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第19話 中華な植物を学ぼう!『漢詩花ごよみ』『中国の愛の花ことば』

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 毎日せっせと自作中華ファンタジーを投稿しております鷲生です。

※ 1回だけ拙作の宣伝を……。
 ↓
「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/161111112/878803039


 さて、では本題を……。
 このエッセイの前回で、鷲生は図書館の「一般件名」の「花(文学上)」で検索すれば、小説に登場する花を調べやすくなることに気づいたと書きました。

 今回はそうして見つけた『漢詩花ごよみ 百花譜で綴る名詩鑑賞』という本と、それから有名中華ファンタジーで参考文献に挙げられていた『中国の愛の花ことば』という本をご紹介したいと思います。

 まず、『漢詩花ごよみ』。
 書誌情報は以下の通りでです。

 渡部英喜『漢詩花ごよみ 百花譜で綴る名詩鑑賞』2017 亜紀書房 ISBN-10
 4750514950 ISBN-13 978-4750514956
(出版社のウェブサイトに紹介があります。亜紀書房『漢詩花ごよみ 百花譜で綴る名詩鑑賞』https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=801 )

 2200円の定価でも購入可能ですし、古本がもっと安い価格で出回っているようです。

 それぞれの花について植物学的な解説、漢詩、語句の注釈や日本語訳、そして漢詩の鑑賞のポイントが書かれています。

 漢詩に使われている漢字を見ているだけで、中華ファンタジーに使えそうな素敵な字面の漢字に出会えるかもしれませんw

 漢詩で使われている表現、その注釈を読むと表現の幅が広がりそうです。
 例えば柘榴の花についての漢詩に「流鶯」という漢字があり、注釈によると「枝に飛び移るコウライウグイス」という意味だそうです。小鳥が樹々を渡るときに「流れるように」という表現が使えるかもしれませんね。

 この詩の鑑賞のポイントでは「昼寝から目覚めるとけだるい気分になるものですが、高麗ウグイスの鳴き声に涼味を感じ取り、爽やかに絶句が結ばれています」とあります。
 そうかあ、鳥の高い鳴き声を入れると爽やかさを表現できるのかあ……と参考になりました。

 この本で取り上げられている花を列挙しておきます(多いですよ)。

 梅/水仙/菜の花/薇《ワラビ》/款冬《フキ》/苔/柳/木蓮/杏/桃/梔《クチナシ》/虞美人草《ヒナゲシ》/松/桜/羊躑躅《レンゲツツジ》/木瓜/梨/海棠《ハナカイドウ》/荷《ハス》/薔薇/牡丹/石榴《ザクロ》/葵《タチアオイ》/葭《ヨシ》/槐《エンジュ》/桑/茘枝《レイシ》/菱《ヒシ》/銀杏/梧桐《アオギリ》/漆/蓼《タデ》/桂花《モクセイ》/楓《カエデ》/楓《フウ》/柏《コノテガシワ》/蕎麦/葡萄/椒《サンショウ》/呉茱萸《カワハジカミ》/菊/大豆/栗/甘藷《サツマイモ》/枳《カラタチ》/茶の木/韮/枇杷/真竹/蓬/紅豆《コウトウ》

 著書の方は漢詩にお詳しく、漢詩への愛情が滲み出てきます。また、表紙裏のプロフィールによれば「訪中歴九十八回」だとか。
 1943年生まれでいらっしゃるそうですし、今よりも中国への訪問は難しかったのではないでしょうか。凄いですね!

 では次にもう一冊の『中国の愛の花ことば』を。

 この書籍は、篠原悠希さんの『金椛国春秋』シリーズの巻末の参考文献に挙げられていました。

 書誌情報は以下の通りです。

 中村公一『中国の愛の花ことば』 2002 草思社 ISBN-10 4794211686 ISBN-13 978-4794211682

 出版社のサイトでは内容紹介が無かったので、カーリルのURLを貼っておきます。ここから適宜ネット書店で内容をご確認くださいませ。
 ↓
https://calil.jp/book/4794211686

 こちらの本で取り上げられている植物は以下の通りです。

 梅/杏/柳/桃/牡丹/芍薬/薔薇《しょうび》/夜合花《ねむのき》/茉莉花/萱草《かんぞう》/蓮/葫蘆《ころ》/茘枝/梧桐/紅豆/石榴/柑橘/当帰《とうき》/木瓜/蘭/水仙/山茶/松柏《しょうはく》/菖蒲/茅《ちがや》/百合/芭蕉/山椒/秋海棠/檳榔《びんろう》/桂花/菊/栗/万年青《おもと》/並帝花《へいていか》

 こちらは一つの花について解説の分量が多くて勉強になります。

 もちろんその植物についての情報、挿絵、日本での位置づけなども書かれていますし、中国の神話や漢詩、史書などを紐解きながら中国の人々がその植物にどんな想いを寄せて来たのか説明されています(花ことばを花卉語というそうです)。

 特にこの本ではどのような場面にどのように贈答されたかという点に着目されています。
 ラブストーリーを描く上での参考になりそうですね!
(ただ、古代にプラトニックという考えはなく、多くの花が「種をたくさんつける」→「子授け」→「結婚」→「恋のお誘い」という意味合いを持つので、セクシュアルというかエロティックというかな話が多いかなあという気がしますw)。

 著者の中村公一さんは美術・いけばな関係の雑誌の編集長を務めてられた方だそうで、花について詳しい上に文章もとても読みやすいです。
 わりとページ数も多くて内容も豊富なので読むのに時間がかかるかなと思っていたのですが、ついついスルスルと短期間で読めてしまいました。

 中華ファンタジーに使えそうなとてもイイ本だと思うのですが、出版年が古いためか定価販売はありません。そして中古品が百円以下で手に入るようです。鷲生は図書館で借りてきましたが、手元にあっても良さそうなので購入しようかと思っています。

 



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