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二学期といえば文化祭だよね

#49 大錠祭(2)

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『いよいよ始まった第三審査!! ラブレターコンテスト!! 18個あったサンプルテキストから、この不肖佐藤美鈴がキャスティングし、お送りします』

 最終審査ということで、制服に着替えてステージ裏で待機しているボクたち。

『さぁさぁスタートだ! 最初のシチュエーションは放課後、夕日の差し込む中、告白相手には自分とは別に意中の人がいる。でも我慢できずに言ってしまった。そんな感じの愛の告白! どうぞ!』

 ……この人、変態音響監督みたい。とか、思っちゃダメかな?

「あのね、私……ずっと君が好きなの! 君が私を見ていないことくらい分かってる。でもね、私じゃ……ダメなのかな? お願い、私と付き合ってください……」
『うぉぉ!! いいね! すごいいい! 言葉にできないから、次、いってみよう!』

 そう言われて登場した芙蓉先輩。家庭科部の次期部長さんだ。4組ということで、理系女子な感じでのラブレターだった。

「わ、わたしと君の相性は科学的にみてもバッチリだ。むろん、科学がなかろうとそれは変わらない。そうだろ?」

 あぁ、いいわ。突っ込みにまわるクールな先輩が、顔を真っ赤にして告白っぽいセリフ。3番目の人はちょっと強気な感じでの告白だった。そして、希名子ちゃんの出番。

『さぁお次は和菓子屋の娘さん。都会の大学へ行ってしまう幼馴染みへの告白というシチュでいってみよう!』
「待って! その……あなたが都会に行きたがっていたことは知っているわ。でもね、私は……あなたの帰る場所になりたい! だって、あなたが大好きだから!!」
『いいね! もう、なんか目覚めそうだよ! 諸君、今、幸せだろ? まだまだ続くぜ、この宴!!』

 そんな感じでラブレターコンテストは続いていく。戻ってきた希名子ちゃんや先輩に緊張をほぐしてもらいつつ、いよいよ次がボクの出番。大丈夫、セリフは暗記した。短かったし、忘れていない。

「いってくるね」
『お次は第二審査で注目を集めた姫宮さん。究極のラブレターを読み上げます。どんなシチュエーションなのか!?』

 おそらく実村先輩の案であろう短文。勢いよく声に出す。

「先輩! ボク、先輩のこと大好きなんです! どんな障害があっても、一緒にいたいんです! 側にいさせてください!!」
『ボクっ娘後輩いいですよね! たまらん』
「やぁ、いい感じだったよ。姫宮」
「先輩……。あはは、先輩のも期待してますね。……それから、その……。先輩はどうしてボクのことを……?」

 告白された時に聞けなかったことを、尋ねてみる。答えてくれるだろうか。

「私は面食いでね。手紙にも書いただろうが、君の容姿にいたく惚れ込んでしまったのだよ」
「……そ、それだけなんですか!?」
「あぁそうさ。恋に理由を求めるんじゃない。私の持論だがね。そもそも、君はもっと己の容姿がいかに人を惹きつけるか考えた方が良い。少なくとも、この女子校という空間にいるうちにな。っと、そろそろ出番か」

 そう言うと先輩は緊張も見せないまま待機位置に進んでいった。最後から二番目の人がこちら側に戻ってくると、先輩が颯爽と舞台へと歩みだした。

『さぁさぁ、このラブレターコンテストのとりであり、このミスコンのおおとり。我らが女傑、実村碧海の登場だ! シチュエーションは中世、敵国の王子を愛してしまった姫騎士。王子の首に剣をあてつつ、本心は殺したくない一心。さぁ、最後の交渉といこうじゃないか!!』

 どんな設定だよ! 時代も国も変わっちゃったよ。でも、その設定カッコいいなぁ。

「いいか、一度しか言わない。命が欲しければ、黙って私のものになれ!!」

 凄い……。演劇部顔負けの声量、毅然としたその姿はまさに高貴な姫であり、勇ましい騎士!

『カッコいい! 惚れる! まじ、最高ですよ、せんぱーい!!』

 コンテストの結果は二日目のフィナーレに発表されるらしく、文化祭初日の午前を使い切ったミスコンは一時閉幕となった。更衣室で制服から部活用のメイド服に着替えていると、

「おや姫宮。水着のままか?」

 と、先輩に尋ねられた。そう、下着代わりに水着を着たままなのだ。ちなみに、ラブレターコンテストのときは時間短縮のために水着から制服を着用するように指示された。

「ボクのメイド服はスカートがすごく短いので。水着の方がいいんです」

 手短に返答しながら、急いでメイド服に着替える。時刻はそろそろお昼時。軽食もてがける家庭科部のメイド喫茶にお客が集中しているかもしれない。希名子ちゃんの宣伝も効果あるだろうし、指揮官ポジにいる芙蓉先輩もこっちにいるから、今頃は高須先輩が目を回しているかもしれない。

「では先輩、失礼します」

 先輩に一礼してから、芙蓉先輩と希名子ちゃんと三人でメイド喫茶に向かう。

「模擬店の方にも行かせてもらうわ」

 先輩の声を聞きながら、熱気の残る体育館をあとにした。
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