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第12話/日記/とくべつ
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小春ちゃんと付き合うようになってから、日記をつけるようになった。初めて付き合った先輩や美希と付き合ってた時は、そんなこと考えもしなかったのに……。きっと、小春ちゃんとの日々を少しも忘れたくないからだと思う。それくらい、小春ちゃんに惹かれて愛してるんだ。
日記は日記帳ではなく普通のノートにつけている。小春ちゃんとしたいことリストと一緒に保管していて、時折ぺらぺらとめくってチェックが増えていったリストを眺めてにやにやしてる。行きたいデートスポットはほとんど行った。小春ちゃんとの日々を残したくてスマートフォンを買い替えた。本当は一眼レフを買いたかったくらいだけど、技術がないからね。
「はぁ……」
写真フォルダをスワイプしていると一緒に月見屋食堂でミックスフライ定食を食べた時の写真が目に留まった。なんてことない食事の風景なんだけど、油でつやつやしている小春ちゃんの唇から目が離せない。正直、やりたいことリストのほとんどを達成したけれど……キスから始まるあれこれはまだ一切チェックがついていない。キスは、不埒かな……?
「文緒、そろそろ電気消したいんだけど」
夜更かしは美容の大敵、もう寝ないと。リモコンで消せるシーリングライトを美希が消灯し、毛布と布団をかぶって横になる。ムラムラとモヤモヤが思考を支配しつつある。明らかに、小春ちゃんに対して性欲を抱いている……。小春ちゃんの裸体が、脳裏にちらつく。
バレンタインデーはもう明日だ。チョコレートの用意はしてある。ドロドロに溶けたチョコレート、私をぺろぺろする小春ちゃん、身体中の隅々を……いやぁ、たまらんなぁ。
「文緒、うるさい」
「どこから声に!?」
「バレンタインデーはもう明日だ、から」
「美希は誰かにチョコあげないの? あ、本命の話ね」
「いんや、特に相手はいないかな。文緒は……私に恋人がいた方がいい?」
「私ほら、恋愛至上主義者じゃん? 美希にも幸せになってほしい。相手が男手も、女でも」
これは私の包み隠さぬ本心。だって、世界でただ一人の……私のファーストキス相手なんだから。
「……うん。私、男の人と恋愛する。文緒のこと、特別なままにしたいから。結婚式を挙げるの、小さい頃の夢だったし。そしたら絶対呼ぶね」
「うん。楽しみにしてるよ」
「おやすみ」
「うん」
バレンタイン前夜が過ぎていく。
そして、夜が明けた。いつものように朝のルーティンをこなしていく。身だしなみを整え、登校する。教室の雰囲気はいつもより少し浮き足立っていた。
「ごきげんよう城咲さん」
「ごきげんよう五百旗頭さん、梶井さん」
「えぇ、ごきげんよう」
城咲さんはいつものように自分の席で本を読んでいた。せっかくなので彼女持ちの先輩に、バレンタインの過ごし方を聞いてみた。
「去年は三人でチョコレートを作ったのだけれど、今年はお姉さまが受験生なので。かおりと二人で選んだチョコを、そっと寮のドアノブにかけてきました。メッセージカードを添えて」
なんだかおしゃれだなぁ。思いやりを感じる。三人で和気あいあいと話していると、先生が教室に入ってきたから私も美希も着席する。チョコはお昼休みに渡す予定。そわそわしてしまって、午前の授業は申し訳ないことにちっとも頭に入ってこなかった。
日記は日記帳ではなく普通のノートにつけている。小春ちゃんとしたいことリストと一緒に保管していて、時折ぺらぺらとめくってチェックが増えていったリストを眺めてにやにやしてる。行きたいデートスポットはほとんど行った。小春ちゃんとの日々を残したくてスマートフォンを買い替えた。本当は一眼レフを買いたかったくらいだけど、技術がないからね。
「はぁ……」
写真フォルダをスワイプしていると一緒に月見屋食堂でミックスフライ定食を食べた時の写真が目に留まった。なんてことない食事の風景なんだけど、油でつやつやしている小春ちゃんの唇から目が離せない。正直、やりたいことリストのほとんどを達成したけれど……キスから始まるあれこれはまだ一切チェックがついていない。キスは、不埒かな……?
「文緒、そろそろ電気消したいんだけど」
夜更かしは美容の大敵、もう寝ないと。リモコンで消せるシーリングライトを美希が消灯し、毛布と布団をかぶって横になる。ムラムラとモヤモヤが思考を支配しつつある。明らかに、小春ちゃんに対して性欲を抱いている……。小春ちゃんの裸体が、脳裏にちらつく。
バレンタインデーはもう明日だ。チョコレートの用意はしてある。ドロドロに溶けたチョコレート、私をぺろぺろする小春ちゃん、身体中の隅々を……いやぁ、たまらんなぁ。
「文緒、うるさい」
「どこから声に!?」
「バレンタインデーはもう明日だ、から」
「美希は誰かにチョコあげないの? あ、本命の話ね」
「いんや、特に相手はいないかな。文緒は……私に恋人がいた方がいい?」
「私ほら、恋愛至上主義者じゃん? 美希にも幸せになってほしい。相手が男手も、女でも」
これは私の包み隠さぬ本心。だって、世界でただ一人の……私のファーストキス相手なんだから。
「……うん。私、男の人と恋愛する。文緒のこと、特別なままにしたいから。結婚式を挙げるの、小さい頃の夢だったし。そしたら絶対呼ぶね」
「うん。楽しみにしてるよ」
「おやすみ」
「うん」
バレンタイン前夜が過ぎていく。
そして、夜が明けた。いつものように朝のルーティンをこなしていく。身だしなみを整え、登校する。教室の雰囲気はいつもより少し浮き足立っていた。
「ごきげんよう城咲さん」
「ごきげんよう五百旗頭さん、梶井さん」
「えぇ、ごきげんよう」
城咲さんはいつものように自分の席で本を読んでいた。せっかくなので彼女持ちの先輩に、バレンタインの過ごし方を聞いてみた。
「去年は三人でチョコレートを作ったのだけれど、今年はお姉さまが受験生なので。かおりと二人で選んだチョコを、そっと寮のドアノブにかけてきました。メッセージカードを添えて」
なんだかおしゃれだなぁ。思いやりを感じる。三人で和気あいあいと話していると、先生が教室に入ってきたから私も美希も着席する。チョコはお昼休みに渡す予定。そわそわしてしまって、午前の授業は申し訳ないことにちっとも頭に入ってこなかった。
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