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第11話/入浴/ぽかぽか

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 スーパー銭湯そらはさほど大きな施設ではないし温泉でもないが、建物が新しく学生料金が安いということで人気なのだ。温泉はやはり汐見や和津半島が人気スポットだが、気軽に気分だけでも温泉を感じられる銭湯は、今日もそれなりにお客さんが入っている。

「私ここ初めてぇ」

 ちなみに私も初めてだ。二人とも初めての体験にわくわくしながら、番台で料金を支払い脱衣所へ向かう。今日の小春ちゃんの装いはニットワンピ。だんだんとオシャレになっていく様に私の胸も高鳴るばかりだ。そして遂に、なかなか肌を見せない小春ちゃんのその素肌、そのセクシーが見られるわけだ。既に君に夢中だ。

「あんまり見られたら脱ぎづらいよぉ」

 はい可愛い! 脱がしたいけど不埒なのでキャンセル。ノータッチ精神だ。私も今日はニットだからコーデが似ている。そのうちお揃いにも挑戦してみたいなあ。

「あ、そのブラ」
「えへへ、文緒ちゃんが選んでくれたやつだよ」

 もう可愛い。実際に着けているところを見られる日が来ようとは。似合ってるよと何度も褒める。

「外していい?」

 ……あ、声に出てた。

「まだ、だぁめ」
「かぁわぁいぃいぃ」

 脳が融けるような甘い声に、もう想いがダダ漏れになってしまった。でもいいんだ、だって可愛いもの。可愛いって言えば言うほど可愛くなるし、可愛く見えてくる。たまらないよね、ほんと。悶えそうになりながら自分も一糸まとわぬ姿になる。ていうか、さっきまだって言ったよね。いつかは脱がせてもいいのか……待ち遠しいなぁ。

「ほら文緒ちゃんも早く脱いで」

 促され私も全裸になり、脱いだ服は畳んでロッカーに入れる。施錠すると鍵は手首に。タオル一本とバスセットを持って大浴場に入る。雰囲気としては寮の大浴場とさほど変わらないけれど、違いと言えばサウナと水風呂があること。あと正面に雄大な霊峰が描かれていること、くらいか。

「おぉ! 銭湯って感じ」

 小春ちゃんの感想が全てだ。大きな浴槽に一直線な小春ちゃんにストップさせて、風呂椅子に座って貰う。背中すら可愛い。こんなところにホクロが。脳内に暗記してしまったチェックリストにあるいくつかの項目にチェックを入れる。ホクロを数えるのもそうだし、背中を流すことや、髪を洗うこと。

「かゆいところはありませんかー?」
「にゃはは。気持ちいいよ~」

 私が持ち込んだシャンプーで洗うことにより、小春ちゃんから私と同じ匂いが!! 泡を流すと、髪がぺったんこになりなんとなく雰囲気が変わる。それすらも可愛い。あと、身体のところどころに泡が残っているのが! ふん!! 正面に鏡があって何もかも見えちゃうので自重しよう。

「じゃあ、こうた~い。ほら、文緒ちゃん座って」

 なんという幸せ……。私の背後に立って、ボディソープに手を伸ばす小春ちゃん。そのふわもちっとした魅惑のボディを背中一面で感じる。……鼻血出たらどうしようという不安に駆られる。ふんばってくれ、私の理性!
 幸せな時間というのは意外と続くもので、小春ちゃんの提案でサウナに入ることになった。発汗する小春ちゃんの艶にあてられ、思ったより早くのぼせてしまった私は小春ちゃんに手を引かれサウナを出て水風呂に入る。

「すごい、水風呂が冷たく感じない」
「ハマる人の気持ち、少し分かるかも」

 空前のサウナブームが来ているこの頃だけれど、やっぱり好きな人と裸で膝をつき合わせて同じ時間を過ごすというのは代えがたい時間なんだなあ。

「ふぅ、後はゆっくり温かいお風呂につかろうか」

 どちらからともなく手を繋いで、マラソン大会が憂鬱とか、百人一首大会はちょっと楽しみとか、そんな他愛も無い話をしながら過ごす時間は、身も心も温まるそんな時間になった。
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