2 / 11
第2章
「最後の一葉」
しおりを挟む
彼は優しい人だから、何も話してはくれないけれど、もう薄々解っている。
私にはあまり時間は残されてはいないことを・・・。
あの庭の葉っぱがすべて落ちるまで私は生きてはいられない。なぁ~んてね。
感傷的になるのは私の柄に合わないわね。
ポジティブに受け止めたりはできないけれど、残りの時間を大切にして過ごしたいと思うの。
ふたりでよく散歩したあの公園、しばらく行けてないなぁ。
あともう一度だけ、あの燃えさかる様に美しい紅葉の映える水面を見たかった。
あの人は憶えているかしら?
ううん、彼ならいつまでも忘れないだろう。
私がいなくなったら、きっと寂しがるだろうなぁ。
そりゃあ私だって彼に忘れてほしいだなんて言いたくない。
いつまでもいつまでも私の存在を憶えておいてほしい。
あなたと私が一緒に過ごした大切な時を思い出してほしい。
でもね、たとえ私がいなくなったとしても、あなたにはあなたの人生が続いていくのよ。
時を凍らせたまま、そこで立ち尽くして動けなくなってもらいたくはない。
あなたなりの新しい生き方を見つけて、自分自身の足でその道を歩いて先へと進んでほしいの。
私の死が、あなたの重荷になる様なことだけはいやだわ。
私とともに生きてよかった。
そう感じてもらいたい。
たまにふと私のことを思い出してくれたらいいな。
そんなことばかり考えていたら、ふと素敵な考えが頭をよぎった。
あなたとの思い出と、あなたへの想いを込めて、私がいなくなった後もあなたへ伝わる様に、この携帯に気持ちを託すわ。
長く寒ざむしい冬が終わり、あたたかい春がくるころには、愛するあなたの悲しみがどうか癒えますように・・・。
私にはあまり時間は残されてはいないことを・・・。
あの庭の葉っぱがすべて落ちるまで私は生きてはいられない。なぁ~んてね。
感傷的になるのは私の柄に合わないわね。
ポジティブに受け止めたりはできないけれど、残りの時間を大切にして過ごしたいと思うの。
ふたりでよく散歩したあの公園、しばらく行けてないなぁ。
あともう一度だけ、あの燃えさかる様に美しい紅葉の映える水面を見たかった。
あの人は憶えているかしら?
ううん、彼ならいつまでも忘れないだろう。
私がいなくなったら、きっと寂しがるだろうなぁ。
そりゃあ私だって彼に忘れてほしいだなんて言いたくない。
いつまでもいつまでも私の存在を憶えておいてほしい。
あなたと私が一緒に過ごした大切な時を思い出してほしい。
でもね、たとえ私がいなくなったとしても、あなたにはあなたの人生が続いていくのよ。
時を凍らせたまま、そこで立ち尽くして動けなくなってもらいたくはない。
あなたなりの新しい生き方を見つけて、自分自身の足でその道を歩いて先へと進んでほしいの。
私の死が、あなたの重荷になる様なことだけはいやだわ。
私とともに生きてよかった。
そう感じてもらいたい。
たまにふと私のことを思い出してくれたらいいな。
そんなことばかり考えていたら、ふと素敵な考えが頭をよぎった。
あなたとの思い出と、あなたへの想いを込めて、私がいなくなった後もあなたへ伝わる様に、この携帯に気持ちを託すわ。
長く寒ざむしい冬が終わり、あたたかい春がくるころには、愛するあなたの悲しみがどうか癒えますように・・・。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
妹の妊娠と未来への絆
アソビのココロ
恋愛
「私のお腹の中にはフレディ様の赤ちゃんがいるんです!」
オードリー・グリーンスパン侯爵令嬢は、美貌の貴公子として知られる侯爵令息フレディ・ヴァンデグリフトと婚約寸前だった。しかしオードリーの妹ビヴァリーがフレディと一夜をともにし、妊娠してしまう。よくできた令嬢と評価されているオードリーの下した裁定とは?
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる