上 下
102 / 179
第10章 対アンノ戦争勃発

10.17 欧州開放2

しおりを挟む
 1.5km×3㎞にもなる、広大なフランスの奴隷兵の駐屯地の上空には、“しでん”戦闘機20機、“らいでん”攻撃機5機が滞空して内部を見張っている。中には多くの兵舎が建設されているが、まだ全体の3/4の面積は整地されたのみの裸地である。
 それは当然のことで、最終的に10万の兵員を収容する兵舎が建てられる予定であったらしいが、人数に合わせて増設していこうという予定であったようだ。

 ハヤトがミールク及び防衛同盟の代表2名、フランス政府の代表2名と共に、幅が10mほどもある大きな門をくぐって、徒歩で中に入り込むとそこは大きな広場兼駐車場になっており、100人ほどが待っている。見たところ、1/3ほどがサーダルタ帝国人であり、残りが犬耳の兵士である。中の一人の制服を着た女性が、一歩進み出て、明らかに同国人のミールクに英語で話しかける。

「私が、この駐屯地の暫定指揮官アミラ・ズ・カイマクです。あなたが、ミールク・ダ・マダンですね」
「そうです。今は地球人の捕虜ですが。ああ、こちらが、私を乗艦から誘拐して捕虜にしたハヤト氏です」
 ミールクは進み出て、一緒に進み出たハヤトを紹介する。

「ハヤトです。私は地球人の中でも魔法の能力が高いので、ここに隷属状態になっている人々を開放するために来ました。ミールクに聞くと、どうも隷属の首輪を無効にするのは容易ではないようなのでね」

 ハヤトの言葉にアミラが応じる。
「その通り、解放する魔法具はありますが、司令船に乗せているものがすべてで、この駐屯地には置いてありません。必要がないはずでしたのでね。しかし、司令船はあなた方が破壊したのでしょう?それから、我々が捕虜になるのなら、それなりの手続きが必要でしょう?」
 その言葉に応じて、中年金髪の細身の防衛同盟の制服の将校が進み出る。

「そうです。私は、対サーダルタ帝国防衛同盟の代表としてきた、ジム・マクラン法務中佐です。この駐屯地のサーダルタ人と従属種族のマゼラ人については対サーダルタ帝国防衛同盟が捕虜とします。すでに、ミールク・ダ・マダン氏から説明があったと思いますが、原則として捕虜は皆本国に送還します。しかし、地球人に対して故意の殺人あるいは残虐行為を行ったものは軍法会議にかけて、その判決に応じて罰します」

「その罰するという具体的な罪とは?」
「我々の把握している限りにおいての行為としては、EU本部及び周辺市街地への爆撃の指令と実行、上空から人々への熱線銃での攻撃、非武装の者に対する攻撃等、さらに弓等への反撃も相手が死に至った場合には罰します」
 マクランのこの回答にアミラは肩をすくめて、口を開く。

「我々は所詮、戦いに敗れた方ですからね。反論しても無駄でしょう。大体、それらで告発されるべきものはほとんど、戦闘で死亡したでしょう。なお、この駐屯地にサーダルタ人が1528人、マゼラ人が5352人おります。500人収容の兵舎が、現状では42棟完成しており、18棟が地球人を収容するのに使われています。
 地球人は8995人で、15人が病気で病棟に入っていますはが、ほとんどの者が健康です。無論、地球人は全員が隷属の首輪をしており、物理的に切るなどして外そうとすると、脳をかく乱する作用が働き、着用したものは精神に失調を来たします。簡単にいうと、気が狂うということです」

「では、まず、隷属の首輪が外せるかどうかだな。まず、地球人を10人連れて来てくれ。それから、あの建物を使わせてもらおうか。いいかな?」
 ハヤトが言うのにアミラは頷き、横の部下になにやら命じ、ハヤトに向かって言う。

「我々は所詮捕虜だ。あれは事務棟だが、使いたいなら使うがよい。しかし、隷属の首輪を外すのは簡単ではないぞ。わが国の高位の魔法使いは外せるというが、貴君が出来るとは思えん」

 ハヤトはそれを聞いて、隷属の首輪はラーナラではありふれたもので、魔力の強い者ならその解除はそんなに難しいものではなかったことを思った。サーダルタ帝国のものは違うかもしれないが、魔法を使ったものであり、魔法具を使ってそれを装着・解除することが基本の点などを考えると、似たようなものであろう。それが、今回ハヤトが志願して、ここまで来た理由である。

「まあ、そうかもな。まあ、やってみるよ」
 ハヤトはそう応じ、連れてきた隷属者10人と一緒に事務棟に入って、サーダルタ側の者を追い出す。中に残ったのはミールクと地球人4人である。

 その幅が5mほどもある事務室の壁際に10人を立たせて、ハヤトはそれに向かって立ち、首輪に魔力を伸ばす。なるほど、少し違うが、この首輪はラーナラのものとほとんど一緒の仕組みと働きだ。これなら、外すことが可能だが、下手をすれば気を狂わすことになるとなると、慎重にならざるを得ない。

『ここを、魔力で抑えて、ここを引っ張り出して、ここに魔力を注ぎ込む。それ!』
 正面に立った、うつろな目をした20代の茶髪の男の首輪に向かって、ラーナラにおける隷属の首輪と同じ方法で、魔力を操り、さらに注ぎ込むと、かすかな“かちゃり”という音がする。直後、茶髪の男の目に理性の光が戻る。

「君!その首輪を外しなさい」
 ハヤトがその男の首輪を指さし念話で言うと、男は「え、ええ?首輪?」と言ってそれでも首に手をやり、首輪に触る。するとそれは、そのように触られたことで、かちゃりと言う金属音と共に外れて、床にバサリと音をたてて落ちる。

「あ、俺はどうしたのだ?ここは?」
 戸惑う男の言葉はフランス語だ。
 このようにして、ハヤトは隷属の首輪を外す方法を見いだしたので、他の処理は簡単である。残りの9人は、各々ものの数秒で首輪を外して正気つかせる。そうやって事務棟の外に出ると、そこは面倒なことになっていた。

 指揮官のアミラが、手錠のようなものをかけられて拘束されており、その横に男の将校がふんぞり返っている。そのそばには10人ほどの熱戦銃を構えた兵士が並んでいる。彼らは2人のサーダルタ人の将校と、8人のマゼラ人の兵で、ハヤトを始め事務棟から出てきたもの達に向かって狙っている。

 この情景を200人ほどに増えた、軍服を着たもの達が見物している形であるが、上空の”しでん”がなぜ気が付かないのかと思って、魔力を使って探ると上空からの光景を幻影をかけて欺いているようだ。ほう、この将校は幻影の魔法が使えるのか、ハヤトは感心して思う。

「裏切り者のミールク・ダ・マダンか。お前をさらったというそのハヤトは物騒だな。こいつを殺せ!」
 アミラのそばの将校が叫ぶ。

 しかし、一瞬早くハヤトが、風魔法で銃を持った隊列を下向きの力をたたきつける。その力に、銃はすべて下を向くかあるいは手から離れて地面にたたきつけられる。間髪、ハヤトはさらに風の刃で兵士の頭を薙ぐ。腰が砕けて倒れた2人を除いて、8人の首あるいは頭部がすっぱり切れてすっ飛ぶ。胴体は一瞬遅れてズルリと倒れる。

 見ていた多くの者から、叫びが漏れるが、アミラのそばの将校は流石に鋭敏に拳銃のようなものを腰から取り出して、ハヤトを狙おうとする。しかし、ハヤトに向かってそれは無駄なことで、やはり風魔法で銃を叩き落される。
「さて、指揮官殿、これはどうしたことかな」
 ハヤトは、それだけの事をしても平静なアミラに聞く。

「見ての通りだ。衛兵隊長のジザークが、私の判断には従えないということで、地球人を人質にして立て籠もるつもりだったようだ。私から見れば、あなたの魔力に敵うわけがないと思うがね。彼のランクではわからなかったのだな。しかし、あなたの危険性には気が付いたようだけどね」

 アミラの答えにジザークが叫ぶ。
「野蛮人の地球人に簡単に応じやがって。裏切り者が!サーダルタ帝国の誇りはないのか?」
 アミラはシザークの言葉にアミラは淡々と言う。

「うーん、どっちが野蛮人かな?国力を傾けて地球制圧を試みたが、莫大な損失を受けて失敗したわけだ。ここで立て籠もっても、補給がない以上いずれは降伏せざるを得ないし、その場合には現地の人々の印象は大いに悪くなると思うがね。そうして降伏した場合の、君らの扱いは想像がつくよ。
 要は今回地球制圧という、帝国軍の勧告に従った帝国議会の決断が誤りだったわけだ。はっきり言って、相手が強すぎた。当然の事ながら、相当な損害を受けた地球側の報復は今からだが、我々はそれが片付くまで待つしかないな。まあ、君もこのハヤト氏の実力を全く判断できずに同じように完敗しているから、すくなくとも君には帝国の軍、議会を責めることはできないな」

 それを聞いて、ハヤトはその的確なコメントに感心し、希望をもった。それは、そのような考えができる者は、このアミラという個人のみではないだろうから、最終的にサーダルタ帝国と地球の間に和平を結ぶことができる現れであると思ったのだ。しかし、魔力についてはだいぶ劣るようだが、知性について言えば、明らかにアミラがミールクより上であるようだ。

 サーダルタ帝国の規模は、その支配下の種族まで入れると、地球全体を集めても大幅に大きいことは明らかである。そういう相手と血で血を洗うような争いはしたくはないし、そんな相手を支配下に置くことも無理である。また、そのように大きな規模の相手は、当然違う文化と産業構造をもっているから、相互の交流は間違いなく双方に大きな利益がある。

 地球については、すでにAE励起発電によって事実上無限のエネルギーを確保できているし、自分がやった資源探査で当分鉱物等の資源の枯渇は考えなくてもよいので、基本的に他からの収奪する動機がない。問題は、サーダルタ帝国のまさにその帝国主義であるが、これは強制して分離独立させることは可能であろう。ハヤトにとっては、この日が対サーダルタ帝国の今後の対策方針が、ぼんやり浮かんできたきっかけになった。

 ジザークは反乱の罪で営倉に入れられ、駐屯地の秩序は取り戻された。アミラ指揮官は、ハヤトが首輪を外すことが出来るのは予想していたが、まさか駐屯地の9千人の首輪の解除にわずか3時間足らずという点は予想しておらず、その点は大変に驚いていた。

 その日、フランスの駐屯地に集められていた奴隷兵が解放されたことが周知され、政府の手配したバスや鉄道等の交通機関によって、2日の内にその解放された人々は自分の家に帰っていった。アニエスはアパニエンの地下鉄の駅で夫を待っていた。彼女が夫のアドリアンからの連絡を受けたのは昨晩であり、いつもと変わらない夫のその声を聞いて、彼女は最初どう反応していいのかわからなかった。

 5日前のあの日、彼は突然無表情になって、必死で止める彼女を振り切って行ってしまった。その後、それがサーダルタ帝国の心理操作であり、夫が奴隷兵にされるために連れ去られたことが分かった。それでも、夫が無表情になって彼女に対して反応しなくなったあの時のことは、締め付けるような苦しみになって残った。

 その後、対サーダルタ防衛同盟による反抗と欧州開放を知って、彼女は夫が閉じ込められている駐屯地に向かおうと思った。しかし、政府の公報であのハヤト氏が、まずフランスの駐屯地に向かい、隷属の首輪を解く試みをすることが告げられた。

 その公報は、さらに開放された人々は直ちに政府が手配する交通機関で、自宅に返すようにするので自宅で待ってほしいと要請し、さらに、解放され次第本人から家族に連絡させるとも述べている。
 その結果、待つことにしたアニエスのモバイルにかかってきた通話に、彼女は暫く言葉が出なかった。しかしようやく、「アドリアン?」と絞り出すように声が出て、その後は会話ができるようになり、明日正午ごろには彼が近くに地下鉄駅に着くことを理解した。

 彼女が、1時間ほども待った後、改札を抜けてくる白っぽい服を着た長身の男性、体つき・動作で判る。あれはアドリアンだ。
「アドリアン!」
 彼女は思わず思いっきり叫んでいた。彼もその声に彼女を見て「アニエス!」大きな声で叫ぶ。アニエスは彼に向かって走り出し、彼は彼女を受け止めて思い切り抱き合った。このようなシーンが欧州全体でみられた。

 ハヤトは、このようにして、欧州の駐屯地10か所を回り、合計約8万5千人の人々を開放した。幸い、これらの人々は戦闘に駆り出される前であったために、犠牲になった人はいなかった。しかし、サーダルタ帝国の欧州制圧は、人命についてのみとっても、結果的には高いものについた。

 隷属化を妨害しようとして抵抗したことによる死者は2万1千人、重軽傷者3万2千人、EU本部の破壊によって、死者7万5千人、重軽傷者21万人、解放のための空中戦による死者は380人、重軽傷者820人で死者は合計が約10万人に達した。

 これは、当初から抵抗し、日本からの大きな援助があったにせよ、サーダルタ帝国の侵略を防ぎ、結果的にたたき出したイギリスの犠牲者と奇しくも同等の被害であった。また、防衛同盟軍とサーダルタ帝国軍との戦いによる犠牲者は、イギリスに比べても比較的少なかった。

 これは、サーダルタ帝国に比べ優位な戦力で戦ったこと及び、防衛同盟軍がイギリス・東南アジアでの戦訓を活用した成果でもあった。そのことから、下手に抵抗せず、防衛同盟軍への依頼も遅かったことが、結果的に功を奏したという議論をする者もいた。

 しかし、この論は大きな反発を浴びた。なにより、欧州は結局日本、アメリカ、イギリス等の外部からの助けのみで解放されたのだ。その結果、多くのサーダルタ軍の捕虜は、欧州諸国には当事者能力がないということで、防衛同盟の管理下に置かれている。
 これは、自らが住む場所が世界の中心と思っていた欧州の人々のプライドを大きく傷つけた。
 その後、欧州諸国はアメリカ・日本に対して膝を屈する形で、魔法の処方、AE励起発電、重力エンジン、レールガンの技術導入及びそれらの実機を輸入に全力を挙げた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

最難関ダンジョンで裏切られ切り捨てられたが、スキル【神眼】によってすべてを視ることが出来るようになった冒険者はざまぁする

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【第15回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作】 僕のスキル【神眼】は隠しアイテムや隠し通路、隠しトラップを見破る力がある。 そんな元奴隷の僕をレオナルドたちは冒険者仲間に迎え入れてくれた。 でもダンジョン内でピンチになった時、彼らは僕を追放した。 死に追いやられた僕は世界樹の精に出会い、【神眼】のスキルを極限まで高めてもらう。 そして三年の修行を経て、僕は世界最強へと至るのだった。

異世界帰りの俺は、スキル『ゲート』で現実世界を楽しむ

十本スイ
ファンタジー
ある日、唐突にバスジャック犯に殺されてしまった少年――同本日六(どうもとひろく)。しかし目が覚めると、目の前には神と名乗る男がいて、『日本に戻してもらう』ことを条件に、異世界を救うことになった。そして二年後、見事条件をクリアした日六は、神の力で日本への帰還を果たした。しかし目の前には、日六を殺そうとするバスジャック犯が。しかし異世界で培った尋常ではないハイスペックな身体のお蔭で、今度は難なく取り押さえることができたのである。そうして日六は、待ち望んでいた平和な世界を堪能するのだが……。それまで自分が生きていた世界と、この世界の概念がおかしいことに気づく。そのきっかけは、友人である夜疋(やびき)しおんと、二人で下校していた時だった。突如見知らぬ連中に拉致され、その行き先が何故かしおんの自宅。そこで明かされるしおんの……いや、夜疋家の正体。そしてこの世界には、俺が知らなかった真実があることを知った時、再び神が俺の前に降臨し、すべての謎を紐解いてくれたのである。ここは……この世界は――――並行世界(パラレルワールド)だったのだ。

異世界の大賢者が僕に取り憑いた件

黄昏人
ファンタジー
中学1年生の僕の頭に、異世界の大賢者と自称する霊?が住み着いてしまった。彼は魔法文明が栄える世界で最も尊敬されていた人物だという。しかし、考えを共有する形になった僕は、深く広い知識は認めるけど彼がそんな高尚な人物には思えない。とは言え、偉人と言われた人々もそんなものかもしれないけどね。 僕は彼に鍛えられて、ぽっちゃりだった体は引き締まったし、勉強も含めて能力は上がっていったし、そして魔法を使えるようになった。だけど、重要なのはそこでなくて、魔法に目覚めるための“処方”であり、異世界で使っている魔道具なんだよ。 “処方”によって、人は賢くなる。そして、魔道具によって機械はずっと効率が良くなるんだ。例えば、発電所は電子を引き出す魔道具でいわば永久機関として働く。自動車は電気を動力として回転の魔道具で動くのだ。これを、賢くなった人々が作り、使うわけだから、地球上の温暖化とエネルギーの問題も解決するよね。 そして、日本がさらに世界の仕組みがどんどん変わっていくのだけど、その中心に大賢者が取り憑いた僕がいるんだよ。僕はもう少しのんびりしたいのだけどね。

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜

華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日  この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。  札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。  渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。  この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。  一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。  そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。 この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。 この作品はフィクションです。 実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。

処理中です...