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後日談
とある王子のひとりごと
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異界の王国ベグラガド。
この国の第三王子の朝は早い。
彼の一日は、隣で眠る愛しい人を眺めるところから始まる。
卵型の小さな顔。肌理の細かい白い肌。
ぽってりとした愛らしい桃色の唇を少し開け、銀色のまつ毛を伏せる寝顔はあどけない。
その姿は身震いするほど可愛らしい。
(ああアリシア。早く貴女のその菫色の瞳で見つめられたいという思いと、ずっとこの顔を見ていたいという相反する思いを、僕は毎朝抱えているのです)
彼女がこの世界に来てから十日。
王子の初恋の炎は燃えっぱなしだ。
むしろ彼女の新たな一面を知る度にその炎は燃えあがり勢いが衰える気配すら無い。
ふと彼女が寝返りをうち、はだけた脚が目に入った。
人間界のネグリジェというものは大層悩ましい構造になっているものだ。
その光景にむくむくと不埒な悪戯心が湧いてくる。
つ……っとふくらはぎに指を滑らせる。
よほど深く眠っているのか愛しい人はぴくりとも動かない。
(昨日もたくさん啼かせてしまいましたからね)
まるで美術品を扱うように小さな踵を持ち上げつま先に唇を落とした。
彼女のものなら足の小指の爪だって宝石以上の価値が有る。
そのままなんの躊躇も無くその指を口に含む。
一本一本丁寧に舐めあげると、さすがにくすぐったかったのか長いまつ毛が震えた。
「ん、……ん~? ────えっ?!」
飛び起きた彼女の頬には枕の跡がついていた。
そんなところまでが愛しく感じられ心が躍るのだから、まったく恋と言うものは素晴らしい。
「おはようございますアリシア。今日も良い天気ですよ」
まだ現状を把握できずに困惑する紫の瞳に微笑みかけながら唇を移動させる。
「ちょ、ヴェル! どこ触って……っ!」
抵抗しようとする手を緩く押さえつけ、白く柔らかな太ももの内側を力を込めて吸う。
「ひゃ?! な、なに?!」
「枕の跡を頬に残す貴女も可愛らしいですが、やはり貴女に似合うのはこちらだと思いまして」
そこには散った薔薇の花弁のような紅い跡がついていた。
「本当はもっと見えるところにたくさんつけたいのですけれど。貴女は恥ずかしがり屋ですからね」
「跡を見つけたジャレスとリィンに温か過ぎる目で見られるこっちの身にもなってちょうだい……」
「僕につけてくださっても良いんですよ? もう唇の傷も治ってしまいましたし」
「そう言う問題じゃなくて……」
困ったように言葉を探す彼女を、もっと困らせてみたくて跡を撫でていた指で足の付け根へ触れる。
誰かをわざと困らせようなど、子供の時ですら思ったことが無いのに、アリシアと居ると自分の新たな面にも出会う。
「んっ、やっ」
「嫌? 本当に? 数刻前まで僕を受け入れていたここはまだ柔らかいですよ」
甘い声に誘われるように、下着をずらし指を沈める。
初めての時はまだ硬い蕾のようだったそこも、最近ではだいぶ自分を受け入れることに慣れてきた。
ゆるゆると中をなぞると彼女の蜜以外のものが出てくる。
「ああ、昨晩の残滓が出てきました」
「そん、なのっ、言わな……っ、あぁ!」
「本当に早く孕んでしまえば良いのに」
既に自分の身体のことのように覚えた悦い部分を突いてやると一層彼女の声が甘くなる。
その声に、堪らなく興奮した。
小刻みに指を動かしていると段々とアリシアの腰が浮いてきた。絶頂が近いらしい。
抵抗していた手も、今はすがるように自分の肩を掴んでいる。
汗の滲んできた額に口づけをしながら更に指を動かす。
「あっ、あぁぁぁあっ!」
彼女が高い声を上げると同時に、温かい肉壁がうねうねと指に絡みついた。
はぁはぁと息を吐く様子を見ながらそっと指を引き抜く。
「もう、僕の唾液の効果が無くても快楽を享受できるようになりましたね」
「ん、ヴェルぅ、気持ちよかった……」
呂律の回らない口調でそんなことを言われたら、今日の予定を無視してまた抱き潰してしまいそうだ。
「ヴェルぅ……」
そんな王子の理性は、甘えるように頬を擦り寄せてくる愛しい人を前にあっさりと崩壊する。
押し倒されたアリシアが自分の失態に気が付いた時にはもう遅い。
「はっ! ちょっと待って! 今は寝ぼけてたって言うかなんて言うかっ! なし! 今のなし!」
「すぐに有りにしてみせますよ」
母親譲りの笑顔の威力を自覚しながら、ぶんぶんと首を横に振る可愛い人に笑いかける。
「ちょ、ほら! 今日は私っ、ダンスと王族の歴史についての授業が! あなたとの結婚へ向けて!」
「貴女の花嫁姿も楽しみですが、僕にとっては目の前の貴女の方が重要です」
こうして、情熱的な第三王子のせいで今日も彼の花嫁はベッドから出られないのであった。
そんな二人の様子を、城中の人間が微笑ましく見守っていることを、アリシアだけが知らない。
fin
この国の第三王子の朝は早い。
彼の一日は、隣で眠る愛しい人を眺めるところから始まる。
卵型の小さな顔。肌理の細かい白い肌。
ぽってりとした愛らしい桃色の唇を少し開け、銀色のまつ毛を伏せる寝顔はあどけない。
その姿は身震いするほど可愛らしい。
(ああアリシア。早く貴女のその菫色の瞳で見つめられたいという思いと、ずっとこの顔を見ていたいという相反する思いを、僕は毎朝抱えているのです)
彼女がこの世界に来てから十日。
王子の初恋の炎は燃えっぱなしだ。
むしろ彼女の新たな一面を知る度にその炎は燃えあがり勢いが衰える気配すら無い。
ふと彼女が寝返りをうち、はだけた脚が目に入った。
人間界のネグリジェというものは大層悩ましい構造になっているものだ。
その光景にむくむくと不埒な悪戯心が湧いてくる。
つ……っとふくらはぎに指を滑らせる。
よほど深く眠っているのか愛しい人はぴくりとも動かない。
(昨日もたくさん啼かせてしまいましたからね)
まるで美術品を扱うように小さな踵を持ち上げつま先に唇を落とした。
彼女のものなら足の小指の爪だって宝石以上の価値が有る。
そのままなんの躊躇も無くその指を口に含む。
一本一本丁寧に舐めあげると、さすがにくすぐったかったのか長いまつ毛が震えた。
「ん、……ん~? ────えっ?!」
飛び起きた彼女の頬には枕の跡がついていた。
そんなところまでが愛しく感じられ心が躍るのだから、まったく恋と言うものは素晴らしい。
「おはようございますアリシア。今日も良い天気ですよ」
まだ現状を把握できずに困惑する紫の瞳に微笑みかけながら唇を移動させる。
「ちょ、ヴェル! どこ触って……っ!」
抵抗しようとする手を緩く押さえつけ、白く柔らかな太ももの内側を力を込めて吸う。
「ひゃ?! な、なに?!」
「枕の跡を頬に残す貴女も可愛らしいですが、やはり貴女に似合うのはこちらだと思いまして」
そこには散った薔薇の花弁のような紅い跡がついていた。
「本当はもっと見えるところにたくさんつけたいのですけれど。貴女は恥ずかしがり屋ですからね」
「跡を見つけたジャレスとリィンに温か過ぎる目で見られるこっちの身にもなってちょうだい……」
「僕につけてくださっても良いんですよ? もう唇の傷も治ってしまいましたし」
「そう言う問題じゃなくて……」
困ったように言葉を探す彼女を、もっと困らせてみたくて跡を撫でていた指で足の付け根へ触れる。
誰かをわざと困らせようなど、子供の時ですら思ったことが無いのに、アリシアと居ると自分の新たな面にも出会う。
「んっ、やっ」
「嫌? 本当に? 数刻前まで僕を受け入れていたここはまだ柔らかいですよ」
甘い声に誘われるように、下着をずらし指を沈める。
初めての時はまだ硬い蕾のようだったそこも、最近ではだいぶ自分を受け入れることに慣れてきた。
ゆるゆると中をなぞると彼女の蜜以外のものが出てくる。
「ああ、昨晩の残滓が出てきました」
「そん、なのっ、言わな……っ、あぁ!」
「本当に早く孕んでしまえば良いのに」
既に自分の身体のことのように覚えた悦い部分を突いてやると一層彼女の声が甘くなる。
その声に、堪らなく興奮した。
小刻みに指を動かしていると段々とアリシアの腰が浮いてきた。絶頂が近いらしい。
抵抗していた手も、今はすがるように自分の肩を掴んでいる。
汗の滲んできた額に口づけをしながら更に指を動かす。
「あっ、あぁぁぁあっ!」
彼女が高い声を上げると同時に、温かい肉壁がうねうねと指に絡みついた。
はぁはぁと息を吐く様子を見ながらそっと指を引き抜く。
「もう、僕の唾液の効果が無くても快楽を享受できるようになりましたね」
「ん、ヴェルぅ、気持ちよかった……」
呂律の回らない口調でそんなことを言われたら、今日の予定を無視してまた抱き潰してしまいそうだ。
「ヴェルぅ……」
そんな王子の理性は、甘えるように頬を擦り寄せてくる愛しい人を前にあっさりと崩壊する。
押し倒されたアリシアが自分の失態に気が付いた時にはもう遅い。
「はっ! ちょっと待って! 今は寝ぼけてたって言うかなんて言うかっ! なし! 今のなし!」
「すぐに有りにしてみせますよ」
母親譲りの笑顔の威力を自覚しながら、ぶんぶんと首を横に振る可愛い人に笑いかける。
「ちょ、ほら! 今日は私っ、ダンスと王族の歴史についての授業が! あなたとの結婚へ向けて!」
「貴女の花嫁姿も楽しみですが、僕にとっては目の前の貴女の方が重要です」
こうして、情熱的な第三王子のせいで今日も彼の花嫁はベッドから出られないのであった。
そんな二人の様子を、城中の人間が微笑ましく見守っていることを、アリシアだけが知らない。
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