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チョコレート

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「や、んっ……もぅ、やっ」
「また嫌? 本当にサーヤはワガママだなぁ」
言葉とは裏腹に楽しそうな声が背後から聞こえる。

ふかふかと柔らかいラグの上でうつ伏せになり、お尻だけを高く上げたとんでもない体勢。
しかも未だにTシャツは着たままだから余計に恥ずかしい。
トロトロとした愛液が太ももの裏を伝っていく。
その感触を感じる度に、寒気とは別の意味で肌が粟立つ。
きっと私の後ろに居る彼には全て見えてしまっているだろう。

「でもサーヤ。君の中の動き……また変わってきたよ?」

イキそう?
囁きと共に指が私の最奥を突く。ぐちゃぐちゃにかき回されてその言葉通りに快感が弾けた。

「君のうなじも腰も、汗ばんでピンクに染まってて可愛い……」
腰にキスを落とされて、その刺激だけで崩れ落ちる。
もう何度イッたかわからないこの身体は敏感だった。

強すぎる快楽に何も考えられない。
まるでリキュールの入ったチョコレートの海に溺れているみたいだ。
直接触って欲しいと懇願してから、ずっと累さんの指と舌でイかされ続けていた。

「本当は今すぐにでも君を抱きたいんだけど、今はゴムが無いから……」

だから、手で触って?
そう手を取られてボーっとした頭のままそこに触れる。
ソレは既に熱く硬かった。
累さんの手が私の手ごと自身を扱く。

手は彼に触れたまま仰向けに組み敷かれキスをされた。
私の手を導いていた手が離れても動かし続ける。

「……っは」
彼が熱い吐息を漏らし口づけが深くなる。
舌を激しく絡められて酸欠になりそうだ。

「も、イく」
私の手の中の彼が震えた瞬間、視界が白く染まった。
そして流れ込んでくる甘い甘い彼の精気。
その濃厚な気を受け止めて、私は意識を失った────







「……あ、もしもしりん? そう、累だけど」

聞こえてきた声にぼんやりと瞼を上げる。
ここはどこで、私は何をしていたんだったけ?
身体を包むツルツルとした感触が気持ちいい。

「そう。二十歳前後で、身長は160センチくらい──」

どこかで誰かが話している。
落ち着いたトーンの、ずっと聞いていたくなるような声。

「下着とか靴はその辺のサイズを何種類か。お前が選んで笠井かさいに持たせてくれれば良いから」

この声は……

(累さん?)

ぱちりと視界が開き思考がクリアになる。
そうだ、私は累さんに『食事』をさせて貰って気絶したんだった。

(でもここはリビングじゃない、よね……)

今は私がいるのは広いベッドの上。
ツルツルしていたのは濃い青のサテンのシーツだった。

(また高そうなシーツだなぁ)

「あ、起きた? おはよう」
シーツの高級な手触りに感心しているとドアが開いて累さんが顔を覗かせる。

「おはようございます。……と言うことは今は朝ですか?」
「うん。朝の9時だよ。よく寝てたからベッドまで運んだんだけど、身体、辛くない?」
「すみません……大丈夫です、元気です」
累さんが清めてくれたのかベタベタもしていなかった。

「起きてから鏡見た?」
「いえ、今目が覚めたばかりなので。……よだれの跡とかついてます?」
「よだれは垂れてないから大丈夫だよ」
苦笑しながら累さんが指差した姿見に目を向ける。
そこにはまた少し成長した私が映っていた。

「二十歳ぐらいかな?」
「そう、ですね。それぐらいでしょうか」
なんとなく胸に手をやれば膨らみも大きくなっていた。

「今、これからうちの人間が君の服を届けに来るから」
「……え?」
「そこから好きなものを選んだら、それを着て買い物に行こう?」

デートしようよ。
そう言って累さんは楽しそうに微笑んだ。

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