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第九十九話 魔王の死

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「魔王様、スレッダーのネドリア様、炎孤のクーデル様、魔剣王のヴィクター様が討伐されました」

「ふむ……他の連中は兎も角、ヴィクターを倒せる者はまだ暫く現れんと思っておったが……中々どうして楽しませてくれる」

「どうしましょう…討伐した輩に軍勢でも送りますか?」

「無駄であろう…四天王を倒せる者相手に数で攻めてもさして意味はない。それより待とうではないか、その者達は魔王である我を倒しにくるであろう……その時に叩き潰してやれば良い」

「しかし……危険では?」

「ほう?貴様我が人間如きに負けると思っているのか?」

「いいえ!滅相もありません。ただお怪我をされては、と思いまして……」

「まぁ良いわ。我は気分が良いのだ。この世の中に我に対抗出来る者がおると知れてな!」

魔王は笑う。
部下の死を悲しむでもなく、嘆くでもなく、ただ笑った。
しかし、その笑いの裏には何か……企みのようなものも感じられた。


………………………………
………………
……

久しぶりに帰ってきた僕だが、早速魔王討伐に向かおうと思う。
学園はどうしたって?
休学になったよ…………

思い返すこと1週間前、あれは国中に四天王討伐が知らされた時の事、

僕とエルナ、そしてクリフは王城に招かれた。
エルナは王城が家みたいなものだし、僕は2回目だからそこまで緊張しなかったけど、クリフの緊張は異様だった。
全身汗だらけだったからな。
国王陛下に呼ばれて、重大な任務があると告げられた。

「此度の四天王討伐、実に見事である!ここにその報酬として金貨2000枚と、勇者パーティーに加入する権利を授ける!」

その瞬間周りの貴族から拍手が送られた。
クリフは照れていたが、僕とエルナは少し不機嫌になっていた。
まるでエルナの事を物のように扱っているからだ。
しかし、そんな所で怒る度胸も無く権利という名の義務を受け取った。
ここで勇者パーティー加入を断ったら後でどんな目に合わされるか分かったものじゃない。
まあ、別にエルナとパーティーを組む事は賛成だから断ることもないのだけれど……

どちらかといえば、その後のパーティーの方がひどかった。
僕は第一王子からアプローチされた。
面と向かって王子に断るのはどうかと思ったので

「お気持ちは嬉しいですが、私は旅に出ないと行けないので……」

と伝えたら、

「では旅が終わった時は是非!」

と言われたので適当に返しておいた。
後でエルナに聞いたらあの王子、エルナにも告ってたらしい。
そんな事だろうと思ったよ………

クリフも人気だった。
あちこちの令嬢から見合いの話を持ちかけられたそうだ。
僕と同じ理由でどうにか断ったみたいだけど、大丈夫だろうか?
その内悪い奴に騙されそうだ。

エルナは元々人気だったからか、今日はそんなにお見合いの話も来なかったようだ。
エルナ曰く、

「少しはこちらの事情も察して欲しいものです!」

とか、
いや本当にその通りだな。

ともかく、僕達は自分の強化も兼ねて旅に出ることになった。

学園は休学ということになっているが、戻ってくる事はないだろう。
たった半年間だったが、それなりに楽しかったよ。
心の中で学園に別れを告げ、僕は荷物をまとめた。






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