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第六十六話 ゴールドゴーレム
しおりを挟むAランク魔物と言えば、魔王軍四天王であるテクストに匹敵する。
まぁ、魔王軍四天王はテクスト以外は全員Aランク上位に位置するらしいから、流石に目の前のゴールドゴーレムが残る四天王と同等ということはなかろう……
しかし、強敵な事に変わりはない。
すぐさま地面に落ちていた石をいくつか投げる
結構な勢いでぶつかったようだが、致命傷には至らない。
「エルナは前に出て剣と火魔法で抑えてくれ!エネマはエルナの補助を、ガルドと僕は魔法と投石で援護する!」
「「「了解!」」」
全員が指示通りに動き、なんとか押している。
しかし、先程のゴーレムに比べるとダメージの通りが悪そうだ。
「このまま押し切るぞ!」
そう思っていたが、残念ながらそう甘いことはいかなかった。
ゴールドゴーレムが雄叫びを上げてエルナに殴りかかった。
咄嗟に避けたエルナだったが、掠ってしまった。
掠っただけなはずなのに骨が折れたようだ。
「エルナ!大丈夫か!」
「だ、大丈夫です……ですが戦闘の継続を難しいかと。魔法による援護なら出来ますので」
「分かった!僕が前衛をするから、エルナは無理のない範囲で魔法を使ってくれ」
すぐさま前に出てゴーレムの攻撃を受け止めているが、確かに重い。
速さこそそこまででもないが、威力が桁違いだ。
油断したら僕でも飛ばされそうなほど……
……まてよ?縮地を使えば背後に回れるから攻撃し放題じゃないか?
すぐさま発動して後ろに回る。それと同時に剣を全力で振ってやった。
「グゴォォ」
ゴールドゴーレムはまともに食らって身体中がボロボロになっている。
その隙を見逃すわけない。
何度も剣を振り、急所らしき所に当て続ける。
だが、倒れなかった。
「クッ!コイツ耐久力高すぎだろ……」
もう1度縮地を使うと、今度は飛んだ先を読まれてむしろ僕が大ダメージを喰らった。
「ケイン!」
やばい……これあと2、3撃食らったら死ぬ……
すぐさま後ろに下がった。
向こうもダメージを喰らっているようではあるが、もし僕がやられたらこちらは間違いなく負ける。しかし、僕達には決定打が無い……
あまり人に頼りすぎるのも好きでは無いが……
仕方ないな
投石で牽制しながら指示をだす。
「エルナ!もし出来るなら熱量重視の炎をあのゴーレムに当て続けれないか?」
「出来ます!……が、ゴーレムには炎はほとんど効きませんよ!?」
「構わない!それを続けてくれ!」
「分かりました!」
「エネマか、ガルドは水魔法を使えないか?」
「俺は無理です」
「私も無理」
「そうか、じゃあエネマの氷魔法で作った氷を溶かして水にしてくれ」
「?……わ、わかった」
「俺はこのまま援護ですか?」
「いや、出来ればエネマを手伝ってくれ、出来るだけ早く水が欲しい!」
「了解っす」
こうして戦況は進む事なく、10分が経過した。
「水出来ました!」
「ナイス!それをあのゴーレムにかけてくれ」
「せやぁ!」
するとゴーレムが大爆発した。
「!?」
「ふぅ……何とかなったな」
「え、いや、な、何が起きたんすか?」
「急に爆発した、あれはケインの魔法?」
僕が2人に説明しようとするとエレナが話してくれた。
「違いますよ、あれは水蒸気爆発と言って水が温度の高い物とぶつかることによって起きる現象です」
「へぇ~。何でみんなその戦法使わないんでしょうか?」
「ゴーレムでもない限り大抵の魔物はそこまで熱すると死んじゃうだろ?」
「ああ!そういえば!」
「さ、先はまだ長いし少し休憩したら進みましょう!」
「エルナは骨折してたっぽいけど、行けるの?」
「ええ、これくらいなら何とか」
そう言って立ち上がると、片手で荷物を持ち始めた。
「いや、荷物は僕達が持つから」
こうして山の中でのアクシデントは終わったのだった。
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