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5話 遺産がとんでもなかった
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レベル以外のステータスは引き継がれた。
ギフト《転生者》の能力は15歳になったとき、前世の能力と記憶を引き継がれるというもの。
つまり、レベルは能力に含まれないのか?
「そうか……レベルは考え方によっては能力の成長具合と見ることも出来るのか」
レベルが上がると、能力は上昇する。
この関係が成立するのならば、確かにレベルは能力には含まれないのかもしれない。
あくまで俺がたどり着いた仮説でしかない。
ただ、実際にレベルが引き継がれてないことを考えると、あながち間違ってはいないのかも。
「じゃあ、やっぱり更に強くなることも可能って訳だな。ま、強くなることは前世で散々やったし、優先順位は低いけどなぁ」
フェローズ家を追い出された今、モンスターを倒す機会は以前よりも頻繁に訪れるはずだ
レベル1なら適当に生活しているだけでレベルは上がっていくだろう。
「それじゃあ次は──アイテムボックスっ!」
空間魔法【アイテムボックス】を唱えた。
これは異次元に自分だけの空間を作成し、アイテムを収納する魔法だ。
収納スペースは、自分の魔力によって変化する。
俺の魔力は結構多いほうだったので、前世はとりあえず困ったらアイテムボックスに収納していた。
アイテムボックスを唱えると、鑑定のときと同じように透明の板が現れた。
[竜神の剣]×1
[海王神の槍]×1
[不死鳥の弓]×1
[冥界王の鎌]×1
・
・
・
あ、前世にぶち込んでたものがそのまま入ってるようだ。
こうして見返すと、とんでもないものがいっぱい入っている。
「ん? それなら金銭問題は簡単に解決できそうだな」
透明の板をポチポチと触り、収納されているジャンルを《装備》から《素材》に変更する。
[竜王の牙]×5
[暗黒牛鬼の角]×23
[不死鳥の羽根]×8
[子鬼帝王の爪]×12
・
・
・
結構価値の高い素材は多そうだ。
明日、アイテムボックスに入っている素材を冒険者ギルドにでも売りに行こうかな。
そうすれば、いくらか金にはなるだろう。
「ふぅ、ひとまず金銭面に心配は無くなったな」
悩みの種が無くなった俺は、宿屋のベッドでぐっすりと眠りについたのだった。
◇
翌朝、俺は冒険者ギルドにやってきた。
実は前世で冒険者ギルドを利用したことはない。
理由は単純明快で強くなるのに必要だと思わなかったからだ。
冒険者ギルドで活動する時間を全部レベル上げや、自己鍛錬に回せばいいだけのこと。
俺は効率なんて考えずに一度目の人生すべてを注ぎ込んで強くなればいい、と考えていたから出来ただけかもしれない。
冒険者ギルドの扉を開けると、ざわざわと賑やかな雰囲気だった。
うーん、どこで素材を買い取ってもらえるんだろう。
受付のカウンターには冒険者が何人か並んでいる。
質問するためだけに並ぶのもなんか気が引けるな。
他の冒険者に迷惑になりそうだ。
あ、そうだ。
だったらここを利用している冒険者にどこで素材を買い取ってもらえるか聞けばいいだけじゃないか。
冒険者ギルドには食堂がある。
そこへ行って、俺は休憩している茶髪の男性冒険者に声をかけることにした。
見た目からして俺とあまり歳が変わらない。
ギフトをもらったばかりの駆け出し冒険者なんじゃないだろうか。
「すみません、ちょっとお尋ねしたいことがあるんですけど、大丈夫ですか?」
「ああ、いいぜ」
快く返事をしてくれた。
「魔物の素材ってどこで買い取ってくれますかね?」
「それならあそこのカウンターだよ。しかしなんだ、冒険者ギルドの利用は初めてか?」
「はい、そうですね」
「ほー、じゃあお前もこれから駆け出しの冒険者になるわけだ」
「それはどうでしょう。魔物の素材が買い取ってもらえればお金には当分困らないと思うので、出来ることならファーミリア王国を目指そうと思っているんですよね」
「なるほどな。良い考えだと思うぜ。この商業都市はあまり冒険者ギルドの規模は大きくない割にみんな冒険者になりたがる。だから変なカースト制度みたいなのがあってよ、あんまり居心地はよくねえんだ」
「じゃあ駆け出しの冒険者って結構立場がよくなかったり……?」
「そうなんだよ~。俺もそれで色々苦労してんだよなぁ。だからお前が冒険者になるって言い出してたら必死に止めるところだったぜ」
この人……めっちゃ良い人だ……。
「優しいんですね。えーっと、名前は……」
「俺はラウル。よろしくな!」
「アルマです。よろしくお願いします」
うーん、貴族のときの喋り方が抜けないなぁ~。
ラウルの喋り方を見習って、もうちょっとフレンドリーに接していきたいな。
「よし、じゃあ早速アルマの持ってる素材を買い取ってもらいに行こうぜ。これも何かの縁だし、ついて行ってやるよ」
「おおー! それはめちゃくちゃ助かります!」
「へへっ、良いってことよ」
そして俺たちは魔物の素材を買い取ってもらうために、カウンターの前に出来ている冒険者の列に並ぶのだった。
素材買い取りはいくらになってもらうだろうか……。
うーむ、こんなことならフェローズ家にいた頃にもう少し色々と勉強しておくべきだった。
そんな余裕は無かったかもしれないけど。
それに前世も人と関わることなく、強くなることだけに集中していたからなぁ。
まったく、困ったもんだ。
さて、俺の勘だとたぶん[竜眼]や[火竜の爪]とか[火竜の鱗]はあんまり希少価値は高くないと思っている。
だから俺みたいな奴でも売りに行くのは不自然じゃないと思うんだよな。
……うん、きっと大丈夫でしょう!
ギフト《転生者》の能力は15歳になったとき、前世の能力と記憶を引き継がれるというもの。
つまり、レベルは能力に含まれないのか?
「そうか……レベルは考え方によっては能力の成長具合と見ることも出来るのか」
レベルが上がると、能力は上昇する。
この関係が成立するのならば、確かにレベルは能力には含まれないのかもしれない。
あくまで俺がたどり着いた仮説でしかない。
ただ、実際にレベルが引き継がれてないことを考えると、あながち間違ってはいないのかも。
「じゃあ、やっぱり更に強くなることも可能って訳だな。ま、強くなることは前世で散々やったし、優先順位は低いけどなぁ」
フェローズ家を追い出された今、モンスターを倒す機会は以前よりも頻繁に訪れるはずだ
レベル1なら適当に生活しているだけでレベルは上がっていくだろう。
「それじゃあ次は──アイテムボックスっ!」
空間魔法【アイテムボックス】を唱えた。
これは異次元に自分だけの空間を作成し、アイテムを収納する魔法だ。
収納スペースは、自分の魔力によって変化する。
俺の魔力は結構多いほうだったので、前世はとりあえず困ったらアイテムボックスに収納していた。
アイテムボックスを唱えると、鑑定のときと同じように透明の板が現れた。
[竜神の剣]×1
[海王神の槍]×1
[不死鳥の弓]×1
[冥界王の鎌]×1
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あ、前世にぶち込んでたものがそのまま入ってるようだ。
こうして見返すと、とんでもないものがいっぱい入っている。
「ん? それなら金銭問題は簡単に解決できそうだな」
透明の板をポチポチと触り、収納されているジャンルを《装備》から《素材》に変更する。
[竜王の牙]×5
[暗黒牛鬼の角]×23
[不死鳥の羽根]×8
[子鬼帝王の爪]×12
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結構価値の高い素材は多そうだ。
明日、アイテムボックスに入っている素材を冒険者ギルドにでも売りに行こうかな。
そうすれば、いくらか金にはなるだろう。
「ふぅ、ひとまず金銭面に心配は無くなったな」
悩みの種が無くなった俺は、宿屋のベッドでぐっすりと眠りについたのだった。
◇
翌朝、俺は冒険者ギルドにやってきた。
実は前世で冒険者ギルドを利用したことはない。
理由は単純明快で強くなるのに必要だと思わなかったからだ。
冒険者ギルドで活動する時間を全部レベル上げや、自己鍛錬に回せばいいだけのこと。
俺は効率なんて考えずに一度目の人生すべてを注ぎ込んで強くなればいい、と考えていたから出来ただけかもしれない。
冒険者ギルドの扉を開けると、ざわざわと賑やかな雰囲気だった。
うーん、どこで素材を買い取ってもらえるんだろう。
受付のカウンターには冒険者が何人か並んでいる。
質問するためだけに並ぶのもなんか気が引けるな。
他の冒険者に迷惑になりそうだ。
あ、そうだ。
だったらここを利用している冒険者にどこで素材を買い取ってもらえるか聞けばいいだけじゃないか。
冒険者ギルドには食堂がある。
そこへ行って、俺は休憩している茶髪の男性冒険者に声をかけることにした。
見た目からして俺とあまり歳が変わらない。
ギフトをもらったばかりの駆け出し冒険者なんじゃないだろうか。
「すみません、ちょっとお尋ねしたいことがあるんですけど、大丈夫ですか?」
「ああ、いいぜ」
快く返事をしてくれた。
「魔物の素材ってどこで買い取ってくれますかね?」
「それならあそこのカウンターだよ。しかしなんだ、冒険者ギルドの利用は初めてか?」
「はい、そうですね」
「ほー、じゃあお前もこれから駆け出しの冒険者になるわけだ」
「それはどうでしょう。魔物の素材が買い取ってもらえればお金には当分困らないと思うので、出来ることならファーミリア王国を目指そうと思っているんですよね」
「なるほどな。良い考えだと思うぜ。この商業都市はあまり冒険者ギルドの規模は大きくない割にみんな冒険者になりたがる。だから変なカースト制度みたいなのがあってよ、あんまり居心地はよくねえんだ」
「じゃあ駆け出しの冒険者って結構立場がよくなかったり……?」
「そうなんだよ~。俺もそれで色々苦労してんだよなぁ。だからお前が冒険者になるって言い出してたら必死に止めるところだったぜ」
この人……めっちゃ良い人だ……。
「優しいんですね。えーっと、名前は……」
「俺はラウル。よろしくな!」
「アルマです。よろしくお願いします」
うーん、貴族のときの喋り方が抜けないなぁ~。
ラウルの喋り方を見習って、もうちょっとフレンドリーに接していきたいな。
「よし、じゃあ早速アルマの持ってる素材を買い取ってもらいに行こうぜ。これも何かの縁だし、ついて行ってやるよ」
「おおー! それはめちゃくちゃ助かります!」
「へへっ、良いってことよ」
そして俺たちは魔物の素材を買い取ってもらうために、カウンターの前に出来ている冒険者の列に並ぶのだった。
素材買い取りはいくらになってもらうだろうか……。
うーむ、こんなことならフェローズ家にいた頃にもう少し色々と勉強しておくべきだった。
そんな余裕は無かったかもしれないけど。
それに前世も人と関わることなく、強くなることだけに集中していたからなぁ。
まったく、困ったもんだ。
さて、俺の勘だとたぶん[竜眼]や[火竜の爪]とか[火竜の鱗]はあんまり希少価値は高くないと思っている。
だから俺みたいな奴でも売りに行くのは不自然じゃないと思うんだよな。
……うん、きっと大丈夫でしょう!
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