疾風バタフライ

霜月かずひこ

文字の大きさ
上 下
14 / 27

第12話

しおりを挟む
大型連休が過ぎて世間はすっかり元の姿を取り戻している。

 春風は心地よく、さんさんと降り注ぐ太陽が暖かい。

 そんな穏やかな風景とは対照的に、俺は緊張と興奮が入り混じったかのような言い表せない感情を抱えてへたどり着いた。

 

「戻ってきたぜ」



 今日はインターハイ神奈川県予選の2次予選。

 地区大会を勝ち抜いた強者が集い、しのぎを削る戦場だ。

 正確にはインターハイ自体は初めてであるため、県大会に戻ってきたという感じだが、つい最近まで出場できると思ってなかったので何かグッと来るものがある。

 会場の雰囲気にあてられて物思いに耽っていると京介が肩を叩いてきた。

  

「廉太郎なんか今日はいつもと違うね」

「そうか? 自分ではそんなつもりねえけど。どんな感じなんだよ?」

「うーん言葉にするのは難しいね。なんというか……」



 あれか? 緊張しすぎってことか?

 それとも昨日あんま寝れてなかったからか?

 応援に来ていた京介に意味深なことを言われ、ふと考えてしまう。



「あ、わかった。朝倉さんがいないから寂しいんでしょ?」

「な訳ねえだろ。むしろすっきりしてるっつーの」

「へへーそういっちゃって実は……アイタっ!?」



 ったく、心配して損したぜ。 

 京介が余計な話を始める前に鉄拳を入れて黙らせておく。

 

 俺が朝倉の不在を知ったのはつい15分程前。

 元々遅れてくる予定だったが、遅れた故に電車の遅延に巻き込まれてしまったそうだ。本人は頑張って来ると言っていたが1試合目にはまず間に合わないだろう。

 

 だから最終的には朝倉は来るのでそういった意味でも寂しくなんてないし、来なかったとしても寂しくもない。

 つーか俺としては余計なプレッシャーが減るからありがたいくらいだぜ。



「んじゃ京介行くぞ。……早瀬。俺たちはアップ行ってくるから。朝倉を迎えにいった今宮にもよろしく伝えといてくれ」

「わかりました。待ってます!」

「おう」



 力強く送り出してくれた早瀬に手を振り返して、京介と共に会場の中央に設けられた卓球場へ向かう。この時間を逃してしまうと試合以外で練習できないとあって卓球場はかなりの混雑だ。

 ただ前回と違って今回は早瀬が俺の出欠を済ませてくれていたので、スムーズに台を確保できた。そこから時間いっぱいまで俺と京介は練習を続け、開会式に合わせて早瀬の下に戻る。 

 

「越谷さん。これ、大会概要です」

「サンキュ。どれどれ」



 早瀬から資料を受け取りさっそく目を通していく。

 県大会ともなれば全国区の化け物に当たる可能性もある。

 棚ぼた狙いの俺にとっては、組み合わせは死活問題。

 ……えーっと、ここだな。

 自分の番号を探しだし、その相手の名前に目をやった瞬間、悪寒が止まらなくなった。 



「う……嘘だろ?」

「ん? どうしたのさ廉太郎」

「どうしたんですか?」

「いや、何でもねえよ。ははっ」



 気遣ってくれる二人に動揺を隠そうとして乾いた笑いが出る。

 それを誤魔化そうと手で口を押えたら、手が震えているのに気付いた。 

 

 くそ、落ち着けよ俺!

 必死に冷静になろうとするが、名簿にある名前を見ると、心が落ち着かなくなる。

 そこにあった名前は松陰輝まつかげてる。

 俺がイップスになった試合の対戦相手だ。





************



 

「先輩、お疲れ様です」

「さんきゅ」



 後輩からスポドリを受け取って一息つく。

 およそ1年前のこの日、俺は激戦を勝ち抜いて念願の関東まであと一歩の所まで来ていた。



「……やっぱ緊張とかするんですか」

「は? 俺がそんな玉に見えるかよ」

「そ、そうっすね。失礼しました!」

「まあ安心して席で見とけ」 

「はい!」



 ガハハハッっと、心配はいらないと言って後輩を席に戻らせる。

 後輩の前では強がっていたが、実の所、俺の精神は限界に近かったのだ。

 もう一歩の所まで来ているのに勝てない事実。

 それがボディブローのようにじわじわと俺を苦しめている。

 直近の試合もあと一歩で負けていたので俺は一段とそれを意識していた。

 しかも…… 



「「がんばれー」」



 あふれんばかりの大歓声。

 この日は同級生だけでなく、いつもはこない俺の親も応援に来ていた。

 余計にプレッシャーを感じさせた。

 応援に来てもらってるのに負けたらどうする?

 負けらない! 負けらない!

 負けることなんて許されない!

 いつもなら考えもしないモノが強迫観念のように俺に付きまとう。

 正直なところ吐きそうだった。

 ……卓球なんてしたくないと心の底から願うほどには。

 だが試合は俺を待ってはくれない。

 極限まで追い詰められた状態で俺は大一番を迎えるハメになった。



「「よろしくお願いします」」



 相手の松陰は中2で卓球を始めて、ここまで上り詰めた新進気鋭のルーキー。

 溢れる才能でぶつかってくる相手に俺は経験の差を武器に上手く立ち回り、なんとか優位に試合を進めていく。

 しかし第2セット後半に事件は起こった。



「な!?」



 松陰のサーブを立て続けに返球できず、2失点してしまい、その後の自分のサーブはどちらとも強打で返されたのだ。

 別にこれ自体は卓球をやってればあることで、全然大したことはない。

 わりきって次のプレイに集中すれば良いだけの話なのだが、追い詰められていた俺は動揺してしまう。

 ――ここから俺の地獄が始まった。

 

「……どう、してだよ?」



 サーブが入らない。それも2球続けて。

 さすがにまずいと判断し、安全に入れにいくも入らない。

 この時点で俺のサーブは既に死んでいた。

 当時の俺はサーブで崩し、ドライブで決める三球目攻撃が主な得点源。

 特にサーブはYGサーブなど多彩なサーブを使いこなしており、自分でも自信を持っている部分だった。

 その生命線ともいえるサーブができなくなった俺は当然パニックに陥る。

 

「あの子一体どうしたのかしら?」

「先輩! 一体何が!」



 俺の異変に気付いてざわめきだす観客たち。

 それが一層俺を苦しめた。



 なんでだ? なんでだ? なんでなんだよぉ!

 混乱する頭で必死にプレイを続ける。

 ――だが



「う、そ……だろ」



 ついにドライブすらもできなくなってしまった。

 ……まるで一本の糸が切れてしまったかのようにあっけなく。 

 そうなってはもうどうしようもない。 

 俺はその後、失点に失点を重ね、勝負に敗れた。

 大会でも稀に見るほどの大逆転負け。

 それ以降、俺が卓球部に戻ることはなかった。



************



 これがことの顛末だ。

 その後、俺は一度も卓球部に顔を出すこともなく、卓球部が弱い七原学園への進学を決意した。そうして紆余曲折あって現在に至るという訳である。

 

 けどまさか一回戦で松陰と当たるとは。 

 俺にとっては苦手意識しかない相手だ。

 思い出すだけでこれだというのに。

 こんな様でまともに戦えるだろうか?

 今からでも棄権した方がマシなんじゃ……



「……廉太郎、廉太郎! しっかりしろ!」



 その時、暗い底に沈んでいた意識に京介の声が響いた。



「……京介」

「何があったかは知らないけどそんなびびってるなんて廉太郎らしくないよ」

「俺はびびってなんか……」

「そう? ならいいけど。……ともかく廉太郎は頑張ってきたんだから自信を持ちなよ。大丈夫、廉太郎ならきっとできる。それに僕はどんな結果だって見届けるからさ」

「……お、おう! 行ってくる」



 大丈夫、廉太郎ならきっとできる。

 京介の言葉に勇気を貰い、俺は卓球台へと歩みだす。

 

 そうだ、びびってる場合じゃねえ。

 俺は今宮に宣言したんだ。

 インターハイを勝ち抜くと。

 それに朝倉にこんな姿は見せたくない。

 

 ……だったら逃げてる場合じゃねえだろ。

 俺は覚悟を決めて、松陰の待つ卓球台の前に立った。



「久しぶりだな、ずいぶん元気そうじゃねーか」



 精一杯の啖呵を切って、俺は松陰に対面する。

 松陰は1年前とあまり変わっていなかった。

 168しかない俺よりも身長は低いままで、もやしのような体格も記憶のそれとほぼ同じである。

 ……ただ目つきは悪くなっており、好青年といった印象を受けた以前の顔立ちとはだいぶ異なっていたが。



「ああお前、あの時の人か。まさかまだ卓球を続けてるなんてね。あんな無様な負けをしたからもうやめたかと思ってたよ」

「……」



 安い挑発だ。

 以前のこいつならそんなことは考えられなかったが、身の丈に合わない才能がこいつのエゴを助長させたのだろうか。

 俺など脅威にも感じてないと言わんばかりの態度である。



 ……まあだったらその油断を利用させてもらうぜ。



「いくぞ」



 序盤、俺はサーブから試合を組み立てていく。

 1年前と違って単純なサーブしか出せないが、それ故返されても返球には困らない。

 アンチラバーの生み出す緩急と合わせて、松陰相手にリードを広げる。

 

「よっし!」



 行ける、行けるぞ!

 自分でも不思議なくらいの出来に、なくしかけていた自信が戻ってくる。

 それに比例して松陰へのトラウマもなくなりつつあった。

 気づけば7点ものリード。 

 だがそれだけの大差があっても松村は焦る気配もない。

 

 なんか企んでんのか?

 松陰の気持ち悪いくらいの静けさにさすがの俺も不審に思い始めた所、松陰がついに正体を現す。



「……はぁ、こんなもんか。前とは違うって言ってたから期待したのになぁ」

「何……言ってんだよ?」

「言った通りの意味だよ。つまらないから終わりにするね。0-7」 



 まるでゲームに飽きた子供みたいな理由だった。

 だが言葉通り、今までとは違う威力でサーブを繰り出してくる。



「くおっ!?」



 俺はなんとか返すも、松陰はすでに迎撃態勢だ。

 すかさず、カウンターの一閃。

 俺は触れることすらできない。



「まだまだいくよ」



 息つく暇もなく松陰は顔を邪悪に歪めて追撃してくる。

 上回転系のサーブを多用して早い段階での打ち合いを誘ってきた。



 ……上等じゃねーか。

 ならばと俺もその誘いに乗り、試合は乱打戦へ。

 松陰の鋭いドライブをアンチと裏の緩急で迎え撃つ。

 しかし王道vs邪道の戦いはすぐ結果が見えた。



「くそ! またかっ!」

「ははっ! 遅い遅い!」



 子供のような無邪気さで走り回る松村は緩急なんて意味ないとばかりに、ポンポン打ち抜いてくる。

 一方の俺は松陰の攻撃に対し何もできず、防戦一方。



 松村は天才型だ。

 反射神経の速さはあっても経験が浅い故にテクニックはないし、緩急にも弱い。

 それが偽らざる俺の松村への評価だった。

 そしてそこに勝機があると考えていた。

 

 だが松村は速すぎる。

 前陣から俺がラケットを反転させる暇もないくらいの連撃。

 そしてそれを可能にする圧倒的な反射神経。

 正直、速さという点だけならあの朝倉にすら匹敵する。

 こうも速さでぶっちぎられては緩急など作りようもない。 

 

 ちくしょう!

 俺の見立てが甘かった。

 こんな奴相手に乱打戦を挑むなんて!

 反省しながらも必死に対抗策を考えるが、その時間もない。

 序盤に築き上げた差はあっけなく消滅し、逆転される。

 もはや勝負は火を見るよりも明らかだった。



「……もう諦めたら?」



 見下すような目で降参を促してくる松陰。

 上っ面だけでも負けないように俺は軽口で答える。



「ずいぶん余裕そうだな。まだ勝負はついてねーぜ」

「そう? じゃあいいけど」



 第1セットを取られ、第2セット。

 俺は台に着いて、自嘲した。



 ……同じだ。

 何もかも。

 1年前と何も変わってねえ。

 序盤だけ良くて後半は何もできずに終わる、そんな結末になっちまうだろう。



 だけど嫌だ! 

 そんなのは。

 もうあんな惨めな思いはしたくない。

 死に体同然の日々を、大好きだったものを嫌いになる思いはもうしたくねえ!

 何よりこの高校に入ってからの日々を無価値にしたくねえんだよ!



「このままじゃ終わんねーからな」



 緩急が駄目なら左右に揺さぶってやる!

 開き直った俺はラケットの反転を捨て、コースの打ち分けを最優先にブロックを行った。



 振り切れ!

 振り切れ!

 振り切れ!



 絨毯爆撃のような怒涛の攻撃に耐えながら左右に振り続ける。

 松村は速さがある分動きに無駄も多いため、この揺さぶりが効いた。

 積み重ねた揺さぶりが功を奏し、フォアに飛んでいくボールへの反応が遅れる。



「ん? やばいやばい」



 加えて汗に滑ったのか体制を大きく崩し、初めて松陰から焦った声が聞こえた。



「そこだ!」



 そのフォア側に追いやってからの、バック奥への返球。

 これならいくら速くても関係ねえだろ?

 完璧な返球に得点を確信したその時だった。

 

「よっとっと」



 松村はバックに飛んだ球をで打ち返してみせた。

 

 ざけんなよ。

 バックならまだわかる。

 でもフォアってことはわずか数秒の時間で卓球台の横幅を移動したってことだ。



「……ば、化け物め」



 神速としか言いようがない。



「こないの? ならこっちからいくよ」

「な!?」



 ここにきてYGサーブかよ!

 なんとか返球するも、即座に前陣からの速攻が来る。

 俺はそれに対応できなくて……



「まだだああああ!」



 諦めそうになった所から必死に手を伸ばす。

 このままじゃ、このままじゃ終わらねえ!

 最後の足掻きとばかりに伸ばした手はボールに届き返球に成功した。

 松陰は不意を突かれて反応できていない!

 だがそれをあざ笑う神速のインパルス。

 松陰は驚異的な反射でボールに追いついた。

 

「……これで終わり?」

「くっ…………」



 余裕の表情の松陰を見て、俺はついに認めてしまった。

 こいつには勝てない。

 松陰と俺では天と地ほどの差があると。

 その1球は俺の心を折るのに十分すぎた。

 

 もうそこからは松陰のなすがままだった。

 圧倒的な才能の前に俺の全てが淘汰されていく。

 緩急も揺さぶりもサーブもブロックも、俺が高校に入ってからの日々で得たもの全てが無力と化す。

 

 ――だけど、どうしようもない。

 どうすることもできない。

 …………小細工を弄した所で通用しないのだから。

 2セット目が終わる頃にはもう抵抗する気さえ失せていた。

 死刑を待つ罪人のように、ただ茫然と目の前で起きる現象を見つめていた。



「…………ありがとうございました」



 絞り出すようにして声を出す。

 結果はストレート負けだった。

 一年前と同じ、いやそれ以上の大敗北。

 俺が自滅したのではなく、実力で完膚なきまでに叩き潰されたのだ。

 真っ白になった頭で形だけでもと手を差し出すと、松陰はたいそう不機嫌になった。



「越谷って言ったけ? お前さ、才能ないんだからやめなよ」

「は?」



 突然のことに困惑する俺。

 だが松陰はあっけらかんと言う。



「そう才能さ。やってよくわかったろ? お前はスピードも何もかも劣ってるんだ。僕がせっかくバックドライブは使わないであげたのにこれだもんな」

「ま、まさか……そんな」



 そんなことがありえるのか?

 だが確かに思い返してみても、バックドライブは使われていない。

 ……あのスーパーショットはそういうことだったのか。



「あーごめん。気付いてなかったんだ。それは悪いことをしたよ。でも卓球歴2年の僕に勝てないお前が悪いよね」

「っ!?」 

「じゃあね凡人。せいぜい生まれ持った才能の差を呪うといいよ」 



 ちく……しょう。

 悔しさを噛み締めて口に血の味が広がる。

 こちらを一瞥もせず、去っていく松陰。

 だが紛れもない真実だったが故に、何も言い返せなかった。

 それを当然のように受け入れている自分が情けなかった。



「くそがっ!」



 衝動に任せてラケットを床に叩きつけようとした…………けれど誰かに後ろから手を掴まれ、寸前のところで止まる。

 何かと思って振り返ると、俺を止めたその人は優しい声で諭してきた。



「駄目だよ、ラケットをそんな風にしちゃ」

「あなたは…………」



 突然の有名人の登場に言葉が詰まる。

 この人は道畑の…………



「俺は道畑浩二みちはたこうじ、弟から君のことは聞いてるよ」

「道畑浩二? 道畑浩二ってあの?」

「ははっ。俺を知っててくれるとは嬉しいね」



 道畑浩二。

 道畑の2個上の兄で、昨年のインターハイシングルス全国2位。

 甘いマスクと確かな実力から王子と呼ばれている他、人間的に秀でた彼の逸話は数知れない。

 イケメンで性格もいいとかアニメもびっくりなくらいの人間である。

 

 そんな人がどうして俺に?

 俺の疑問をよそに道畑浩二は試合のコートを出る寸前だった松陰を引き留める。



「そこの君! ちょっと待て」

「ん? なんだよ。なれなれしいな」

「勝ったからって対戦相手を侮辱するのは頂けないな。卓球はそういうことをしていいスポーツじゃない」

「何お説教? 僕、説教とか聞きたくないから」

「――説教なんかじゃない。これは忠告だ」



 そこから響いてくるようなドスの聞いた声だった。

 あまりの迫力に松陰すらも息を呑む。

 しかし道畑浩二はすぐに笑顔に戻って、松陰に告げた。



「いいか松陰、君とは上手くいけば3回戦で当たることになるんだ。そこで俺が勝ったらさっきの越谷くんへの暴言は取り消してもらうよ」

「僕に勝つだって? いいよ? できるものならね」

「できるさ。俺は勝つ」

「ふん、僕もう行くね」



 今度こそ松陰はコートから去って行った。

 それに合わせて道畑浩二は俺に告げる。



「越谷君、君の仇は俺に任せてくれ。それじゃ俺は試合があるからこれで」



 なんてかっこいい宣言をして道畑浩二はコートの外へ行く。

 道畑浩二は最後まで王子様みたいな人だった。



「…………やっべ。次の試合始まっちまうな」



 俺もやっとこさ立ち上がり、松陰に続いてコートを出る。

 試合の疲労によって重い足を引きずりながら。



「にしても道畑浩二と松陰か」

 

 道畑さんならやってくれるような気はする。

 なにせ二人とも天才だ。

 才能の差で勝敗は決まることはない。



 だけど…………なぜだろう。

 二人の対決を見てしまったら、最後に残ったことさえ失ってしまう。

 それは何か確信めいていて、俺は素直に喜べないでいた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

雌犬、女子高生になる

フルーツパフェ
大衆娯楽
最近は犬が人間になるアニメが流行りの様子。 流行に乗って元は犬だった女子高生美少女達の日常を描く

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...