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触って欲しい?

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「エッチなことしてみない?」


 そう艶っぽく囁いてくるお義兄ちゃんは眼鏡のせいで知らない男の人みたいで。

 いつもと違う髪型、いつもと違う服装、いつもと違う香り。
 その全てが新鮮でドキドキしてしまう。
 あぁ、本当に。どんな格好のお義兄ちゃんも本当に本当にカッコいい。

 だから。
 だから私はもっともっと色んな表情のお義兄ちゃんが見たい。

「……私の知らないおにぃちゃん、見せてくれる?」

 私の答えを聞いたお義兄ちゃんがふっと微笑んで顔の角度を傾ける。
 フレームが当たらないように静かにゆっくりと。
 けれどレンズ越しの瞳の中に私をとらえたまま。

 唇が重なる。

 私の人生で初めてのキス。
 ふにふにと最初は触れるだけで。
 何度か啄まれて自然と開いた口をペロリと舐められる。

「もっと大きくアーンってして?」

 優しく穏やかな声に、催眠術にかかったみたいに霞んだ思考でただ従った。

「んっ……」

 この気持ちをなんて表現したらいいんだろう。
 自分以外の人の舌が自分の口に入ってくるなんて。
 例えばこれがお義兄ちゃん以外の誰かのものだったら。とてもじゃないけど嫌悪感で受け入れられない。

 でも。
 でも今、私の口の中を擽っているのは大好きなお義兄ちゃんの舌で。

 歯列の裏、上顎、そして私の舌。
 くちゅくちゅと擦り合わせる度に背中が喜びで震えた。
 ツッ……と銀糸を引きながら離れる唇が恋しい。

「っは、ぁ」

「……ずっと、七海ちゃんにこうして触れたかったんだ」

「あ……っ」

 耳の中に熱い囁きと吐息を吹き込まれて背中がしなる。
 大きな手が、お義兄ちゃんの前に差し出すようになった胸を包む。外側から内側へ。カットソーとブラの上からやわやわと揉まれるうちに、布を隔てた刺激がじれったくて堪らなくなる。

「七海ちゃん、敏感なんだね。俺が触る度にぴくって動いてて、可愛い」

「ぁんっ!」

 カットソーの中に潜り込んだお義兄ちゃんの指が、ブラをずらしてクリクリと先端をいじめる。それだけで目の前にチカチカと白い光が散って大きな声が出てしまう。

「ここ、自分で触ったことある? 七海ちゃんに恋人がいたことないのは知ってるけど……」

「ぁ、あ、あっ」

「こんなに感じやすいなんて、もしかして自分で触ったことあるんじゃない?」

「…………」

「七海ちゃん?」

「ひゃんっ!」

 おしおき。そう言ってきゅっと強めに摘ままれて、カリカリとひっかかれる。
 触られているのは胸なのにお腹が切なく疼く。頭が沸騰する。

「七海ちゃんが自分でエッチなことしたことあるか、おにぃちゃんに教えてごらん?」

「…………る」

「ん?」

「……ぁる…………」
 
「よく言えました。いいこの七海ちゃんには、自分じゃできない気持ちいいことしてあげるね。はい、バンザイして」

 小さな子にするみたいに私のカットソーを脱がせると、再びお義兄ちゃんが覆い被さってくる。
 私はブラに短パン姿なのに、お義兄ちゃんは少しも乱れのないスーツのままで、それが余計に羞恥を煽った。

「ひあっ?!」

 ぱくり。ずらされたブラからこぼれた乳首をお義兄ちゃんが口に含む。片方の乳首は舌と唇で。もう片方は指でしごくように刺激されて腰がくねるのを止められない。

「あ、や、ぁ、あ! おにぃ、ちゃん! あ、あっ!」

 思わずお義兄ちゃんの頭にすがりつくように抱えると、後ろに流していた前髪がハラリと落ちて壮絶な色気を放つ。

「……ごめんね七海ちゃん。眼鏡、外すね」

「きゃあぅ!」

 乱暴に眼鏡をベッドサイドテーブルに投げ捨てて、お義兄ちゃんは私の胸を激しく揉みしだきながら先端に吸い付いてきた。
 ヌルヌルと動く舌と甘噛み。
 その両方ともが自分でしてる時には体験したことのない快楽で。
 じゅわりと下着が濡れていくのがわかった。

「太もも、モジモジしてる。……こっち・・・も触って欲しい?」

 焦らすようにお義兄ちゃんの長い指が短パンの裾のきわどい部分を行き来する。


「……て。触って、おにぃちゃん」

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