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#14 体育祭に向けて
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体育祭の準備は例年のマニュアルがあることもあり、つつがなく進んでいった。各クラスではロングホームルームの時間を使って出場する種目を選んでいく。
種目は基本的に各学年共通のものと固有のものがある。共通種目は例えば徒競走やリレーといった全員参加型の競技や、二人三脚、大玉転がし、借り物競走、障害物競走といった各々が選んで参加する競技がある。
学年個別の競技は中一が大縄跳び、中二が玉入れ、中三が台風の目、高一が綱引き、高二が騎馬戦、高三がムカデ競争というように、学年ごとに割り振られた種目だ。
それに加えて、中等部はソーラン節の発表がある。高等部もかつては組み体操をやっていたのだが、各地で発生する事故を受けて、星花女子でも取りやめとなった。その一方で、部活数の増加に伴い、時間枠の調整は部活動対抗リレーや教職員の催しで何とかなっている。
「というわけでですね、皆さんが出る種目やリレーの走る順番について決めていこうと思います」
夕陽ちゃんと朱里ちゃんが教壇に立って、司会進行をしていく。私と瑠奈ちゃんは毎年、二人三脚に出場している。多少の身長差はあれど、それを補って余りある呼吸の一致で転んだことは一切無い。まぁ、もともとの脚力はさほど高くないから順位自体は微妙というか、まぁ平凡なのだけれど。
星花女子の高等部は基本的に四十人クラスなので、それぞれ十人ずつが選んで参加する競技に割り振られる。
「ではそれぞれ参加したい種目にネームプレートを貼り付けてください。二人三脚の場合は、ペアで横並びにお願いします」
黒板の左端に貼られた、名前の書かれた薄い磁石を剥がして瑠奈ちゃんの分と一緒に二人三脚の枠に貼り付ける。
「二人三脚と大玉転がしは決定ですね。えっと、借り物競走を選んだ人たちはじゃんけんして、負けた人は障害物競走に移ってください」
……ほ。無事に二人三脚に瑠奈ちゃんと一緒に出られる。一安心っと。
夕陽ちゃんも朱里ちゃんも、進行役が板に付いているというか。体育祭へ向けた準備と同じくらいつつがない。
じゃんけんの決着がついて、それぞれの種目の参加者が決まった。次の議題はリレーの走る順番。あまり後の方に走って、勝負が拮抗していたらプレッシャーで嫌だなあ。露骨に負けているならまだしも、圧倒しているはずが自分の走っている間に追いつかれるなんていう展開も正直勘弁だ。
「えっと、リレーの走順ですが、取り敢えずここに先日の体力テストの結果があります。50メートル走のデータを見つつ考えたいのですが、取り敢えず最初に入りたい人いますか?」
夕陽ちゃんが手元のプリントを見た後に教室を見渡す。あれが50メートル走のデータなんだろう。あまり足が速くないからなあ。勝負がまだよく分からない序盤にしれっと走っておきたいのだけれど……。
「先行逃げ切り型か、あとから追い上げる型のどっちにするの?」
クラスでも飛び抜け運動神経のいい女の子が発言する。夕陽ちゃんは少し悩んだ後に、後者でと言った。
「取り敢えず最初、わたしでもいいですか?」
夕陽ちゃんが続けて衝撃的な発言を放った。夕陽ちゃん、あの大きな重りがある時点で足が速くないことはお察しなのだが、敢えて一番を走る?
「ショートカットを走りたいのだけれど」
「各クラス二人まで本来200メートルのレーンから、内側にある150メートルのコースを走れるんです」
朱里ちゃんがショートカットの説明をしてくれる。なるほど、足の遅い生徒への救済措置は毎年行われており、理解はできる。けれど最初のランナーがそこを走るのはちょっと意表を突いてくるなぁとは思う。
「まぁ、いいんじゃない。委員長、そこ走るだろうと思ってたし」
そんな感じがクラスの多数意見だった。取り敢えず比較的足の遅い生徒から順番に走って終盤にスパートをかける作戦になった。そもそも徒競走は高等部にとって最初の競技だから、走りに自身がある生徒のウォーミングアップを入念にやった方が、成績も上がるのではという発想から始まった案らしい。
ということで、私も瑠奈ちゃんも比較的早い段階での走りが確定した。その方が生徒会としても動きやすいので、これは本当に助かる。
ということで、体育祭まで半月ちょっと。少しずつとはいえ、学内のボルテージが上がってきたような、そんな感じだった。
種目は基本的に各学年共通のものと固有のものがある。共通種目は例えば徒競走やリレーといった全員参加型の競技や、二人三脚、大玉転がし、借り物競走、障害物競走といった各々が選んで参加する競技がある。
学年個別の競技は中一が大縄跳び、中二が玉入れ、中三が台風の目、高一が綱引き、高二が騎馬戦、高三がムカデ競争というように、学年ごとに割り振られた種目だ。
それに加えて、中等部はソーラン節の発表がある。高等部もかつては組み体操をやっていたのだが、各地で発生する事故を受けて、星花女子でも取りやめとなった。その一方で、部活数の増加に伴い、時間枠の調整は部活動対抗リレーや教職員の催しで何とかなっている。
「というわけでですね、皆さんが出る種目やリレーの走る順番について決めていこうと思います」
夕陽ちゃんと朱里ちゃんが教壇に立って、司会進行をしていく。私と瑠奈ちゃんは毎年、二人三脚に出場している。多少の身長差はあれど、それを補って余りある呼吸の一致で転んだことは一切無い。まぁ、もともとの脚力はさほど高くないから順位自体は微妙というか、まぁ平凡なのだけれど。
星花女子の高等部は基本的に四十人クラスなので、それぞれ十人ずつが選んで参加する競技に割り振られる。
「ではそれぞれ参加したい種目にネームプレートを貼り付けてください。二人三脚の場合は、ペアで横並びにお願いします」
黒板の左端に貼られた、名前の書かれた薄い磁石を剥がして瑠奈ちゃんの分と一緒に二人三脚の枠に貼り付ける。
「二人三脚と大玉転がしは決定ですね。えっと、借り物競走を選んだ人たちはじゃんけんして、負けた人は障害物競走に移ってください」
……ほ。無事に二人三脚に瑠奈ちゃんと一緒に出られる。一安心っと。
夕陽ちゃんも朱里ちゃんも、進行役が板に付いているというか。体育祭へ向けた準備と同じくらいつつがない。
じゃんけんの決着がついて、それぞれの種目の参加者が決まった。次の議題はリレーの走る順番。あまり後の方に走って、勝負が拮抗していたらプレッシャーで嫌だなあ。露骨に負けているならまだしも、圧倒しているはずが自分の走っている間に追いつかれるなんていう展開も正直勘弁だ。
「えっと、リレーの走順ですが、取り敢えずここに先日の体力テストの結果があります。50メートル走のデータを見つつ考えたいのですが、取り敢えず最初に入りたい人いますか?」
夕陽ちゃんが手元のプリントを見た後に教室を見渡す。あれが50メートル走のデータなんだろう。あまり足が速くないからなあ。勝負がまだよく分からない序盤にしれっと走っておきたいのだけれど……。
「先行逃げ切り型か、あとから追い上げる型のどっちにするの?」
クラスでも飛び抜け運動神経のいい女の子が発言する。夕陽ちゃんは少し悩んだ後に、後者でと言った。
「取り敢えず最初、わたしでもいいですか?」
夕陽ちゃんが続けて衝撃的な発言を放った。夕陽ちゃん、あの大きな重りがある時点で足が速くないことはお察しなのだが、敢えて一番を走る?
「ショートカットを走りたいのだけれど」
「各クラス二人まで本来200メートルのレーンから、内側にある150メートルのコースを走れるんです」
朱里ちゃんがショートカットの説明をしてくれる。なるほど、足の遅い生徒への救済措置は毎年行われており、理解はできる。けれど最初のランナーがそこを走るのはちょっと意表を突いてくるなぁとは思う。
「まぁ、いいんじゃない。委員長、そこ走るだろうと思ってたし」
そんな感じがクラスの多数意見だった。取り敢えず比較的足の遅い生徒から順番に走って終盤にスパートをかける作戦になった。そもそも徒競走は高等部にとって最初の競技だから、走りに自身がある生徒のウォーミングアップを入念にやった方が、成績も上がるのではという発想から始まった案らしい。
ということで、私も瑠奈ちゃんも比較的早い段階での走りが確定した。その方が生徒会としても動きやすいので、これは本当に助かる。
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