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第八十三話 王都の様子
しおりを挟む「大丈夫ですか!?」
王都に戻った僕達だが、特にいつもと変わった様子はない。だが、もしかしたら中央では何かあったかもしれない。そう思い、すぐに王城へと向かう。
その途中でパウロを見つけた。
「やあ、ケイン……」
「パウロ!?久しぶりだな。悪いが今は時間が無いんだ。」
「まあそう言うなよ。ちょっと付き合ってくれ……」
「パウロ、今は本当に時間が…」
「いいから来い!」
その様子に違和感を覚える。これは前にパウロが操られた時の様で……
「お前テクストに操られてるな?」
「せぇ~か~いっ!私はテクスト様に忠誠を誓ったんだよぉ~。君もすぐ仲間にしてあげるよぉ~」
パウロがテクストみたいな喋り方をし始めた。
厄介な!
「エルナ!騎士団を呼んできてくれ!」
パウロの無効化なら別に騎士団の助力は必要ないが、その後の対処に手伝ってもらわないといけない。
第六騎士団であるオルトさんやクウガさんはいないから、今いるのは第三騎士団。
「いや、その必要はないよ」
その声は僕の背後から聞こえた。
振り返ると、そこには騎士団の制服を着た人達が数人いた。
「良かった……すみません、友人が逃げ出したテクストに操られているみたいで、押さえつけて欲しいんですが……」
すると、騎士団の人々は顔を変えずに言う。
「そんなことよりも君達……テクスト様の傘下に入らないか?」
………………………………
………………
……
「貴方もテクスト様に降りませんか?」
「おい、お前まだテクスト様の傘下に入ってないな!?」
「捕まえろ!捕まえて洗脳させろ!」
僕達は今王都中の人間に追いかけられている。
王家の人間も含めて……
「ケインさん!どうしましょうかこの状況」
「とりあえず逃げるしかないだろ……ていうかアイツどんだけ洗脳してんだ!?」
「待ってください2人とも~」
クリフが遅れているので、担ぎながら走る。
「あ、あのこれは流石に……女の子に担がれるのは……」
「緊急事態なんだから黙ってて!」
「は、はい…」
顔を赤くしてクリフが運ばれている。
ナニコレシュール。
しかし……僕はともかく、エルナは先程の戦いで体力を使ったせいか、動きが鈍い。
一般人に捕まる程ではないが、このままでは危ない……
「しまった!行き止まりだ」
「どうしましょうか?」
迷っている時間はない。一か八かあの集団に突っ込んで逃げるしか……
「こっちに来て!」
よく聞くと声は地下から聞こえてきた。こんな所に下水道への入り口があるではないか。
「誰だ!?」
「いいから!」
仕方なく、僕達は声の主がする下水道へと入っていった。
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