10 / 18
第10話/如月/どきどき
しおりを挟む
小春ちゃんと出逢ってから毎日が楽しくてしょうがない。あっという間に一月が行ってしまいもう二月だ。逃げてしまう前になんとかしないと。二月は入試の都合で身動きが取れない日もあるし。とはいえ最大のイベントはバレンタインデーだ。しかも小春ちゃんはチョコレートが好き。
「美希ってさ、中学生の頃どんなだった?」
寮でのんびりしながら、ルームメイトに聞いてみる。小春ちゃんは少し甘い物を控えている傾向がある。中学生って正直、どう頑張ったって太る時期だから気にしなくていいとは言ってあるけれど。
「どんなって? まあ太り気味ではあったかな。ダンス部に入ってやっとこさ痩せてきた気がするくらいだから。まだちょっとアレだけど」
「だよねぇ。中二なんて成長のためにエネルギー蓄えてる時期みたいなものだし。小春ちゃんがさ、甘い物控えてる気がして。バレンタインどうしよっかなぁって」
そもそも小春ちゃんが太っているというほどの体型じゃないから、虫歯が怖いという可能性もなきにしもあらずなんだけど、それでも体重一キロだって女の子にとっては死活問題なのだ。私だってすっごく気をつけて過ごしているのだから。
「そっかぁ。来週はもうバレンタインなんだよね」
美希がしみじみと呟く。チョコレート以外を贈るというのも選択肢としてありなんだけど、せっかくチョコレートが好きな小春ちゃんにだから美味しいチョコを手作りしてあげたい。どうせならカカオから……いや流石にそれは無理か。
「ていうか、文緒これからデートでしょう? 時間いいの?」
しまった。もう二時じゃないか。いい加減着替えないと。
「変わった時間のデートだね。普段は午前中から出掛けるのに」
そうなのだ。今まで市内の主なデートスポットであるスタパレ、中央公園、動物公園、臨海水族館、野宮神社にも行ってきた。季節が季節だからどうしても着込んで過ごすデートばかりで、なかなか小春ちゃんの素肌を見ていない。だがそれも今日までだ。やりたいことリストの中でチェックがついてこなかった裸を見るに今日チェックが付くのだ。
「デートに銭湯へ行く女子校生はレアだと思うけどねぇ」
そう、学校から南に500メートルくらいの場所にあるスーパー銭湯へ行くのだ。正直夏まで待てないから、小春ちゃんの全てを見たいから、裸体が見たいのだ。それにこの乾燥した真冬にゆったり過ごす上で、銭湯はなかなかいいのだと雑誌で見た。
「ふーん。で、なんで全裸になってるのよ、今」
下着も見られるのだから下着を替えるべきだろうと思って。手元にある一番可愛いブラジャーとセットのショーツを選ぶ。
「どうよ」
「可愛いよ。ただね」
美希は一度言葉を断つと、私の頬に手を添え首筋から胸元へと手を滑らせる。
「あまり隙だらけの格好しないでよ。未練がさ……なんてね。風邪ひくから早く服決めて」
びっくりしたぁ……。女の子、こわ! いや、私も女の子じゃわい。
「この組み合わせがいいんじゃない?」
ボルドーのニットと白のロングスカートを持ってくる美希。有無を言わさぬ雰囲気に、受け取り実際に着てみる。たしかに私もいい組み合わせだと思ってクローゼットに入れていたから、特に文句はないけどさ。タイツを穿いて腕時計をつけて、コートを羽織る。大きめのバッグにはバス用品が準備万端になっている。
「んじゃ、出掛けてくるよ」
「うん。中学生相手に不埒なことしちゃダメだからね?」
「わ、分かってるってば」
釘を刺されつつ私室を後にした。校門に集合だからすぐ会える。自ずと口角が上がるのだった。
「美希ってさ、中学生の頃どんなだった?」
寮でのんびりしながら、ルームメイトに聞いてみる。小春ちゃんは少し甘い物を控えている傾向がある。中学生って正直、どう頑張ったって太る時期だから気にしなくていいとは言ってあるけれど。
「どんなって? まあ太り気味ではあったかな。ダンス部に入ってやっとこさ痩せてきた気がするくらいだから。まだちょっとアレだけど」
「だよねぇ。中二なんて成長のためにエネルギー蓄えてる時期みたいなものだし。小春ちゃんがさ、甘い物控えてる気がして。バレンタインどうしよっかなぁって」
そもそも小春ちゃんが太っているというほどの体型じゃないから、虫歯が怖いという可能性もなきにしもあらずなんだけど、それでも体重一キロだって女の子にとっては死活問題なのだ。私だってすっごく気をつけて過ごしているのだから。
「そっかぁ。来週はもうバレンタインなんだよね」
美希がしみじみと呟く。チョコレート以外を贈るというのも選択肢としてありなんだけど、せっかくチョコレートが好きな小春ちゃんにだから美味しいチョコを手作りしてあげたい。どうせならカカオから……いや流石にそれは無理か。
「ていうか、文緒これからデートでしょう? 時間いいの?」
しまった。もう二時じゃないか。いい加減着替えないと。
「変わった時間のデートだね。普段は午前中から出掛けるのに」
そうなのだ。今まで市内の主なデートスポットであるスタパレ、中央公園、動物公園、臨海水族館、野宮神社にも行ってきた。季節が季節だからどうしても着込んで過ごすデートばかりで、なかなか小春ちゃんの素肌を見ていない。だがそれも今日までだ。やりたいことリストの中でチェックがついてこなかった裸を見るに今日チェックが付くのだ。
「デートに銭湯へ行く女子校生はレアだと思うけどねぇ」
そう、学校から南に500メートルくらいの場所にあるスーパー銭湯へ行くのだ。正直夏まで待てないから、小春ちゃんの全てを見たいから、裸体が見たいのだ。それにこの乾燥した真冬にゆったり過ごす上で、銭湯はなかなかいいのだと雑誌で見た。
「ふーん。で、なんで全裸になってるのよ、今」
下着も見られるのだから下着を替えるべきだろうと思って。手元にある一番可愛いブラジャーとセットのショーツを選ぶ。
「どうよ」
「可愛いよ。ただね」
美希は一度言葉を断つと、私の頬に手を添え首筋から胸元へと手を滑らせる。
「あまり隙だらけの格好しないでよ。未練がさ……なんてね。風邪ひくから早く服決めて」
びっくりしたぁ……。女の子、こわ! いや、私も女の子じゃわい。
「この組み合わせがいいんじゃない?」
ボルドーのニットと白のロングスカートを持ってくる美希。有無を言わさぬ雰囲気に、受け取り実際に着てみる。たしかに私もいい組み合わせだと思ってクローゼットに入れていたから、特に文句はないけどさ。タイツを穿いて腕時計をつけて、コートを羽織る。大きめのバッグにはバス用品が準備万端になっている。
「んじゃ、出掛けてくるよ」
「うん。中学生相手に不埒なことしちゃダメだからね?」
「わ、分かってるってば」
釘を刺されつつ私室を後にした。校門に集合だからすぐ会える。自ずと口角が上がるのだった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
女の子なんてなりたくない?
我破破
恋愛
これは、「男」を取り戻す為の戦いだ―――
突如として「金の玉」を奪われ、女体化させられた桜田憧太は、「金の玉」を取り戻す為の戦いに巻き込まれてしまう。
魔法少女となった桜田憧太は大好きなあの娘に思いを告げる為、「男」を取り戻そうと奮闘するが……?
ついにコミカライズ版も出ました。待望の新作を見届けよ‼
https://www.alphapolis.co.jp/manga/216382439/225307113
3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた
ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。
俺が変わったのか……
地元が変わったのか……
主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。
※他Web小説サイトで連載していた作品です
【R18百合】会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています
千鶴田ルト
恋愛
桜庭ハルナは、会社の先輩社員である月岡美波と付き合っている。
問題なく仲良く過ごしていたが、四月になり美波が異動して、色々と状況が変わってきた。
ハルナと美波の関係性はどうなっていくのか。
「会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました」https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/4808951
の続編です。
同じ二人の物語ではありますが、少し仕事の面が増えてきて毛色が変わるかもしれません。
前作よりも性的シーンは減るので、性的シーンありの話数には「※」をつけます。
※タイトル画像はAI生成です
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
恋は芽吹いて百合が咲く
楠富 つかさ
恋愛
地方都市、空の宮市に位置する中高一貫の女子校『星花女子学園』で繰り広げられる恋模様。
恋心を知らずに育った主人公は二人の後輩と出会うことで、やがて百合の花を咲かせる恋の種を芽吹かせる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる