最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

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外伝2話 来訪者

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学校も終わり、俺は家へ帰る為に電車に乗っていた。
ワイヤレスイヤホンを耳につけて、好きなボカロを再生する。
しばらく電車に揺られていたが、途中で大きな音がした。
と同時に悲鳴が聞こえてくる。

「キャーーー!!ひ、人が……人が死んでる!」

「な、なんだあの化け物は!?」

「だ、誰か助け……グハッ」

窓の外を覗いて見ると、そこには血まみれの人達と、ライオンだが、尻尾が蛇になっている化け物を見つけた。

「え……」

次の瞬間、電車も急停止してしまった。
大きな衝撃が車内に響く。

「うおッと!……い、イテテ、何なんだ一体?」

電車前方から雄叫びが聞こえる。
なんだ……
そう思って前の方の車両を見てみると、自分の一両前の車両までが綺麗に消えていた。

「はっ……?」

目の前には何かの生物の爪。
嫌な予感がしながらも、顔を上げてしまう。
そこには巨大な二本足で立っている龍がいた。
その姿は、むしろ龍というよりも物語でいうドラゴンのようであった。
目と目が合う。互いに思考が停止したようだったが、数秒程してようやく声を上げた。

「い、嫌だァァァァァ!!!!」

情けない声を上げながら全力で逃げる。
勝てない。勝てるわけがない。
そう感じた俺は、自身に脚力増強の魔法を掛けて反対方向へと逃げる……
何故だかドラゴンは追いかけてこない。
全力疾走で数十秒。
既に1kmほど離れた。
ここまで離れれば……

そう思った俺だったが、甘かった。突然ドラゴンが此方に向かって全力で走り始める。
早すぎる。追いつかれてしまう。
魔法陣を組み立てて、走りながら牽制する。

「ファイヤーアロー!ロックシールド!エアバレット!ウォーターカッター!」

授業で習った魔術を無茶苦茶に撃つが、まるで痛痒を感じていなさそうだ。

ドラゴンは俺に追いつくとニヤリと笑う。
性格の悪い奴だ。
さっきは……あえて逃したのか。
こうやって、獲物が逃げ切れたと感じた瞬間を見る為に。
あぁ……結局この化け物は何だったんだ?
俺は何者かも分からぬ相手に殺されるのだ……
ドラゴンが腕を高く上げる。殺すのだろう。
抵抗しても無駄なので、そのままそこに座り込んでしまった。
振り下ろされた爪が俺に当たる瞬間、目の前であり得ない現象が起きた。
そこには、先程まで居なかった銀髪の美少女と白髪のロマンスグレーがいた。
銀髪の美少女は、ドラゴンの爪をモロに受けてしまったようだ。

「イッタァァ!!?な、何?縮地に失敗したの!?」

「……いいえ、ケインさん。景色が変わっています。成功したみたいですよ。しかし……ここは本当に地球でしょうか?なぜドラゴンがいるのでしょう」

「……は?」




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