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武器を失ったドラゴン

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爪も牙も削がれたドラゴンは世の人を恨んで憎む。

復活の時まで人間を呪う。

呪われた人間は死ぬ前にドラゴンの元まで訪れて、魂を差し出す。

だが、ドラゴンも弱り果て、今の姿を維持することは難しくなっていた。

「次は生まれる時は人になってみたいものだ。人は何故、私たちを恐れるのだろうか。」

そう言って、ドラゴンは呪いをかけられた少女の前で塵になって消えてしまった。

「何で!待ってよ!呪いなんてない。あなたの目の前に来る人は困った人ばかりで、あなたは魔法でその人たちを遠い平和な国に送っただけなのに。」

「おお、少女がいたぞ!ドラゴンは死んでいったぞ!」

勇者たちは、そう言っていた。

あなたたちは何も知らない。

あの方が本当は優しい方なのに。

本当の呪いは人間同士の間で起こる苦しみということを。

ドラゴンは恐ろしい姿をしているけれども本当は…。

もう一度でいいからあの方と話をしてみたいな。

そして、少女は保護されたが決して幸せになることはなかった。

ある青年が現れるまで。

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