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【翻訳】の冒険者
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セレナと楽しい食事を終えた後、俺は宿屋にやってきた。
セレナからオススメされた『宿り木亭』という宿屋だ。
宿泊費は1泊につき銀貨2枚。
長く滞在すれば安くなるようだったが、いつルベループを出て行くか未定のため、とりあえず1泊にしておいた。
そして翌日、俺は冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドは昨日と比べて人が少ない。
立派な武器や防具を纏った人たちが席で朝食を食べている。
少し早い時間に来たから人が少ないのかな?
中央にある受付の前には誰も人が並んでいない。
これならすぐに冒険者登録が出来るだろう。
受付には昨日とは違う受付嬢さんがいた。
昨日の人に俺は少し悪い印象を持たれていそうだったから丁度良かった。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「すみません、冒険者登録をしたいのですが」
「登録の前に冒険者の説明をいたしましょうか?」
「お願いします」
「かしこまりました」
冒険者については既にある程度知っているが、念のため確認にしておこう。
冒険者にはF、E、D、C、B、A、S、と等級があり、依頼などで実績を積むことで昇格していく。
S級の冒険者はラスデア王国の中でも12人しかいない実力者だ。
セレナはA級であるため、かなりの実力者である。
クエストは難易度が冒険者ギルドにより定められている。
等級に応じたクエストを受けることが推奨されている。
1つ上の等級のクエストまでなら受けることが出来る。
それ以上高いクエストは、ギルド職員、もしくは実績のある冒険者からの推薦があれば、受注を検討してもらえる。
だから場合によっては、受注出来ないこともあるというわけだ。
依頼料のうちの一割はギルドが徴収している。
クエストに書かれている報酬はギルドの取り分を引いた値段である。
クエストに失敗すると罰金が発生するので注意が必要。
といった説明を受付嬢にしてもらった。
「それから、そちらの子竜は従魔でしょうか?」
「ええ、そうですね」
「戦闘用の従魔でしたら、冒険者登録の際に情報を記入させて頂きますが、いかがでしょう?」
従魔は魔物であるため、ある程度戦闘力が高いものとされている。
なので、従魔と一緒に魔物と戦うということも戦い方の一つとして挙げられる。
ただ、それ以外にも戦闘をしない従魔というのもあり、それらはペット感覚で飼われている。
今回の場合はどうしようか。
俺はファフニールにチラッと視線をズラした。
『ノアよ、どうした?』
不思議そうにファフニールは呟いた。
……戦闘用の従魔にすれば、もしかするとファフニールであることがバレてしまうかもしれないな。
これは万が一を考えて、戦闘用ではないことを伝えた方が良いかもしれない。
まぁ俺が既に従魔にしているのだから、何も問題ないと思うのだが、念には念を入れておこう。
「戦闘用の従魔ではないので大丈夫です」
「かしこまりました。それでは冒険者登録をする前に才能の鑑定をさせて頂いてもよろしいでしょうか? 才能を鑑定することによって、その人物に応じたクエストを紹介しやすくなり、自分の能力に適したパーティに所属しやすくなります」
才能鑑定か……。
嫌な思い出だが、基本的に冒険者になる者はみんな鑑定してもらっているようだ。
鑑定料金をギルドが負担しているため、わざわざ受けないという人は基本的にいない。
「はい、お願いします」
「ありがとうございます。それではあちらの鑑定室に移動してもらってよろしいでしょうか?」
「分かりましたー」
受付の右にある鑑定室に移動した。
鑑定室には鑑定士が待機していた。
テーブルの上には紙とペンが用意されている。
紙には、名前、性別、年齢、種族、才能、といった項目が設けられていた。
どうやらこの紙の才能の部分に鑑定結果を記すようだ。
「初めまして、私は鑑定士のカールと申します。よろしくお願いいたします」
「俺はノアです。よろしくお願いします」
カールさんを眼鏡をかけた男性だ。
歳の頃は30代から40代で、優しい笑顔が印象的だった。
「それでは早速、才能の鑑定をさせて頂きますね。失礼いたします」
そう言って、鑑定士は俺の身体の前に手を置いた。
鑑定士の手がぽわっ、と淡く光る。
そしてしばらく経つと、光が徐々に消えていった。
鑑定士はテーブルの上に置いてある紙の才能の項目に【翻訳】と記した。
「ではこちらの紙を受付に持っていって、登録を完了させてください」
「はい、分かりました」
「それから才能についてなんですけど、正直【翻訳】という才能は珍しいです。なかなか重宝される才能だと思います。ですが……冒険者としてはあまり有用ではないので、他の仕事に就いた方が良いかもしれません」
「はは、そうかもしれませんね。ご忠告ありがとうございます」
紙を貰って、俺は受付に戻る。
『ふむ。ノアの魔法の才能は鑑定されないのだな』
『まぁ才能があるわけではないからね』
『何を言っておるのだ。ノアの魔法の才能はとんでもないものである。我と戦ったとき、あまり魔法を使っていなかったのであろう?』
『うん。宿屋で言った通りだよ』
ファフニールには昨日、宿屋で俺の生い立ちから今までのことをちゃんと話している。
『それで魔法の才能が無いわけないのである。古代魔法を使う際も魔力の操作はしっかりと行われていた。古代文字(ルーン)を理解しているだけでは確実に使いこなせる代物ではないぞ』
『過大評価じゃないかな……?』
『むぅ……ノアはどこまでも謙遜するヤツだな』
そう言われても仕方ない。
受付で鑑定士から貰った紙を見せると、受付嬢は目をパチパチと動かした。
「翻訳……えーっと、冒険者登録してしまって大丈夫ですか? もし冒険者登録を辞めるのなら、鑑定費で銀貨1枚頂くことになりますが……」
「大丈夫です。冒険者登録しますので」
「わ、分かりました。それでは残りの項目を記入してください。文字の読み書きは出来ますか?」
「はい。出来ますよ」
ペンを貸してもらい、残りの項目を記入する。
名前 ノア
性別 男
年齢 15
種族 人間族
よし、これで大丈夫だ。
「……はい、ありがとうございます。ギルドカードを発行しますので、少々お待ちください」
そしてしばらく待つと、ギルドカードを受付嬢から渡された。
「冒険者の身分を証明するためのギルドカードになります。ギルドカードにノア様の情報が登録されたので、ギルドの魔導具でクエスト状況の確認が出来ます。他の冒険者ギルドでも冒険者活動が可能ですので、ご安心ください」
「なるほど、ありがとうございます!」
「いえいえ、登録した当初はF級からのスタートになりますので、クエストを受ける際はF級、E級に向けたものか確認してくださいね」
「分かりました」
これで冒険者登録が完了した。
よーし、早速クエストを引き受けてみよう!
クエストが掲載されている掲示板を見てみる。
F級、E級クエストは掲示板の端のほうに張り出されていた。
『まずどのクエストを受けるのだ?』
『そうだな……』
お、これとかいいんじゃないかな?
俺は1枚のクエスト依頼書を手に取った。
セレナからオススメされた『宿り木亭』という宿屋だ。
宿泊費は1泊につき銀貨2枚。
長く滞在すれば安くなるようだったが、いつルベループを出て行くか未定のため、とりあえず1泊にしておいた。
そして翌日、俺は冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドは昨日と比べて人が少ない。
立派な武器や防具を纏った人たちが席で朝食を食べている。
少し早い時間に来たから人が少ないのかな?
中央にある受付の前には誰も人が並んでいない。
これならすぐに冒険者登録が出来るだろう。
受付には昨日とは違う受付嬢さんがいた。
昨日の人に俺は少し悪い印象を持たれていそうだったから丁度良かった。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「すみません、冒険者登録をしたいのですが」
「登録の前に冒険者の説明をいたしましょうか?」
「お願いします」
「かしこまりました」
冒険者については既にある程度知っているが、念のため確認にしておこう。
冒険者にはF、E、D、C、B、A、S、と等級があり、依頼などで実績を積むことで昇格していく。
S級の冒険者はラスデア王国の中でも12人しかいない実力者だ。
セレナはA級であるため、かなりの実力者である。
クエストは難易度が冒険者ギルドにより定められている。
等級に応じたクエストを受けることが推奨されている。
1つ上の等級のクエストまでなら受けることが出来る。
それ以上高いクエストは、ギルド職員、もしくは実績のある冒険者からの推薦があれば、受注を検討してもらえる。
だから場合によっては、受注出来ないこともあるというわけだ。
依頼料のうちの一割はギルドが徴収している。
クエストに書かれている報酬はギルドの取り分を引いた値段である。
クエストに失敗すると罰金が発生するので注意が必要。
といった説明を受付嬢にしてもらった。
「それから、そちらの子竜は従魔でしょうか?」
「ええ、そうですね」
「戦闘用の従魔でしたら、冒険者登録の際に情報を記入させて頂きますが、いかがでしょう?」
従魔は魔物であるため、ある程度戦闘力が高いものとされている。
なので、従魔と一緒に魔物と戦うということも戦い方の一つとして挙げられる。
ただ、それ以外にも戦闘をしない従魔というのもあり、それらはペット感覚で飼われている。
今回の場合はどうしようか。
俺はファフニールにチラッと視線をズラした。
『ノアよ、どうした?』
不思議そうにファフニールは呟いた。
……戦闘用の従魔にすれば、もしかするとファフニールであることがバレてしまうかもしれないな。
これは万が一を考えて、戦闘用ではないことを伝えた方が良いかもしれない。
まぁ俺が既に従魔にしているのだから、何も問題ないと思うのだが、念には念を入れておこう。
「戦闘用の従魔ではないので大丈夫です」
「かしこまりました。それでは冒険者登録をする前に才能の鑑定をさせて頂いてもよろしいでしょうか? 才能を鑑定することによって、その人物に応じたクエストを紹介しやすくなり、自分の能力に適したパーティに所属しやすくなります」
才能鑑定か……。
嫌な思い出だが、基本的に冒険者になる者はみんな鑑定してもらっているようだ。
鑑定料金をギルドが負担しているため、わざわざ受けないという人は基本的にいない。
「はい、お願いします」
「ありがとうございます。それではあちらの鑑定室に移動してもらってよろしいでしょうか?」
「分かりましたー」
受付の右にある鑑定室に移動した。
鑑定室には鑑定士が待機していた。
テーブルの上には紙とペンが用意されている。
紙には、名前、性別、年齢、種族、才能、といった項目が設けられていた。
どうやらこの紙の才能の部分に鑑定結果を記すようだ。
「初めまして、私は鑑定士のカールと申します。よろしくお願いいたします」
「俺はノアです。よろしくお願いします」
カールさんを眼鏡をかけた男性だ。
歳の頃は30代から40代で、優しい笑顔が印象的だった。
「それでは早速、才能の鑑定をさせて頂きますね。失礼いたします」
そう言って、鑑定士は俺の身体の前に手を置いた。
鑑定士の手がぽわっ、と淡く光る。
そしてしばらく経つと、光が徐々に消えていった。
鑑定士はテーブルの上に置いてある紙の才能の項目に【翻訳】と記した。
「ではこちらの紙を受付に持っていって、登録を完了させてください」
「はい、分かりました」
「それから才能についてなんですけど、正直【翻訳】という才能は珍しいです。なかなか重宝される才能だと思います。ですが……冒険者としてはあまり有用ではないので、他の仕事に就いた方が良いかもしれません」
「はは、そうかもしれませんね。ご忠告ありがとうございます」
紙を貰って、俺は受付に戻る。
『ふむ。ノアの魔法の才能は鑑定されないのだな』
『まぁ才能があるわけではないからね』
『何を言っておるのだ。ノアの魔法の才能はとんでもないものである。我と戦ったとき、あまり魔法を使っていなかったのであろう?』
『うん。宿屋で言った通りだよ』
ファフニールには昨日、宿屋で俺の生い立ちから今までのことをちゃんと話している。
『それで魔法の才能が無いわけないのである。古代魔法を使う際も魔力の操作はしっかりと行われていた。古代文字(ルーン)を理解しているだけでは確実に使いこなせる代物ではないぞ』
『過大評価じゃないかな……?』
『むぅ……ノアはどこまでも謙遜するヤツだな』
そう言われても仕方ない。
受付で鑑定士から貰った紙を見せると、受付嬢は目をパチパチと動かした。
「翻訳……えーっと、冒険者登録してしまって大丈夫ですか? もし冒険者登録を辞めるのなら、鑑定費で銀貨1枚頂くことになりますが……」
「大丈夫です。冒険者登録しますので」
「わ、分かりました。それでは残りの項目を記入してください。文字の読み書きは出来ますか?」
「はい。出来ますよ」
ペンを貸してもらい、残りの項目を記入する。
名前 ノア
性別 男
年齢 15
種族 人間族
よし、これで大丈夫だ。
「……はい、ありがとうございます。ギルドカードを発行しますので、少々お待ちください」
そしてしばらく待つと、ギルドカードを受付嬢から渡された。
「冒険者の身分を証明するためのギルドカードになります。ギルドカードにノア様の情報が登録されたので、ギルドの魔導具でクエスト状況の確認が出来ます。他の冒険者ギルドでも冒険者活動が可能ですので、ご安心ください」
「なるほど、ありがとうございます!」
「いえいえ、登録した当初はF級からのスタートになりますので、クエストを受ける際はF級、E級に向けたものか確認してくださいね」
「分かりました」
これで冒険者登録が完了した。
よーし、早速クエストを引き受けてみよう!
クエストが掲載されている掲示板を見てみる。
F級、E級クエストは掲示板の端のほうに張り出されていた。
『まずどのクエストを受けるのだ?』
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