だれも錬金術を知らない世界で、転生した錬金術師は無双する 〜使えないと思っていた才能が、実は錬金術に最適だった件について〜

14話 領民にアイスを振る舞う

アイスを思った以上に作ってしまったな。

「「「じーっ……」」」

領民達がじーっとこちらを見ている。
開拓作業は思った以上に疲れる。
あの昼食だけでは足りないだろう。
それに甘いものを食べれば、頑張ろうという気になってくれるはずだ。

「皆さんもぜひ食べてみてください！」

そう言うと、

「そ、そんな。ケミスト様、それは恐れ多いですよ……」

サムが耳打ちをした。
確かに領民全員に振る舞っていたらシルフィの食べる分も無くなってしまうかもしれない。

「それじゃあもっと沢山作りましょう！　ミルクを持ってきてください！」

「えっ、いいんですか！？」

「はい。すぐ作れるので大丈夫ですよ」

「よーしお前ら！　今すぐミルク持ってこい！」

「「「うおおおおおおおおおおおおおお！」」」



◇



そしてアイスを作って領民に振る舞った。

「つめてー！　それに甘くてうめー！」

「ケミスト様最高だぜ！」

領民達はみな笑いながら喜んでくれた。

「うぅ……美味しい……」

「うますぎて涙が出てくる……」

「おぉ……ケミスト様……」

中には涙を流して喜ぶ人もいたぐらいだ。

「ケミストは優しいんだね」

シルフィが言った。

「そんなことない。俺はいつも頑張ってくれている皆に少しでも恩返ししたいだけだ」

「それが優しいってことよ。ケミストなら良い領主様になるだろうね」

ふふっ、とシルフィが笑った。