上 下
15 / 192

第十五話 討伐報告

しおりを挟む

アークデーモンの魔石を持った僕は、ギルドに帰って換金してもらおうとした。

「デーモン退治の魔石です。」

いつもの受付にはお姉さんはおらず、別の人がいた。

「はいはい。デーモンの魔石ね」

やる気の無さそうな対応に少しイラっときた。
一応仕事だろ……

「あ、あとアークデーモンが出たので一緒に討伐しました」

「は?何言ってんだお前。アークデーモンをお前が倒せるわけねぇだろ」

「いや、かなり苦戦したんですが、なんとか倒せました」

そう言って魔石を見せるとギルド職員は苛立ちながら言った。

「はぁ……どこかで買ってきたな。虚偽の報告をしたって事で減点にしておこう。この魔石も没収だ」

想定していた魔物より上位の魔物が出た場合、冒険者はギルドにこれを報告する義務がある。
魔物が出るパターンには大きく3つあり、

魔力と環境がいい感じに組み合わさって、自然に生まれるパターン。

魔物が生殖行為をして、産んだパターン。

上位者(魔王等)によって、魔力を込められ生み出されるパターン。

いずれにせよ、情報にない魔物が出たり、出ないと思われていたところで出たりした時には、その土地の環境の変化や、強い魔物の訪れた証である可能性が高い。

だからこそ、異変がある土地は必ず調査をする必要がある。

しかし、このギルド職員は、ケインには倒せないから嘘をついたな、と勝手な解釈をして調査をしようとしない。

信じないなら別に構わない。

だが、それで不利益を被るのは誰か、後でたっぷり思い知ればいいさ。

僕は黙って減給された報酬を受け取って、ギルドを後にした。

それにしてもこのギルドは、エクレアお姉さん以外にはまともな人はいないのだろうか?

腹立ちながら宿に戻る途中、久しぶりに見たくもない家族の顔をみた。
ただすれ違っただけなのに、アイツらは舌打ちをしてきた。

「なんでまだ、こんなところにスキル無しのクズがいるんだろうねぇ」

「不思議だなぁ、とっくにのたれ死んでるかと思ったが、」

そんな事を言いながら通り過ぎて行ったアイツらを僕は忘れない。




しおりを挟む
感想 116

あなたにおすすめの小説

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

陰キャの僕が他校の“最強”ギャルと付き合う話

黒兎しろ
恋愛
陰キャの主人公、中森渡は、クラスどころか学校中に居場所は無かった。ある日の下校時間、渡は、巷で最強で怖いと噂の他校のヤンキーギャルとばったり遭遇してしまう。しかし、彼女は何やら事情を抱えているようで、、そして渡と付き合うことに!? 「な、なんで僕と?」 「な、成り行きだよ!成り行き!」 最強ギャルヒロイン、古賀 諒花は、渡の高校近くの女子校に通い、女子校人気NO.1でありながら、他校の生徒達には何故か最強と恐れられている存在だった。 しかし!実は彼女には“最かわいい”一面があり...渡と過ごしていく中で次第に意識し始めて、、、! まとめると、陰キャなのに、他校なのに、ギャルなのに付き合っちゃうし、しかもラブラブしちゃう!?って話です。 他校のメインヒロインは中々居ないので新鮮だと思いますし、下校デートに注目です! ※こちらはカクヨムで連載していた小説です。

スライム倒し人生変わりました〜役立たずスキル無双しています〜

たけのこ
ファンタジー
僕のスキルはいわゆるヘボスキルだった。 体を光らせる、それが僕のスキルの全てだった。 味方を助けるでもなく、自分が強くなるでもなく、ただ単に体を光らせるだけ。 そんなスキル、誰が認めてくれるんだよ。 でも、マチルダさんは違った。 冒険者ギルド受付のマチルダさんは、なぜか僕のことを買ってくれていた。 スライムも倒せない僕を、マチルダさんは応援してくれていた。 そして、こんなことを提案してくれた。 もし、スライムを倒すことができたらキスしてあげると。 そんなことを言われ、僕の頭は真っ白になってしまった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。 なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。 普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。 それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。 そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

ギルドを追放された【ぼっち】だけど、スキル【自動生成ダンジョン】がSSSランクの魔剣や友人を生み出してくれました。

お茶っ葉
ファンタジー
カイル・バートルは【ぼっち】で無能の冒険者である。 天涯孤独の身であった彼は、友人欲しさに冒険者になったものの、 スキルを持たない事で馬鹿にされてきた。ついにはギルドからも追放されて、彼は世界から拒絶される。 それでも前向きに生きる彼に、神は最高の贈り物を届けた。 スキル【自動生成ダンジョン】 ダンジョンが生み出す様々な恩恵を得る事で、 カイルはそれまでの人生で得られなかった大きな宝物を手にする。 魔剣の力、信頼できる仲間、そして栄光。 最強の力を手にしてもカイルは驕らない。今日も彼は日課の薬草採集に励む。 ※ときどき正義の味方になったりもします。 ※小説家になろうでも掲載しています

処理中です...