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第九十六話 帰還

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「それじゃあクウガさん、エルファトクレスさん、僕に捕まってください。王都まで縮地しますから」

「……本来なら縮地はそんな便利に長距離移動出来るスキルじゃないんだけどな……」

「そもそも何故騎士団でも無いのに縮地が使えるのですか!?」

「……まぁ、細かい事は良いじゃ無いですか」

「はぁ……細かいことでは無いと思いますがね。とりあえず置いておきます」

「ありがとうございます……では行きますよ?縮地!」

一瞬世界が回ったと思ったら、僕達は王都にいた。2人とも目を見開いて驚いている。
半信半疑だったようだな……

「これは……後で詳しく話を聞く必要がありますね。しかしその前に王都の人々の無事を確認しませんと…」

僕達は王都の中に入ると、そこら中に倒れている人を見つけた。急いで倒れている人達に近寄る。

「大丈夫ですか?何があったか分かりますか?」

「う…うぅ……え、エルファトクレス様!?えっと……ごめんなさいいつの間にか倒れていたとしか覚えてないです……」

「そうですか、体調には気をつけてくださいね?」

「あ、はい。ありがとうございます?」

何故かお礼をしたその男性は暫くの間頭を抱えて辛そうにしていた。

「後遺症に頭痛ってところか?それともテクストが死んだ直後だからかな?」

「どちらにせよ、後できちんと検査を行ったほうが良いでしょう。このままにしておくわけにもいきませんから、1度皆さんを安全な場所に運びますよ」

僕達は、1人1人を室内に入れて、安全を確保した。
その後彼等は丸一日眠っていたが、翌日ほとんどの人が無事に起きた。
皆んな操られていた間の記憶はなかったようで、いつの間にか皆んな寝ていたと思っている。
皆の看病をする中、クウガさんおエルファトクレスさんが話し合っていた。

「どうしましょう?本当の事を話しますか?」

「……いや、一時的にとはいえ王都が魔王軍に乗っ取られていたなんて情報流したら国中がパニックになってしまう。出来れば公表したくないが……」

「ケインさん次第ですね。今回の勝利は間違いなく彼女の物です。それを秘密にしろというのですから彼女にしてみれば理不尽な話でしょう」

「そもそも、テクストに逃げられたのは我々騎士団の失態だ。とやかく言える立場では無いだろう」

「そうですね……仕方がありません、ケインさんが望むのなら公表しましょう」

そんなわけで、ケインに公表しても良いかと、クウガとエルファトクレスが話し合いに来たのだ。

「僕は別に構いませんよ?ただ、今回倒した四天王は1人だけじゃ無いです」

「ああ、そうだね、エルファトクレス様が炎孤のクーデルを撃破したから、これで残るはスレッダーのネドリアと、魔剣王のヴィクターだけになる」

「その事ですが、僕とエルナとクリフとガルドは1週間前にネドリアを撃破しました」

「なんだって!?それは本当かい?」

「嘘言って何になるんですか。本当ですよ」

「なんてことだ、ということはこの騒ぎで一気に3体も四天王を倒してしまったということか……」

「はい。残るはヴィクターだけですね」

「…そのことなんだが、ヴィクターはオルトさんが今戦っているはずなんだ。隣国のガルダマンダ王国から救援要請が出てね、四天王が攻めてきたから討伐に手伝ってほしいと……僕を除く第六騎士団が討伐に向かったんだ」

「……オルトさんなら勝てるかもしれませんね。ですが心配です」

「そうだね、無事を祈るばかりだよ」





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