塔ですね。」
広告塔と言えば、セリカはジュリアン王子を広告塔にしてピザの宅配店を作ろうかと思っていたのだが、ダニエルに子どもを産んだ後にしなさいと叱られてしまった。
確かに、言われる通りだね。
身体のことを考えて、徐々に進めていくべきだな。
そんな忙しい日々を送っているうちに、フェルトン子爵一家とダレニアン伯爵夫妻が叙勲式に出席するために、ラザフォード侯爵邸に滞在する日が来た。
馬車から降りてきたクリストフ様は、いやに神妙な様子だった。
「ダニエル、セリカ、久しぶり。今日は世話になります。」
「よく来たな。子爵位の叙勲、おめでとう!」
「クリストフ様、この度はおめでとうございます。」
ダニエルとセリカの顔を見ても、いつものクリストフ様の軽口が出てこない。
どうしたんだろう?
「柄になく緊張してるんだ。ここに来るまでにも、皆にからかわれてたんだよ。」
クリストフ様のぼやき声に、家族の人たちも後ろで苦笑している。
宮殿で、国内のほとんどの貴族が出席した中で叙勲されるそうなので、式のことを思うと落ち着かないのかもしれない。
その日の夕食は賑やかだった。
家族ばかりなのでいつもは子ども部屋で食べる子ども達も一緒に食事をしたのだが、ティムくんとアルマちゃんの成長に驚いた。
ティムくんは話すのが上手くなっていて、「なんで? どうして?」と大人の会話にも入って来るし、大人がすることをよく見ていて、ポソッとうまい言葉を言ったりするので、油断が出来なくなっている。
「パパはおしゃべりなのに、きょうはキンチョーしてるんだよね。」
ティムくんがそう言った時には、セリカは吹き出しそうになった。
ダニエルはクリストフ様に対して遠慮がないので、声をあげて笑っていた。
アルマちゃんの方は、芸が出来るようになっていて、「アルマちゃん!」と呼ぶと「アー!」と返事をして手を挙げてくれる。
食事が済んで、部屋に帰るアルマちゃんに「またね!」と手を振ると、バイバイと笑いながら手を横に振ってくれた。
可愛いー。
周りに小さい子がいないので、2人を見ていると飽きない。
この子も、あんな風になるのかしら?
セリカは少し大きくなったお腹を、そっとさすったのだった。
◇◇◇
翌日の叙勲式の日は、早めに起きて食事をして服を整えるという、結婚式の日のような気ぜわしい朝だった。
全員が正装して馬車に乗り込む頃には、ちょっと疲れを感じたほどだ。
ダニエルがダレニアン伯爵夫妻とクリストフ様が乗り込まれた馬車に同乗したので、セリカはマリアンヌさんやペネロピと一緒の馬車に乗せてもらった。
「良かった、馬車に乗れたら一安心ね。アルマがお乳を飲むのを止めないから出発が間に合わないかと思ったわ。」
ペネロピは以前よりお母さんらしくなったようだ。
前はまだ新嫁さんの初々しさがあったが、この半年で逞しくなったように感じる。
「魔導車だから大丈夫よ。王都は道もいいし。アルマも皆の緊張が伝わって不安になったんじゃない? ティムもこの服は着ないって言って手こずらせたのよ。」
「でも新しく雇われた教育係のエモリーさんが、上手くティムくんをのせて着せてましたね。」
「ええ。ジョシュが生まれてからティムが赤ちゃん返りをしちゃってね。手がかかり出したから、ちょっと早めに教育係を頼んだの。エモリーが出来る人で助かってるわ~。」
マリアンヌさんも2人のお母さんになると大変だ。
それでも貴族は使用人を雇えるからまだ楽なんだろうな。
ハリーのお姉さんのミランダなんて、赤ちゃんを背負って両手に子どもの手を引いて里帰りしてたもの。
王宮に近づく頃には周りにも馬車が増えて、いつにない行列ができていた。
少しずつ宮殿の中に飲み込まれていく馬車の列の中で、クリストフ様ではないけれどセリカも徐々に緊張してきていた。
魔法量検査なんかで王宮の事務を行う場所には行ったことがあるけど、王族が住まう宮殿内には入ったことがないのよね。
馬車が止まったので、一番にセリカが降りると、そこには天までそびえたつような高い柱が林立していた。
見事な装飾が施されている柱の林の中を、大勢の人たちが入り口に向かって歩いている。
「セリカ、待ってたよ。」
ダニエルとクリストフ様が第一夫人をエスコートするために、セリカたちの馬車の到着を待っていてくれたようだ。
皆で大きな扉のところへ歩いていくと、宮殿の係の人が1人やってきて、クリストフ様の胸にリボンをつけた。
そしてクリストフ様とマリアンヌさんだけを、別の場所に連れて行った。
…こういう時も第一夫人だけなんだね。
ちょっとペネロピが可愛そう。
セリカがペネロピを振り返ると、にっこりと笑い返してくれた。
強くなってる。
もう悩んでいたあのペネロピのままじゃないんだね。
入り口の扉をくぐると、大きな声で1組ずつ到着を知らせるように名前を呼ばれるようだ。
「ラザフォード侯爵閣下並びに侯爵夫人!」
ダニエルとセリカが名前を呼ばれると、会場の中にいた大勢の人たちが一斉にこちらを向いたのがわかった。
ひぇ~、注目されてるし…。
でも、私もしっかりと顔をあげて前を向いて行かなくちゃね。
セリカはペネロピに負けないように、背筋を伸ばして会場に入って行った。
その時、足早にこちらにやって来る大きな身体のおじいさんが見えた。
お年寄りのわりに足腰がしっかりしているようだ。
後ろから追いかけているお付きの人が出遅れている。
「う、めんどくさい人間に見つかったぞ。」
「誰なの?」
「…ビショップ公爵だ。」
あの人がビショップ公爵?!
名前はよく聞いていたが、お目にかかるのは初めてだ。
いったいどんな人なんだろう?
セリカは妊娠中でもあるので、ダニエルが厳選したパーティーにだけ出席していた。
しかしバノック家のパーティーでの噂が広がっているのか、どこに行っても奥様方に名刺を渡されて、レストランや刺繍教室の案内を送ってほしいと言われることが多かった。
パーティーの翌朝には、たいていセリカが束になった名刺を持って事務室に来るので、シビルにも笑われた。
「セリカ様は素晴らしい広告塔ですね。」
広告塔と言えば、セリカはジュリアン王子を広告塔にしてピザの宅配店を作ろうかと思っていたのだが、ダニエルに子どもを産んだ後にしなさいと叱られてしまった。
確かに、言われる通りだね。
身体のことを考えて、徐々に進めていくべきだな。
そんな忙しい日々を送っているうちに、フェルトン子爵一家とダレニアン伯爵夫妻が叙勲式に出席するために、ラザフォード侯爵邸に滞在する日が来た。
馬車から降りてきたクリストフ様は、いやに神妙な様子だった。
「ダニエル、セリカ、久しぶり。今日は世話になります。」
「よく来たな。子爵位の叙勲、おめでとう!」
「クリストフ様、この度はおめでとうございます。」
ダニエルとセリカの顔を見ても、いつものクリストフ様の軽口が出てこない。
どうしたんだろう?
「柄になく緊張してるんだ。ここに来るまでにも、皆にからかわれてたんだよ。」
クリストフ様のぼやき声に、家族の人たちも後ろで苦笑している。
宮殿で、国内のほとんどの貴族が出席した中で叙勲されるそうなので、式のことを思うと落ち着かないのかもしれない。
その日の夕食は賑やかだった。
家族ばかりなのでいつもは子ども部屋で食べる子ども達も一緒に食事をしたのだが、ティムくんとアルマちゃんの成長に驚いた。
ティムくんは話すのが上手くなっていて、「なんで? どうして?」と大人の会話にも入って来るし、大人がすることをよく見ていて、ポソッとうまい言葉を言ったりするので、油断が出来なくなっている。
「パパはおしゃべりなのに、きょうはキンチョーしてるんだよね。」
ティムくんがそう言った時には、セリカは吹き出しそうになった。
ダニエルはクリストフ様に対して遠慮がないので、声をあげて笑っていた。
アルマちゃんの方は、芸が出来るようになっていて、「アルマちゃん!」と呼ぶと「アー!」と返事をして手を挙げてくれる。
食事が済んで、部屋に帰るアルマちゃんに「またね!」と手を振ると、バイバイと笑いながら手を横に振ってくれた。
可愛いー。
周りに小さい子がいないので、2人を見ていると飽きない。
この子も、あんな風になるのかしら?
セリカは少し大きくなったお腹を、そっとさすったのだった。
◇◇◇
翌日の叙勲式の日は、早めに起きて食事をして服を整えるという、結婚式の日のような気ぜわしい朝だった。
全員が正装して馬車に乗り込む頃には、ちょっと疲れを感じたほどだ。
ダニエルがダレニアン伯爵夫妻とクリストフ様が乗り込まれた馬車に同乗したので、セリカはマリアンヌさんやペネロピと一緒の馬車に乗せてもらった。
「良かった、馬車に乗れたら一安心ね。アルマがお乳を飲むのを止めないから出発が間に合わないかと思ったわ。」
ペネロピは以前よりお母さんらしくなったようだ。
前はまだ新嫁さんの初々しさがあったが、この半年で逞しくなったように感じる。
「魔導車だから大丈夫よ。王都は道もいいし。アルマも皆の緊張が伝わって不安になったんじゃない? ティムもこの服は着ないって言って手こずらせたのよ。」
「でも新しく雇われた教育係のエモリーさんが、上手くティムくんをのせて着せてましたね。」
「ええ。ジョシュが生まれてからティムが赤ちゃん返りをしちゃってね。手がかかり出したから、ちょっと早めに教育係を頼んだの。エモリーが出来る人で助かってるわ~。」
マリアンヌさんも2人のお母さんになると大変だ。
それでも貴族は使用人を雇えるからまだ楽なんだろうな。
ハリーのお姉さんのミランダなんて、赤ちゃんを背負って両手に子どもの手を引いて里帰りしてたもの。
王宮に近づく頃には周りにも馬車が増えて、いつにない行列ができていた。
少しずつ宮殿の中に飲み込まれていく馬車の列の中で、クリストフ様ではないけれどセリカも徐々に緊張してきていた。
魔法量検査なんかで王宮の事務を行う場所には行ったことがあるけど、王族が住まう宮殿内には入ったことがないのよね。
馬車が止まったので、一番にセリカが降りると、そこには天までそびえたつような高い柱が林立していた。
見事な装飾が施されている柱の林の中を、大勢の人たちが入り口に向かって歩いている。
「セリカ、待ってたよ。」
ダニエルとクリストフ様が第一夫人をエスコートするために、セリカたちの馬車の到着を待っていてくれたようだ。
皆で大きな扉のところへ歩いていくと、宮殿の係の人が1人やってきて、クリストフ様の胸にリボンをつけた。
そしてクリストフ様とマリアンヌさんだけを、別の場所に連れて行った。
…こういう時も第一夫人だけなんだね。
ちょっとペネロピが可愛そう。
セリカがペネロピを振り返ると、にっこりと笑い返してくれた。
強くなってる。
もう悩んでいたあのペネロピのままじゃないんだね。
入り口の扉をくぐると、大きな声で1組ずつ到着を知らせるように名前を呼ばれるようだ。
「ラザフォード侯爵閣下並びに侯爵夫人!」
ダニエルとセリカが名前を呼ばれると、会場の中にいた大勢の人たちが一斉にこちらを向いたのがわかった。
ひぇ~、注目されてるし…。
でも、私もしっかりと顔をあげて前を向いて行かなくちゃね。
セリカはペネロピに負けないように、背筋を伸ばして会場に入って行った。
その時、足早にこちらにやって来る大きな身体のおじいさんが見えた。
お年寄りのわりに足腰がしっかりしているようだ。
後ろから追いかけているお付きの人が出遅れている。
「う、めんどくさい人間に見つかったぞ。」
「誰なの?」
「…ビショップ公爵だ。」
あの人がビショップ公爵?!
名前はよく聞いていたが、お目にかかるのは初めてだ。
いったいどんな人なんだろう?
37
お気に入りに追加
2,370
あなたにおすすめの小説
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
RD令嬢のまかないごはん
雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。
都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。
そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。
相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。
彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。
礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。
「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」
元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。
大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!
ひめさまはおうちにかえりたい
あかね
ファンタジー
政略結婚と言えど、これはない。帰ろう。とヴァージニアは決めた。故郷の兄に気に入らなかったら潰して帰ってこいと言われ嫁いだお姫様が、王冠を手にするまでのお話。(おうちにかえりたい編)
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~
深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。
ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。
それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?!
(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜
青空ばらみ
ファンタジー
一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。
小説家になろう様でも投稿をしております。
ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない
兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる