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第九十一話 理性
しおりを挟む「まずはみんなにかけた洗脳を解け」
「だ、誰が……」
反論しようとするテクストをケインが威圧する。ただ立ったまま睨んだだけなのに、殺気の様な物を感じたテクストは泡を吹き気絶した。
それを何度も殴りまくり、ケインが無理矢理目を覚まさせる。
「わ、分かったから……洗脳を解くから……」
そう言うとテクストが一瞬光った。
「これで解けた。さあさっさと僕を戻……」
「じゃあ大人しくそこで見守っていろ」
僕は近くに丁度鋭利な岩があったので、それにテクストの頭部を突き刺して置いた。
「ギャアアアアア」
「さてと………これで一見落着……!?」
かと思いきや、クウガさんが僕に襲いかかってきた。
モロに食らったせいで、胸が苦しい。
息がしづらい……
幸いすぐに回復したが、問題はそこでは無い。
「テクスト……貴様この期に及んでまだ嘘をつくとはな………」
「ち、違うあれは僕じゃ……」
途中まで何か言いかけたテクストがクウガさんに殴られた。
頭の一部が無くなっている。
仕方ないので回収してやった。
「おい、お前どういうつもりだ?本当に死にたいのか?」
「誤解なんだ!聞いてくれぇ~!」
「どういう誤解だ?内容によってはキツめの死で許してやるが……」
「ヒィ殺さないでぇ~……あれは多分生命力を燃焼させたせいで理性を失って暴走してたんだよぉ~。今までは僕が上から支配してたからどうという事なかったけどぉ~支配が終わったから暴走を始めたんだぁ~」
「チッ!厄介な………どうすれば止めれる?」
「止める方法なんかないよぉ~。一度動き出した機関車を外部からの干渉で無理やり止めるのは無理な様にぃ……ああなった人間を元には戻せないよぉ~」
「やれるかやれないかは僕が決める。お前は精々そこで苦しみ続けてろ!」
僕はそう言ってもう一度テクストの首を串刺しにした。
「さてと……どうするか」
テクストが言っていた話を参考にするのは癪だが四の五の言ってられない。
外部からの干渉で止めるのは難しいのなら、クウガさん自身にあの暴走を止めてもらうしか無い。
「クウガさん!聞こえてますか?」
「グガァァァァ」
クウガさんは僕の呼びかけに答えず、ただひたすらに攻撃を繰り返してくる。
「クウガさん!目を覚まして下さい!」
剣が重い。
そろそろ追いつけなくなってきた……
しかし僕に出来ることはただクウガさんを信じて呼びかけ続けるだけだ。
僕は何度でも呼びかける。
寝坊助な彼に。
…………………………………
………………
……
遠くから声が聞こえる気がする。
ケインの声かな?
よく目を凝らしてみると、僕とケインが闘っていた。
しかし、当の本人である僕は今まで出したことのない様な凄まじい力でケインを推している。
……やめてくれ。頼むから僕に人殺しをさせないでくれ……
なんとか口を開けて喋りかける。
「ご…めん……ね。……ぼぐを…………ごろじて」
初めて戦った相手が君で良かったよケイン。
頼むから、僕を殺してくれ、君にならそれが出来るだろう?
しかし、ケインは躊躇う。
剣は決して攻撃に使わず、防御に徹している。
ああ……ダメだった。
彼女は優しいから……時には優しさも仇となってしまう。
僕は再び薄れいく意識の中最後の言葉を呟く。
「もう……どうでもいいか」
と。その言葉を聞いた彼女は途端に表情を変えたのだった。
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