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元々、困っている人は放っておけない性格だった。
小さい頃は輪に入りたそうにしているのに入れない人を誘ったりして、逆に他のやつらに空気読めよと俺がハブられたこともある。
そういうことをされる度に、あぁこいつらは俺の友達じゃなかったんだなとガッカリした。俺は俺が正しいと信じている行動をしただけだから。
それでも俺は他人に期待することを、距離を詰めることを恐れたりはしなかった。あいつはそうだったかもしれないけど、こいつは違うかもしれないだろ。
過去にそういった俺の行為を偽善者となじりつけられたことがあるのをふと思い出す。
みつきの今の状況を鑑みれば、偽善者と言われてももう否定しようがなかった。
そう。みつきが拒んでいたのにも関わらず積極的に関わりに行っていたのは、言ってしまえば自己満足だったのかもしれない。
誰かに助けて欲しそうで、でも誰にも手を伸ばせない、消極的なその手を取ってあげたかった。一度見つけてしまえば、見て見ぬ振りなんて出来るはずもなく。
話しかける度に、最初は無表情だったみつきがだんだんと崩れていって、心を開いていてくれてるんだって実感して嬉しかった。
初めてありがとうとお礼を言った時の笑顔に不思議とドキッとした。暗くなるまで夢中に絵を描いている真剣な横顔にドキッとした。一緒に帰って、コンビニに寄って、肉まん食べて、意外と話が合うんだなってドキッとした。
もっと仲良くなりたい、みつきのことを知りたいと思うようになった。
…………結果は散々。
余計に彼の孤独を加速させる運びになった。
なんとか他のやつらに見つからないように、謝りに行くとみつきはずっと俺のせいじゃないと連呼してくれた。誰がどう見たって百人中百人が俺のせいだと言うだろう。
気を遣わせたいわけじゃない。ただの自己満足に付き合わせてしまったみつきに謝りたかった、結局それも俺の自己満足。
百一人目としてフォローしてくれたみつきに、俺は怒鳴りつけて友情に蹴りをつけてしまった。
小さい頃は輪に入りたそうにしているのに入れない人を誘ったりして、逆に他のやつらに空気読めよと俺がハブられたこともある。
そういうことをされる度に、あぁこいつらは俺の友達じゃなかったんだなとガッカリした。俺は俺が正しいと信じている行動をしただけだから。
それでも俺は他人に期待することを、距離を詰めることを恐れたりはしなかった。あいつはそうだったかもしれないけど、こいつは違うかもしれないだろ。
過去にそういった俺の行為を偽善者となじりつけられたことがあるのをふと思い出す。
みつきの今の状況を鑑みれば、偽善者と言われてももう否定しようがなかった。
そう。みつきが拒んでいたのにも関わらず積極的に関わりに行っていたのは、言ってしまえば自己満足だったのかもしれない。
誰かに助けて欲しそうで、でも誰にも手を伸ばせない、消極的なその手を取ってあげたかった。一度見つけてしまえば、見て見ぬ振りなんて出来るはずもなく。
話しかける度に、最初は無表情だったみつきがだんだんと崩れていって、心を開いていてくれてるんだって実感して嬉しかった。
初めてありがとうとお礼を言った時の笑顔に不思議とドキッとした。暗くなるまで夢中に絵を描いている真剣な横顔にドキッとした。一緒に帰って、コンビニに寄って、肉まん食べて、意外と話が合うんだなってドキッとした。
もっと仲良くなりたい、みつきのことを知りたいと思うようになった。
…………結果は散々。
余計に彼の孤独を加速させる運びになった。
なんとか他のやつらに見つからないように、謝りに行くとみつきはずっと俺のせいじゃないと連呼してくれた。誰がどう見たって百人中百人が俺のせいだと言うだろう。
気を遣わせたいわけじゃない。ただの自己満足に付き合わせてしまったみつきに謝りたかった、結局それも俺の自己満足。
百一人目としてフォローしてくれたみつきに、俺は怒鳴りつけて友情に蹴りをつけてしまった。
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