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外伝57話 1億人
しおりを挟む「ふぅ……今の爆発で倒せたかどうかは分からないけど、これでシムはあそこから出られなくなったよ」
……と、シムの爆発の現場を映像で見ながら鈴木は答える。
「鈴木様、宜しかったのですか?灰色の世界にはもう行けなくなりましたが……」
そう問いかけるのはルーナである。
『即死』を喰らったはずのルーナが何故生きているのか?
その答えはエルナにあった。
マレトによって回収された後、灰色の世界でルーナはエルナの『ガーデンライフ』によって蘇生されたのである。
「アタシを誰だと思ってんの?確かにあの世界にはもう行けないけど、似た様な世界ならまた作れるからねぇ。今度は赤色の世界とかにしよっかな?」
「左様ですか……」
「やっと、やっと全部終わったんですか?」
「これでシムももう悪事は働けないって事ですか?」
恭弥、エルナが口々に質問をする。
「ああ、もう奴には何も出来ないよ。未来永劫あの世界で1人っきりだ。例えこの世界が滅んでもね……」
「そうです……か」
「どうしんだい、エルナ?浮かない顔をして」
「いえ……たしかに奴は倒す事が出来ましたが、我々が失った物はあまりにも多すぎました。この世界の人間のほぼ全てが死んでしまった……」
「そうだねえ……アタシの魔力量でこの世界全体に『ガーデンライフ』を使えば1億人位は生き返らせれるだろうけどね。それを差し引いても大半が死んでしまった」
「………」
「でも、奴を倒せたのは君の功績だよ。ガルドっち。大した男だ君は」
ガルドは無言でその賞賛を受ける。
嬉しい気持ち半分、残念な気持ち半分といった感じである。
「そ、それにしても本当にケイ……あ、いや、ガルド、貴方なんですか?」
「だ、か、ら、そうだって言ってるでしょエルナさん。というかあんな感じでお別れしたのにこんな風にあっさり再開しちゃうのちょっと恥ずかしいですよ……」
ガルドに向かってエルナが抱きつく。
「ちょ、エルナさん!?」
「ガルド……ありがとう」
「エルナさん……」
ケインの見た目のガルドを優しく撫でる。
やはり、エルナにとってもガルドは真の仲間だったようだ。
「……感動の再会中に申し訳ないんですが、その……ケインさんはどうなったんですか?」
クリフがふと疑問を口にした。
クリフも『ガーデンライフ』で回復してもらった様で、傷1つ無く元気な様子だ。
「うーん……そもそも俺はこの体の持ち主じゃ無いから、本来こうやって動く事は出来ないんですよ。だから、今は眠っているケインさんの意識が戻ったら自然と元に戻るはずっすよ。でも……」
「でも?」
「目覚める気配がないんですよね」
「っ!?そんな!」
「ああ!勘違いしないでほしいっす。魂に傷は無いしわ暫く目覚めなさそうってだけで、多分そのうち戻ってくると思うんですけど……。単に寝坊助なだけっすよ、あの人は」
「そう……ですか。それなら良かった」
「ごめんエルナ、ちょっと良いかい?君にも手伝ってもらいたいことがあるんだ」
鈴木はエルナに何かしてほしいことがあるようで、ガルドとエルナを引き離す。
「な、何をですか?」
「君にも『ガーデンライフ』を使ってもらうんだ」
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