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外伝2【紅玉の眸の獣】
閑話――夢のあわい
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*
ぎし。
廊下が軋む音がする。微睡みの海に沈んでいた白陽の意識が緩やかに浮きあがる。いつの間にか眠っていたらしい。飛次はいない。周りも片付けられ、白陽には布団がかけられていた。
ぎし。
また、足音がする。飛次だろうか? 呼吸がかすかに聞こえる。刀が鳴っている。規則的な音を立てている。耳が痛くなるほどの静寂、どこへ行くのだろう。こんな夜中に。外は暗い。薄い紙を通して忍び込んでくる闇が、夜の深さを物語っている。
ぎし。
階段のほうに、向かっている。時折かつりと、何かが木床を打っている。わずか乱れた息ばかり、静まる闇を震わせる。
――あァ、まだ、足りねェよ。
そんなささやきが耳に届く。まだ酒が足りないのだろうか。よく飲む人だ。二日酔いになってしまうだろうに。
またとろとろと、眠りの中へ沈んでいく。
――もっと、欲しい。もっと。もっと……。
熱を孕み、濡れた声。かすんでいく意識の中に小さく響く。ぎし、きし、ぎし。足音がゆっくり遠ざかる。一階に降りていったのだろうか。あとで飲みすぎはよくないと、言っておかなければ。
そんなとりとめもないことを考えながら、白陽は再び眠りに落ちていった。
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ぎし。
廊下が軋む音がする。微睡みの海に沈んでいた白陽の意識が緩やかに浮きあがる。いつの間にか眠っていたらしい。飛次はいない。周りも片付けられ、白陽には布団がかけられていた。
ぎし。
また、足音がする。飛次だろうか? 呼吸がかすかに聞こえる。刀が鳴っている。規則的な音を立てている。耳が痛くなるほどの静寂、どこへ行くのだろう。こんな夜中に。外は暗い。薄い紙を通して忍び込んでくる闇が、夜の深さを物語っている。
ぎし。
階段のほうに、向かっている。時折かつりと、何かが木床を打っている。わずか乱れた息ばかり、静まる闇を震わせる。
――あァ、まだ、足りねェよ。
そんなささやきが耳に届く。まだ酒が足りないのだろうか。よく飲む人だ。二日酔いになってしまうだろうに。
またとろとろと、眠りの中へ沈んでいく。
――もっと、欲しい。もっと。もっと……。
熱を孕み、濡れた声。かすんでいく意識の中に小さく響く。ぎし、きし、ぎし。足音がゆっくり遠ざかる。一階に降りていったのだろうか。あとで飲みすぎはよくないと、言っておかなければ。
そんなとりとめもないことを考えながら、白陽は再び眠りに落ちていった。
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