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プロローグ
03 幼馴染を呼び出そう
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僕が女の子になってしまった翌日、多希がくれた鈴の能力はすさまじく、すっかり僕は夏目家の長女として認識されてしまっている。なんていうか……もはや催眠のレベルなのではって思うくらいの道具だ。これが異世界からもたらされた錬金術によるものってことなのかな。
服も多希が何着かは錬成してくれたのでそれを着ている。本人曰く、現代技術で作られたものの方が完成度は高いらしいが、普通に着ている分には問題ない。慣れないうちはスカートを履かないことにしているが……もうじき制服の問題もあるからなぁ。
朝食を食べ終えた後、僕と多希は僕の部屋で今後に向けての打ち合わせをする。……多希の部屋は錬金術の道具で狭くなってしまっているから、なにかと僕の部屋で過ごすことが多いのだ。だからこそ、多希がいない隙にごにょごにょしていたのに……どうしてこういうことになってしまったのやら。
「制服なんだけど、やっぱり画像を見るだけだと細部が分からないんだよね。質感とかも。だから……りっちゃんの借りられないかな?」
りっちゃんというのは幼馴染の双子、その妹である田巻律のことだ。双子の兄である田巻圭ともども僕ら夏目兄妹の幼馴染で、家も近所だ。あの二人はまだ僕が女の子になったことを知らない。呼び出す名目としては……どうしたものか。
「お姉ちゃん、私から呼び出していい? それこそ、りっちゃんの制服姿が見たいとかで」
「なるほど、頭いいな」
「そりゃ、天ッ才錬金術師だからね」
……その天才のせいで僕は今女の子になっちゃってるんだけどね。まぁ、敢えて言うようなことはしないけれど。
呼び出しからわずか十数分で我が家のインターホンが鳴った。
「取り敢えず私が行くね」
すたすたと僕の部屋を飛び出す多希。それからまもなく、部屋に一組の男女が入ってきた。
「んぉ? 誰だこのマブイ女子」
「いや……今日日マブイとかいうヤツいる?」
「おいおい、今日日だってそんな聞かないだろうが」
相変わらずだなぁと思いながら二人のやり取りを眺める。圭は短髪で髪がちょっとツンツンしている。背も高くてがっしりとした体格で、男子でも憧れるような漢って感じの男子だ。律も背が高い方で、男だった時の僕と同じくらいだった。スラっとしていて無駄のないスレンダーな体系は女子だけど王子様みたいで、バレンタインにはチョコをよくもらっていたのを覚えている。
二人とも小学生の頃からテニスをやっていて、強豪校である進学先に推薦を受けたこともあって僕も同じ学校を受験したのだ。そして今、一足先に二人はその高校の制服を着て我が家にやってきている。
「あ、二人ともお待たせ。飲み物持ってきたよ~」
なおも言い争う二人を、飲み物を持ってきた多希が仲裁する。圭と律、しょっちゅう言い争うくせにダブルス組むと息ぴったりに動くからびっくりさせられるんだよなぁ。
「で、この子誰?」
……圭と律、そして多希の視線が僕に集まる。これ……僕から説明する感じ?
服も多希が何着かは錬成してくれたのでそれを着ている。本人曰く、現代技術で作られたものの方が完成度は高いらしいが、普通に着ている分には問題ない。慣れないうちはスカートを履かないことにしているが……もうじき制服の問題もあるからなぁ。
朝食を食べ終えた後、僕と多希は僕の部屋で今後に向けての打ち合わせをする。……多希の部屋は錬金術の道具で狭くなってしまっているから、なにかと僕の部屋で過ごすことが多いのだ。だからこそ、多希がいない隙にごにょごにょしていたのに……どうしてこういうことになってしまったのやら。
「制服なんだけど、やっぱり画像を見るだけだと細部が分からないんだよね。質感とかも。だから……りっちゃんの借りられないかな?」
りっちゃんというのは幼馴染の双子、その妹である田巻律のことだ。双子の兄である田巻圭ともども僕ら夏目兄妹の幼馴染で、家も近所だ。あの二人はまだ僕が女の子になったことを知らない。呼び出す名目としては……どうしたものか。
「お姉ちゃん、私から呼び出していい? それこそ、りっちゃんの制服姿が見たいとかで」
「なるほど、頭いいな」
「そりゃ、天ッ才錬金術師だからね」
……その天才のせいで僕は今女の子になっちゃってるんだけどね。まぁ、敢えて言うようなことはしないけれど。
呼び出しからわずか十数分で我が家のインターホンが鳴った。
「取り敢えず私が行くね」
すたすたと僕の部屋を飛び出す多希。それからまもなく、部屋に一組の男女が入ってきた。
「んぉ? 誰だこのマブイ女子」
「いや……今日日マブイとかいうヤツいる?」
「おいおい、今日日だってそんな聞かないだろうが」
相変わらずだなぁと思いながら二人のやり取りを眺める。圭は短髪で髪がちょっとツンツンしている。背も高くてがっしりとした体格で、男子でも憧れるような漢って感じの男子だ。律も背が高い方で、男だった時の僕と同じくらいだった。スラっとしていて無駄のないスレンダーな体系は女子だけど王子様みたいで、バレンタインにはチョコをよくもらっていたのを覚えている。
二人とも小学生の頃からテニスをやっていて、強豪校である進学先に推薦を受けたこともあって僕も同じ学校を受験したのだ。そして今、一足先に二人はその高校の制服を着て我が家にやってきている。
「あ、二人ともお待たせ。飲み物持ってきたよ~」
なおも言い争う二人を、飲み物を持ってきた多希が仲裁する。圭と律、しょっちゅう言い争うくせにダブルス組むと息ぴったりに動くからびっくりさせられるんだよなぁ。
「で、この子誰?」
……圭と律、そして多希の視線が僕に集まる。これ……僕から説明する感じ?
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