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第3話
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「それで、これからどうするの?」
「まずはパーティで動くことに慣れないといけないから、簡単なクエストを受けるの。私とゴーシュとドロワの三人ならそう難しくないやつ」
冒険者ギルドでパーティを組んだルーナたちは受付嬢にクエストを発注してもらう。
「このクエストなら、パーティでの立ち回りに慣れるにはちょうどいいと思いますよ」
受付嬢はパーティの中でもリーダーっぽいゴーシュに依頼書を渡す。
「えっと……街道に出るゴブリン退治?」
「うん。近くの村から物資を運ぶためにこの街道を行き来するんだけど、最近ゴブリンたちが村人を襲うようになったんだって」
ゴーシュから手渡されドロワが依頼書を読み上げる。
ルーナもドロワから受け取った依頼書を改めて読む。他の冒険者とパーティを組んだら真っ先に受けようと思っていた内容である。
「初仕事はこれがいいわね!」
三人の意見が一致し、ルーナたちはこの依頼を受けることにした。報酬は1800アインでゴブリンを討伐し、その角を8個納品すること。
さっそく街を出る前に、ゴーシュがルーナに尋ねる。
「ルーナちゃんは大きな荷物とかない? もしあればこのマジックポーチに入れるけど」
「大きな荷物はこの杖だけです。ゴーシュはマジックポーチを持ってるんだね。ドロワのもそうなの?」
マジックポーチは見た目こそ単なるポーチなのだが、その実は収納の魔法がエンチャントされたバッグだ。見た目以上に物を入れられるため、冒険者や行商人の必需品である。
「私のこれは単なるリュックだよ。少しは頑丈だから背中を守ってくれるとは思うけど」
ドロワは自分のリュックを軽く叩く、そこには旅用の道具がある程度収まっているようだ。
マジックポーチは収納量によって価格がピンキリなので、持っているだけでは裕福かどうか見分けがつかないというのも、冒険者にはメリットになる。一目で裕福と分かると襲われる可能性が上がるのだ。
「さぁ! いざ出発!」
三人は街の外に出る。街道と呼ばれているが石畳が敷かれているわけでもなく、ただ草が生えないほどに人々が歩いて踏み固めた道がそこには広がっていた。三人が出会ったトーカナ王国のロフォの街からルッキオ村へ続く道。ゴブリンを筆頭に何種類もの魔物がはびこっている。
ゴブリンは人よりも小さい緑色の小鬼だ。武器は棍棒や冒険者が落としたナイフなどを持っており、知能は高くないが多少の連携をとってくるため、単体の魔物として捉えるよりも集団の魔物として捉えた方がいいだろう。
「ルーナちゃん、実戦の経験は?」
「全くないです」
ルーナは胸を張って答えた。その答えにゴーシュは呆れつつも、素直な返事に感謝する。見栄を張って実力を誤魔化して困るのはルーナであり、ひいてはパーティメンバーとしてゴーシュとドロワも困ってしまう場合がある。
「じゃあ、側に私かドロワが絶対にいるようにするから。ドロワもいいね?」
「りょーかいだよ」
「あ、あの、光の攻撃魔法だって使えます! ちょっと威力が不安定なだけで」
守られるだけじゃ悪いと思ってのルーナの発言だが、ゴーシュとドロワは当然のごとく威力が不十分であるという意味で不安定だと認識した。実際には過剰な威力になってしまうという意味での不安定なのだが、二人にとってルーナがより守らねばならない存在であると思わせた。
「いいの、ルーナちゃんはいざという時に治癒術を使ってくれたら」
「そうそう。いざって時に回復してもらえると思えば、戦いやすいってものだし?」
「はい……」
ルーナが頷くとゴーシュとドロワはルーナを前後に挟むように隊列を組んだ。
「じゃあ、行くよ」
ゴーシュを先頭に3人は歩き出した。
「まずはパーティで動くことに慣れないといけないから、簡単なクエストを受けるの。私とゴーシュとドロワの三人ならそう難しくないやつ」
冒険者ギルドでパーティを組んだルーナたちは受付嬢にクエストを発注してもらう。
「このクエストなら、パーティでの立ち回りに慣れるにはちょうどいいと思いますよ」
受付嬢はパーティの中でもリーダーっぽいゴーシュに依頼書を渡す。
「えっと……街道に出るゴブリン退治?」
「うん。近くの村から物資を運ぶためにこの街道を行き来するんだけど、最近ゴブリンたちが村人を襲うようになったんだって」
ゴーシュから手渡されドロワが依頼書を読み上げる。
ルーナもドロワから受け取った依頼書を改めて読む。他の冒険者とパーティを組んだら真っ先に受けようと思っていた内容である。
「初仕事はこれがいいわね!」
三人の意見が一致し、ルーナたちはこの依頼を受けることにした。報酬は1800アインでゴブリンを討伐し、その角を8個納品すること。
さっそく街を出る前に、ゴーシュがルーナに尋ねる。
「ルーナちゃんは大きな荷物とかない? もしあればこのマジックポーチに入れるけど」
「大きな荷物はこの杖だけです。ゴーシュはマジックポーチを持ってるんだね。ドロワのもそうなの?」
マジックポーチは見た目こそ単なるポーチなのだが、その実は収納の魔法がエンチャントされたバッグだ。見た目以上に物を入れられるため、冒険者や行商人の必需品である。
「私のこれは単なるリュックだよ。少しは頑丈だから背中を守ってくれるとは思うけど」
ドロワは自分のリュックを軽く叩く、そこには旅用の道具がある程度収まっているようだ。
マジックポーチは収納量によって価格がピンキリなので、持っているだけでは裕福かどうか見分けがつかないというのも、冒険者にはメリットになる。一目で裕福と分かると襲われる可能性が上がるのだ。
「さぁ! いざ出発!」
三人は街の外に出る。街道と呼ばれているが石畳が敷かれているわけでもなく、ただ草が生えないほどに人々が歩いて踏み固めた道がそこには広がっていた。三人が出会ったトーカナ王国のロフォの街からルッキオ村へ続く道。ゴブリンを筆頭に何種類もの魔物がはびこっている。
ゴブリンは人よりも小さい緑色の小鬼だ。武器は棍棒や冒険者が落としたナイフなどを持っており、知能は高くないが多少の連携をとってくるため、単体の魔物として捉えるよりも集団の魔物として捉えた方がいいだろう。
「ルーナちゃん、実戦の経験は?」
「全くないです」
ルーナは胸を張って答えた。その答えにゴーシュは呆れつつも、素直な返事に感謝する。見栄を張って実力を誤魔化して困るのはルーナであり、ひいてはパーティメンバーとしてゴーシュとドロワも困ってしまう場合がある。
「じゃあ、側に私かドロワが絶対にいるようにするから。ドロワもいいね?」
「りょーかいだよ」
「あ、あの、光の攻撃魔法だって使えます! ちょっと威力が不安定なだけで」
守られるだけじゃ悪いと思ってのルーナの発言だが、ゴーシュとドロワは当然のごとく威力が不十分であるという意味で不安定だと認識した。実際には過剰な威力になってしまうという意味での不安定なのだが、二人にとってルーナがより守らねばならない存在であると思わせた。
「いいの、ルーナちゃんはいざという時に治癒術を使ってくれたら」
「そうそう。いざって時に回復してもらえると思えば、戦いやすいってものだし?」
「はい……」
ルーナが頷くとゴーシュとドロワはルーナを前後に挟むように隊列を組んだ。
「じゃあ、行くよ」
ゴーシュを先頭に3人は歩き出した。
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