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古代遺跡の罠
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古代遺跡の中を歩いて行き、先ほどと同じような仕掛けをもう1つ突破すると、2階層からなる吹き抜けの広い空間に辿り着いた。
目測で縦50m、横20mほどの空間。
下層の地面には石造りの長机がいくつか設置されていた。
上層は下層の周りを囲むように通路が作られている。
その通路の横には各々部屋があった。
『ふむ、こんな場所があるとはな』
ファフニールは興味深そうに辺りを飛び回っていた。
「……すごいじゃない! これは大発見よ! まさかラスデアの古代遺跡にこんな空間があったなんて! この長机なんて生活していた跡よ! 凄いわ! もっと何か痕跡が残っていないかしら!?」
ユンは子供のように大はしゃぎだ。
『ノア、ちょっとこっちに来てみろ』
ファフニールが上層の部屋の前で俺を呼んだ。
部屋を覗いてみると、そこには人間のものと思われる骸骨が存在していた。
『古代種族の骸骨なのかな?』
『我に詳しいことは分からんが、ここで生活をしていたのは間違いないだろうな。あの女に見せてやるのが一番じゃないか?』
『そうだね』
俺は部屋から出て、
「ユン! 古代種族のものと思われる骸骨を発見した! こっちに来てくれ!」
「え? 嘘!?」
ユンは駆け足でこちらにやってきた。
「本当ね……ちゃんと分析してみないと分からないけど、ここで誰かが住んでいたってことは間違いないわね」
「屋敷まで運ぼうか?」
「そうね。とりあえず一旦、この骸骨を屋敷まで運びましょうか!」
「大丈夫。それに便利な魔法があるんだ。──《アイテムボックス》」
《アイテムボックス》に骸骨を放り込む。
これでいつでも取り出すことが出来る。
「消えちゃった!」
「大丈夫、いつでも取り出せるから」
「ちょっと便利すぎない!? だったらこの松明もそこに入れてもらおうかしら!?」
「入れると火は消えちゃうけど、それでも良いなら」
「火ぐらいまたつければいいわ! お願いするわね!」
「分かったよ」
ユンが持つ松明も《アイテムボックス》の中に収納した。
「ふぅ~、これで楽になったわね! ……というよりノアの能力が便利すぎてヤバいわ! 一家に一台ノアが欲しいわね」
「あはは、ありがとう?」
「しかし、そんな便利な魔法があるならどんどん遺跡の奥に進んでいけるわね! 張り切って行きましょう!」
下層の先には奥へと続く道があった。
更に奥へと進んでいく。
◇
遺跡は下層へ進んでいくようになっていた。
道中には様々な罠や仕掛けが沢山ある。
先程の生活空間を境に一気に危険度が増したように思える。
「ひいいいいぃぃぃっ!? 矢ァァッ!?」
『この矢はヤバいのだ! ノア、助けてくれ!』
「《魔力障壁》」
足を踏み入れただけで付呪魔法(エンチャント)がかかった強力な矢が放たれたり、
「ギャアアアァァァッ! 岩アアアァァァァッ!」
『ノア! この岩も魔力が込められておる! 我はこの遺跡内だと大きくなれん! なんとかしてくれ!』
「《魔力衝撃》」
突然、道に傾斜が出来て、その上から大きな岩石が転がってきたり、
「や、槍ぃ……」
『うむ。そうやってノアから先に行かせるのが安全だな』
何度も罠に引っかかっていたら流石に少しは学習する。
危なそうな場所は先に俺が行くことになった。
ちなみにこれは俺の提案。
ユンを出来るだけ危険な目に遭わせないことと、ユンを守らなくていいので魔力の節約が出来るからだ。
罠の数は尋常じゃないぐらいに多い。
今引っかかったような力技で突破出来そうなもの以外にも古代文字(ルーン)を読めなければ先に進めないものまであった。
部屋の中に閉じ込められ、部屋に水がいっぱいになるまでに謎解きをしなければいけなかったときは正直かなり焦った。
「それにしても何故これだけの罠が張り巡らされているのだろうね」
「単純に何かを守ってるんじゃない? これだけの罠、そうじゃないと仕掛ける訳ないだろうし」
「それってもしかして古代文明の秘宝だったりするのかな?」
「ふっふっふ、可能性は非常に高いわね!」
「おお、それは何としてでも最深部に辿り着きたいね!」
「ええ! 頼んだわよ! ノア! ノアがいないと私、生きていけないから!」
「全力を尽くすけど、いざとなったらみんなで逃げよう」
この古代遺跡、思っていた以上に手強い。
お手上げになったときのためにも《空間転移》出来るだけの魔力は残しておかないとな。
目測で縦50m、横20mほどの空間。
下層の地面には石造りの長机がいくつか設置されていた。
上層は下層の周りを囲むように通路が作られている。
その通路の横には各々部屋があった。
『ふむ、こんな場所があるとはな』
ファフニールは興味深そうに辺りを飛び回っていた。
「……すごいじゃない! これは大発見よ! まさかラスデアの古代遺跡にこんな空間があったなんて! この長机なんて生活していた跡よ! 凄いわ! もっと何か痕跡が残っていないかしら!?」
ユンは子供のように大はしゃぎだ。
『ノア、ちょっとこっちに来てみろ』
ファフニールが上層の部屋の前で俺を呼んだ。
部屋を覗いてみると、そこには人間のものと思われる骸骨が存在していた。
『古代種族の骸骨なのかな?』
『我に詳しいことは分からんが、ここで生活をしていたのは間違いないだろうな。あの女に見せてやるのが一番じゃないか?』
『そうだね』
俺は部屋から出て、
「ユン! 古代種族のものと思われる骸骨を発見した! こっちに来てくれ!」
「え? 嘘!?」
ユンは駆け足でこちらにやってきた。
「本当ね……ちゃんと分析してみないと分からないけど、ここで誰かが住んでいたってことは間違いないわね」
「屋敷まで運ぼうか?」
「そうね。とりあえず一旦、この骸骨を屋敷まで運びましょうか!」
「大丈夫。それに便利な魔法があるんだ。──《アイテムボックス》」
《アイテムボックス》に骸骨を放り込む。
これでいつでも取り出すことが出来る。
「消えちゃった!」
「大丈夫、いつでも取り出せるから」
「ちょっと便利すぎない!? だったらこの松明もそこに入れてもらおうかしら!?」
「入れると火は消えちゃうけど、それでも良いなら」
「火ぐらいまたつければいいわ! お願いするわね!」
「分かったよ」
ユンが持つ松明も《アイテムボックス》の中に収納した。
「ふぅ~、これで楽になったわね! ……というよりノアの能力が便利すぎてヤバいわ! 一家に一台ノアが欲しいわね」
「あはは、ありがとう?」
「しかし、そんな便利な魔法があるならどんどん遺跡の奥に進んでいけるわね! 張り切って行きましょう!」
下層の先には奥へと続く道があった。
更に奥へと進んでいく。
◇
遺跡は下層へ進んでいくようになっていた。
道中には様々な罠や仕掛けが沢山ある。
先程の生活空間を境に一気に危険度が増したように思える。
「ひいいいいぃぃぃっ!? 矢ァァッ!?」
『この矢はヤバいのだ! ノア、助けてくれ!』
「《魔力障壁》」
足を踏み入れただけで付呪魔法(エンチャント)がかかった強力な矢が放たれたり、
「ギャアアアァァァッ! 岩アアアァァァァッ!」
『ノア! この岩も魔力が込められておる! 我はこの遺跡内だと大きくなれん! なんとかしてくれ!』
「《魔力衝撃》」
突然、道に傾斜が出来て、その上から大きな岩石が転がってきたり、
「や、槍ぃ……」
『うむ。そうやってノアから先に行かせるのが安全だな』
何度も罠に引っかかっていたら流石に少しは学習する。
危なそうな場所は先に俺が行くことになった。
ちなみにこれは俺の提案。
ユンを出来るだけ危険な目に遭わせないことと、ユンを守らなくていいので魔力の節約が出来るからだ。
罠の数は尋常じゃないぐらいに多い。
今引っかかったような力技で突破出来そうなもの以外にも古代文字(ルーン)を読めなければ先に進めないものまであった。
部屋の中に閉じ込められ、部屋に水がいっぱいになるまでに謎解きをしなければいけなかったときは正直かなり焦った。
「それにしても何故これだけの罠が張り巡らされているのだろうね」
「単純に何かを守ってるんじゃない? これだけの罠、そうじゃないと仕掛ける訳ないだろうし」
「それってもしかして古代文明の秘宝だったりするのかな?」
「ふっふっふ、可能性は非常に高いわね!」
「おお、それは何としてでも最深部に辿り着きたいね!」
「ええ! 頼んだわよ! ノア! ノアがいないと私、生きていけないから!」
「全力を尽くすけど、いざとなったらみんなで逃げよう」
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お手上げになったときのためにも《空間転移》出来るだけの魔力は残しておかないとな。
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