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《素材探索》
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俺が手に取ったクエストはF級冒険者向けのクエストだ。
[薬草の採取依頼 目的:薬草10個の納品 推奨:F級 報酬金:銀貨4枚]
『む、宿代ぐらいしか稼げないではないか』
『まぁ最初はこんなもんじゃないかな?』
『せめてE級のクエストを受ければいいものを……』
『どうせならF級から受けてみたいよね』
『まぁその気持ちは分からんでもないな』
『それに冒険者は報酬金以外にもお金を稼ぐことは出来るから』
その一つとして、素材の買取があげられる。
先ほどの鑑定士が素材の査定をしているのだ。
才能の鑑定だけが仕事ではないということだ。
……そういえば、クエストは同時に何個まで受けることが出来るのだろう。
収穫クエストなんかは使えそうな魔法があるから、並行して進められそうに思う。
どうせなら1回の活動で何個もクエストを達成出来る方が良いよね。
クエストの依頼書を持って受付に向かった。
「こちらのクエストを受けたいんですけども」
「かしこまりました」
受付嬢はクエストの依頼書にプレートをかざした。
魔導具だろう。
プレートは赤い光を発して、依頼書を読み取っているようだった。
「はい、これでクエストの受注が完了しました。達成出来なかった場合は罰金が発生するのでご注意ください」
「分かりました。それから他にもクエストを受けたいなぁと思っているのですが、同時にいくつまでならクエストを受けることが出来ますか?」
「原則、複数のクエストを同時に受けることは出来ませんね。クエスト達成率が下がる原因にもなってしまいますので」
「なるほど、ありがとうございます。ではギルドで買い取っている素材で価値の高いものを教えて頂いてもよろしいですか?」
クエストを複数受けることが出来ないなら、買取を利用しようと考えた。
「そうですね……薬草の採取地域はここから東にある森になりますので、その辺りで取れるものとしては[万能草]や[マジカルハーブ]が希少価値は高いですね。どちらも銀貨30枚で買い取られています」
銀貨30枚!
報酬金を考えると結構な額だ。
「それ以外の素材も買取はされていますか?」
「はい。ただ買い取らない素材も勿論ありますので、その点はご理解ください」
「分かりました。ありがとうございます」
俺はペコリと頭を下げて、受付を離れる。
[万能草]と[マジカルハーブ]か。
余裕があれば探してみよう。
◇
薬草の採取地域であるルベループから東の森にやってきた。
『よしよし、我も薬草を探すぞ』
『ちょっと待ってね。その前に試してみたい古代魔法があるんだ』
『ほう。分かったぞ。待っていよう』
『ありがとう、ファフニール』
試してみたい古代魔法は、素材採取に便利なものだ。
魔導書を読んでいたとき、その実用性が書かれていたのだが、とても便利そうだった。
屋敷にいた頃に少しだけ使ってみたが、確かにこれは便利だと納得した覚えがある。
右手を前に伸ばして、詠唱する。
「《素材探索》」
これは右手の先から魔力の波動を流して、周囲の状況を確認する魔法だ。
目を閉じると、周囲の地形図が映し出されて、どこにどんな素材があるのか分かる。
この魔法の凄いところは、素材になるだけの価値があるものと無価値なものを選別してくれている点だ。
なので、情報を最小限に抑え、有用なものにしてくれている。
『また規格外のことをやっておるな』
『そんなことないよ。本当に規格外なのはこの魔法を考案した人物だよ』
『それもそうだが、使いこなせるノアも十分に規格外である』
『はは、お世辞でも嬉しいよ』
『お世辞などではないのだがなぁ……』
俺は全然規格外などなんかではない。
なにせアルデハイム家にあった古代魔導書は全て一人の人物が書き上げたものだからだ。
その人物はアルデハイム家初代当主ディーン・アルデハイム。
普通の人間では書けない量の情報をディーンは古代魔法によって、それを可能にした。
自動で考えていることを記す古代魔法を考案して、あれだけの量の古代魔導書を書き上げた。
規格外の天才とはディーンのことを言うのだろう。
俺はその血が少しでも流れていることを誇りに思った。
ま、そんなことより《素材探索》のおかげで薬草の採取場所は分かった。
それに銀貨30枚で買い取ってくれる[万能草]と[マジカルハーブ]の採取場所もね。
『ファフニール、薬草の採取場所が分かったよ』
『今の魔法でか……。うーむ、やりおる』
俺は走り出すと、ファフニールもそれについてきた。
しばらく森の中を走ると、1つ目の採取場所に到着。
周りに4個の薬草が生えていた。
それを採取し、先にある傾斜の激しい斜面を下る。
「《空歩》」
斜面を下る最中、空中で停止した。
この斜面でたくましく生えている万能草を俺は採取する。
『ふむ、絶好調だな』
『この調子でどんどん採取していくよ』
『ならば我は暇になるな……』
『あ、じゃあこういう地形の悪い場所の採取はファフニールに任せようかな』
『それは良いアイデアだな! 是非そうさせて貰うぞ!』
そして俺はファフニールと協力して昼頃まで素材を採取し続けた。
────────────────────
【採取したアイテム】
[薬草] 10個
[万能草] 5個
[マジカルハーブ] 5個
────────────────────
とりあえず、クエストを失敗すると罰金が発生するので達成報告をするためにもギルドへ戻った。
[薬草の採取依頼 目的:薬草10個の納品 推奨:F級 報酬金:銀貨4枚]
『む、宿代ぐらいしか稼げないではないか』
『まぁ最初はこんなもんじゃないかな?』
『せめてE級のクエストを受ければいいものを……』
『どうせならF級から受けてみたいよね』
『まぁその気持ちは分からんでもないな』
『それに冒険者は報酬金以外にもお金を稼ぐことは出来るから』
その一つとして、素材の買取があげられる。
先ほどの鑑定士が素材の査定をしているのだ。
才能の鑑定だけが仕事ではないということだ。
……そういえば、クエストは同時に何個まで受けることが出来るのだろう。
収穫クエストなんかは使えそうな魔法があるから、並行して進められそうに思う。
どうせなら1回の活動で何個もクエストを達成出来る方が良いよね。
クエストの依頼書を持って受付に向かった。
「こちらのクエストを受けたいんですけども」
「かしこまりました」
受付嬢はクエストの依頼書にプレートをかざした。
魔導具だろう。
プレートは赤い光を発して、依頼書を読み取っているようだった。
「はい、これでクエストの受注が完了しました。達成出来なかった場合は罰金が発生するのでご注意ください」
「分かりました。それから他にもクエストを受けたいなぁと思っているのですが、同時にいくつまでならクエストを受けることが出来ますか?」
「原則、複数のクエストを同時に受けることは出来ませんね。クエスト達成率が下がる原因にもなってしまいますので」
「なるほど、ありがとうございます。ではギルドで買い取っている素材で価値の高いものを教えて頂いてもよろしいですか?」
クエストを複数受けることが出来ないなら、買取を利用しようと考えた。
「そうですね……薬草の採取地域はここから東にある森になりますので、その辺りで取れるものとしては[万能草]や[マジカルハーブ]が希少価値は高いですね。どちらも銀貨30枚で買い取られています」
銀貨30枚!
報酬金を考えると結構な額だ。
「それ以外の素材も買取はされていますか?」
「はい。ただ買い取らない素材も勿論ありますので、その点はご理解ください」
「分かりました。ありがとうございます」
俺はペコリと頭を下げて、受付を離れる。
[万能草]と[マジカルハーブ]か。
余裕があれば探してみよう。
◇
薬草の採取地域であるルベループから東の森にやってきた。
『よしよし、我も薬草を探すぞ』
『ちょっと待ってね。その前に試してみたい古代魔法があるんだ』
『ほう。分かったぞ。待っていよう』
『ありがとう、ファフニール』
試してみたい古代魔法は、素材採取に便利なものだ。
魔導書を読んでいたとき、その実用性が書かれていたのだが、とても便利そうだった。
屋敷にいた頃に少しだけ使ってみたが、確かにこれは便利だと納得した覚えがある。
右手を前に伸ばして、詠唱する。
「《素材探索》」
これは右手の先から魔力の波動を流して、周囲の状況を確認する魔法だ。
目を閉じると、周囲の地形図が映し出されて、どこにどんな素材があるのか分かる。
この魔法の凄いところは、素材になるだけの価値があるものと無価値なものを選別してくれている点だ。
なので、情報を最小限に抑え、有用なものにしてくれている。
『また規格外のことをやっておるな』
『そんなことないよ。本当に規格外なのはこの魔法を考案した人物だよ』
『それもそうだが、使いこなせるノアも十分に規格外である』
『はは、お世辞でも嬉しいよ』
『お世辞などではないのだがなぁ……』
俺は全然規格外などなんかではない。
なにせアルデハイム家にあった古代魔導書は全て一人の人物が書き上げたものだからだ。
その人物はアルデハイム家初代当主ディーン・アルデハイム。
普通の人間では書けない量の情報をディーンは古代魔法によって、それを可能にした。
自動で考えていることを記す古代魔法を考案して、あれだけの量の古代魔導書を書き上げた。
規格外の天才とはディーンのことを言うのだろう。
俺はその血が少しでも流れていることを誇りに思った。
ま、そんなことより《素材探索》のおかげで薬草の採取場所は分かった。
それに銀貨30枚で買い取ってくれる[万能草]と[マジカルハーブ]の採取場所もね。
『ファフニール、薬草の採取場所が分かったよ』
『今の魔法でか……。うーむ、やりおる』
俺は走り出すと、ファフニールもそれについてきた。
しばらく森の中を走ると、1つ目の採取場所に到着。
周りに4個の薬草が生えていた。
それを採取し、先にある傾斜の激しい斜面を下る。
「《空歩》」
斜面を下る最中、空中で停止した。
この斜面でたくましく生えている万能草を俺は採取する。
『ふむ、絶好調だな』
『この調子でどんどん採取していくよ』
『ならば我は暇になるな……』
『あ、じゃあこういう地形の悪い場所の採取はファフニールに任せようかな』
『それは良いアイデアだな! 是非そうさせて貰うぞ!』
そして俺はファフニールと協力して昼頃まで素材を採取し続けた。
────────────────────
【採取したアイテム】
[薬草] 10個
[万能草] 5個
[マジカルハーブ] 5個
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とりあえず、クエストを失敗すると罰金が発生するので達成報告をするためにもギルドへ戻った。
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