19 / 25
19話 召喚魔法
しおりを挟む
畑の南側にフェンリルが支配する森がある。
魔物がやってくるとすれば、その方角からだろう。
「ここに一つ小屋を建てても大丈夫ですか?」
俺は困っていた農家の男性に尋ねた。
「え、ああ、農作業の邪魔にならなきゃ全然構わないが……」
「アルマは小屋なんか建てたことあるのか?」
ラウルが言った。
「勿論あるよ。でもまぁ今回建てるのは本当に簡易的なものだけどね」
前世では全て自分の力だけで生きていかなくてはいけなかった。
ここよりもはるかに過酷な環境で拠点も無しに生活していくのは自殺行為だ。
「へぇ~、意外だな。あんなに凄い魔法ばっかり使うんだから魔法の勉強しかしてないのかと思ってたぜ」
「中々楽しそうですね! 私、手伝いますよ!」
「へへっ、当たり前だけど俺も手伝うぜ」
「……私も手伝う」
サーニャ、ラウル、ソニアが快く手伝いを申し出てきた。
「三人共ありがとう。でも今回は気持ちだけ頂いておくよ」
「なんだよ水くせーな。これぐらい気にしなくてもいいんだぜ」
「まぁ見ててよ。──【サモン・ドリアード】」
召喚魔法【サモン・ドリアード】は木の下位精霊ドリアードを召喚する魔法だ。
俺が詠唱すると、眩い光と共に、100cm程の小柄な少女の姿をした精霊が現れた。
緑の髪と樹木のような身体は、木の精霊という名に相応しい。
[ 名 前 ] ドリアード
[ レベル ] 20
[ 魔 力 ] 300
[ 攻撃力 ] 300
[ 防御力 ] 400
[ 持久力 ] 300
[ 俊敏力 ] 200
「……す、すげぇ。なんか出てきたぞ⁉︎」
「これは召喚魔法……⁉︎ まさかアルマさんは《召喚士》のギフトを授かったのですか⁉︎」
「流石アルマ、ずるい」
三人の反応に俺は苦笑いを浮かべた。
この時代だと召喚魔法は《召喚士》にしか扱えないものだと思われている。
それは魔法を学んでいた俺としても既知の情報だ。
だが、そんなことは一切なく努力さえすれば取得することは可能だ。
前世の俺が実証済みだからな。
ギフトは便利だが、ギフトの力に頼りすぎると人は努力を怠るようになるのかもしれないな、と俺はそんなことを思った。
そして俺はドリアードに向き直る。
「ドリアード、小屋を建てるための木材が必要なんだ。君の力で集めてくれないかい?」
そう言うと、ドリアードはウンウン、と首を横に振った。
下位の精霊は言葉を発することが出来ない。
だから、このように身振り手振りで答えてくれる。
「あーそうか、運搬役がいないと厳しいか」
ドリアードはコクン、と頷いた。
「じゃあ──【サモン・シルフ】」
ドリアードと大きさの変わらない妖精が現れた。
背中のトンボのような薄い二対の翅で空中を飛んでいる。
これが風の下位精霊シルフだ。
[ 名 前 ] シルフ
[ レベル ] 20
[ 魔 力 ] 400
[ 攻撃力 ] 200
[ 防御力 ] 200
[ 持久力 ] 300
[ 俊敏力 ] 400
「シルフはドリアードが作った木材をここまで運んできてもらえるか? これでドリアードも大丈夫だよな?」
シルフとドリアードはコクリ、と頷いた。
ドリアードとシルフは森の方へ飛んでいき、しばらくすると加工された木材の山を運んできてくれた。
精霊の行動の代価は召喚者の魔力だ。
魔力の量が桁違いな俺と召喚魔法は中々相性が良い。
俺はドリアードとシルフに魔力を与えると、二人は満足そうに消えていった。
「よし、次は──【サモン・ノーム】」
次に召喚したのは土の下位精霊ノーム。
大きさは先ほどの二人と変わらない。
下位精霊はみんなこれぐらいの大きさをしている。
[ 名 前 ] ノーム
[ レベル ] 20
[ 魔 力 ] 200
[ 攻撃力 ] 400
[ 防御力 ] 400
[ 持久力 ] 300
[ 俊敏力 ] 200
ノームはとんがり帽子をかぶっていて、白い髭を生やしており、老人のような見た目をしている。
どことなく職人のような雰囲気が感じられる。
ノームは手先が器用で何かを作ることにおいては、精霊の中でも随一だ。
「ノーム、この木材を使って小屋を建ててくれないか? もし石材が必要なら、自分で調達して欲しい」
そう頼むと、ノームはコクリ、と頷いた。
そして1時間もしないうちに小屋が完成したのだった。
……その間、俺に大量の質問が寄せられたのは言うまでもない。
しかし、これで悩みはほぼ解決したも同然だ。
何を隠そう、この小屋は魔物のためのものだ。
召喚した精霊達のように魔物達にも仕事を手伝ってもらおう。
そうすれば悩みが解決するだけでなく、農作業の効率はきっと上昇するはずだ。
魔物がやってくるとすれば、その方角からだろう。
「ここに一つ小屋を建てても大丈夫ですか?」
俺は困っていた農家の男性に尋ねた。
「え、ああ、農作業の邪魔にならなきゃ全然構わないが……」
「アルマは小屋なんか建てたことあるのか?」
ラウルが言った。
「勿論あるよ。でもまぁ今回建てるのは本当に簡易的なものだけどね」
前世では全て自分の力だけで生きていかなくてはいけなかった。
ここよりもはるかに過酷な環境で拠点も無しに生活していくのは自殺行為だ。
「へぇ~、意外だな。あんなに凄い魔法ばっかり使うんだから魔法の勉強しかしてないのかと思ってたぜ」
「中々楽しそうですね! 私、手伝いますよ!」
「へへっ、当たり前だけど俺も手伝うぜ」
「……私も手伝う」
サーニャ、ラウル、ソニアが快く手伝いを申し出てきた。
「三人共ありがとう。でも今回は気持ちだけ頂いておくよ」
「なんだよ水くせーな。これぐらい気にしなくてもいいんだぜ」
「まぁ見ててよ。──【サモン・ドリアード】」
召喚魔法【サモン・ドリアード】は木の下位精霊ドリアードを召喚する魔法だ。
俺が詠唱すると、眩い光と共に、100cm程の小柄な少女の姿をした精霊が現れた。
緑の髪と樹木のような身体は、木の精霊という名に相応しい。
[ 名 前 ] ドリアード
[ レベル ] 20
[ 魔 力 ] 300
[ 攻撃力 ] 300
[ 防御力 ] 400
[ 持久力 ] 300
[ 俊敏力 ] 200
「……す、すげぇ。なんか出てきたぞ⁉︎」
「これは召喚魔法……⁉︎ まさかアルマさんは《召喚士》のギフトを授かったのですか⁉︎」
「流石アルマ、ずるい」
三人の反応に俺は苦笑いを浮かべた。
この時代だと召喚魔法は《召喚士》にしか扱えないものだと思われている。
それは魔法を学んでいた俺としても既知の情報だ。
だが、そんなことは一切なく努力さえすれば取得することは可能だ。
前世の俺が実証済みだからな。
ギフトは便利だが、ギフトの力に頼りすぎると人は努力を怠るようになるのかもしれないな、と俺はそんなことを思った。
そして俺はドリアードに向き直る。
「ドリアード、小屋を建てるための木材が必要なんだ。君の力で集めてくれないかい?」
そう言うと、ドリアードはウンウン、と首を横に振った。
下位の精霊は言葉を発することが出来ない。
だから、このように身振り手振りで答えてくれる。
「あーそうか、運搬役がいないと厳しいか」
ドリアードはコクン、と頷いた。
「じゃあ──【サモン・シルフ】」
ドリアードと大きさの変わらない妖精が現れた。
背中のトンボのような薄い二対の翅で空中を飛んでいる。
これが風の下位精霊シルフだ。
[ 名 前 ] シルフ
[ レベル ] 20
[ 魔 力 ] 400
[ 攻撃力 ] 200
[ 防御力 ] 200
[ 持久力 ] 300
[ 俊敏力 ] 400
「シルフはドリアードが作った木材をここまで運んできてもらえるか? これでドリアードも大丈夫だよな?」
シルフとドリアードはコクリ、と頷いた。
ドリアードとシルフは森の方へ飛んでいき、しばらくすると加工された木材の山を運んできてくれた。
精霊の行動の代価は召喚者の魔力だ。
魔力の量が桁違いな俺と召喚魔法は中々相性が良い。
俺はドリアードとシルフに魔力を与えると、二人は満足そうに消えていった。
「よし、次は──【サモン・ノーム】」
次に召喚したのは土の下位精霊ノーム。
大きさは先ほどの二人と変わらない。
下位精霊はみんなこれぐらいの大きさをしている。
[ 名 前 ] ノーム
[ レベル ] 20
[ 魔 力 ] 200
[ 攻撃力 ] 400
[ 防御力 ] 400
[ 持久力 ] 300
[ 俊敏力 ] 200
ノームはとんがり帽子をかぶっていて、白い髭を生やしており、老人のような見た目をしている。
どことなく職人のような雰囲気が感じられる。
ノームは手先が器用で何かを作ることにおいては、精霊の中でも随一だ。
「ノーム、この木材を使って小屋を建ててくれないか? もし石材が必要なら、自分で調達して欲しい」
そう頼むと、ノームはコクリ、と頷いた。
そして1時間もしないうちに小屋が完成したのだった。
……その間、俺に大量の質問が寄せられたのは言うまでもない。
しかし、これで悩みはほぼ解決したも同然だ。
何を隠そう、この小屋は魔物のためのものだ。
召喚した精霊達のように魔物達にも仕事を手伝ってもらおう。
そうすれば悩みが解決するだけでなく、農作業の効率はきっと上昇するはずだ。
4
お気に入りに追加
4,540
あなたにおすすめの小説
異世界巻き込まれ転移譚~無能の烙印押されましたが、勇者の力持ってます~
影茸
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれ異世界に転移することになった僕、羽島翔。
けれども相手の不手際で異世界に転移することになったにも関わらず、僕は巻き込まれた無能と罵られ勇者に嘲笑され、城から追い出されることになる。
けれども僕の人生は、巻き込まれたはずなのに勇者の力を使えることに気づいたその瞬間大きく変わり始める。
無才印の大聖女 〜聖印が歪だからと無能判定されたけど、実は規格外の実力者〜
Josse.T
ファンタジー
子爵令嬢のイナビル=ラピアクタは聖印判定の儀式にて、回復魔法が全く使えるようにならない「無才印」持ちと判定されてしまう。
しかし実はその「無才印」こそ、伝説の大聖女の生まれ変わりの証であった。
彼女は普通(前世基準)に聖女の力を振るっている内に周囲の度肝を抜いていき、果てはこの世界の常識までも覆し——
性格が悪くても辺境開拓できますうぅ!
エノキスルメ
ファンタジー
ノエイン・アールクヴィストは性格がひねくれている。
大貴族の妾の子として生まれ、成人するとともに辺境の領地と底辺爵位を押しつけられて実家との縁を切られた彼は考えた。
あのクソ親のように卑劣で空虚な人間にはなりたくないと。
たくさんの愛に包まれた幸福な人生を送りたいと。
そのためにノエインは決意した。誰もが褒め称える理想的な領主貴族になろうと。
領民から愛されるために、領民を愛し慈しもう。
隣人領主たちと友好を結び、共存共栄を目指し、自身の幸福のために利用しよう。
これはちょっぴり歪んだ気質を持つ青年が、自分なりに幸福になろうと人生を進む物語。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載させていただいています
『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……
Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。
優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。
そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。
しかしこの時は誰も予想していなかった。
この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを……
アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを……
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?
名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」
「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」
「それは貴様が無能だからだ!」
「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」
「黙れ、とっととここから消えるがいい!」
それは突然の出来事だった。
SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。
そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。
「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」
「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」
「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」
ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。
その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。
「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」
おばあちゃん(28)は自由ですヨ
七瀬美緒
ファンタジー
異世界召喚されちゃったあたし、梅木里子(28)。
その場には王子らしき人も居たけれど、その他大勢と共にもう一人の召喚者ばかりに話し掛け、あたしの事は無視。
どうしろっていうのよ……とか考えていたら、あたしに気付いた王子らしき人は、あたしの事を鼻で笑い。
「おまけのババアは引っ込んでろ」
そんな暴言と共に足蹴にされ、あたしは切れた。
その途端、響く悲鳴。
突然、年寄りになった王子らしき人。
そして気付く。
あれ、あたし……おばあちゃんになってない!?
ちょっと待ってよ! あたし、28歳だよ!?
魔法というものがあり、魔力が最も充実している年齢で老化が一時的に止まるという、謎な法則のある世界。
召喚の魔法陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるという呪が込められていた事から、おばあちゃんな姿で召喚されてしまった。
普通の人間は、年を取ると力が弱くなるのに、里子は逆。年を重ねれば重ねるほど力が強大になっていくチートだった――けど、本人は知らず。
自分を召喚した国が酷かったものだからとっとと出て行き(迷惑料をしっかり頂く)
元の姿に戻る為、元の世界に帰る為。
外見・おばあちゃんな性格のよろしくない最強主人公が自由気ままに旅をする。
※気分で書いているので、1話1話の長短がバラバラです。
※基本的に主人公、性格よくないです。言葉遣いも余りよろしくないです。(これ重要)
※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。
※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる