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第3話 勇者1
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転生前に20歳だったソウタが、近所の女の子から「あーそーぼー」と誘われて、ソウタの家の庭でおままごとをしていた。
ソウタは、小学生まではそれなりに友達もいたし、幼児となら緊張せず普通に接する事が出来る。
子供に合わせて遊んであげてる感覚だ。お母さんが用事があって出掛ける事があり、保育所的な感じで遊んでいる。
女の子の名前はナナミだ。ソウタより一つ歳が下。
「ただいまぁ」
自宅へ帰るお父さんの演技のソウタ。
「あなた、お帰りなさい。あら、お願いしていた食材は買って来なかったのね。夕飯を作るのに一品少なくなるわよ」
お母さんの演技のナナミ。
「買い物しようと町まで出掛けたが、財布を忘れてしまった様だ。愉快だろう。みんなも小犬も笑ってたよー」
(ルールルルルー♪ 今日も良い天気ー……♪)
心の中で歌い出すソウタ。
「ナニソレ?」
不思議そうな顔のナナミ。
その時、ソウタはイヤな感じがして、背後を見ると、隣の家との仕切りの塀の隙間からジッとこちらを見ている奴がいた。
(勇者だ! 確か俺と同じ年で、名前はユウキだったかな?)
「ユウキくん、そんなところで見ていないで、こっちに来たらどうだい。一緒におままごとをしようぜ」
ソウタはユウキに呼びかけた。
この世界では同じ年齢とはいえ、転生前は20歳だったソウタは、勇者ユウキを幼児としか認識出来ない。
「はぁ? てめぇ、何で上から目線なんだぁ。俺を舐めてんのかぁ」
木剣を右手に持ってソウタの家の庭に入って来た勇者ユウキ。
(随分態度が悪いなぁ。このガキ)
「まあ、良いじゃないか。それより俺達を見てた様だけど、おままごとに交ざりたいんじゃないの?」
「誰がそんな女の遊びをするかぁ! お前も男なら剣の練習をしろ」
(青い猫型ロボットのマンガに出て来る、ジャイ〇ンの隠れ趣味も、おままごとなんだけどなぁ)
「剣の練習はやりたくないなぁ。戦うのは苦手なんだ。何よりも今はナナミと遊んでいるしね」
「はぁ? そんなガキ放っておけよ! 俺が特別に剣の使い方を教えてやる」
ユウキは俺に木剣を一つ投げてきた。
「だから、やらないってば」
ソウタは木剣をキャッチするが、直ぐにユウキに投げ返した。
ソウタとユウキのやり取りを見ていたナナミが、ソウタとユウキの間に割り込んできた。
「ちょっとぉ、アタシがソウタと遊んでいるんだから邪魔をしないでよ」
「はぁ? 退け!」
「きゃあ!」
ユウキはナナミの肩を押すと、ナナミは倒れた。
「えーん、えーん」
泣き出すナナミ。
「うるせい!」
ユウキはナナミに向かって木剣を振り上げた。
「危ない!」
ソウタは透かさずナナミを庇って前に出た。
ガツン!
ユウキの木剣がソウタの額に当たり、ソウタの額が割れ血が飛び散って倒れた。
「ちっ、寸止めだったのに、急に出て来るから当たっちまったじゃねぇか。俺は悪くねえからな。NPCの癖に生意気なんだよ。」
ソウタは薄れ行く意識の中で、ユウキの捨て台詞を聞いた。
「ソウタ! 大丈夫? しっかりしてぇ。えーん、えーん」
泣きながらソウタを抱き締めるナナミ、顔をしかめて自分の家に戻るユウキ。
ソウタは、小学生まではそれなりに友達もいたし、幼児となら緊張せず普通に接する事が出来る。
子供に合わせて遊んであげてる感覚だ。お母さんが用事があって出掛ける事があり、保育所的な感じで遊んでいる。
女の子の名前はナナミだ。ソウタより一つ歳が下。
「ただいまぁ」
自宅へ帰るお父さんの演技のソウタ。
「あなた、お帰りなさい。あら、お願いしていた食材は買って来なかったのね。夕飯を作るのに一品少なくなるわよ」
お母さんの演技のナナミ。
「買い物しようと町まで出掛けたが、財布を忘れてしまった様だ。愉快だろう。みんなも小犬も笑ってたよー」
(ルールルルルー♪ 今日も良い天気ー……♪)
心の中で歌い出すソウタ。
「ナニソレ?」
不思議そうな顔のナナミ。
その時、ソウタはイヤな感じがして、背後を見ると、隣の家との仕切りの塀の隙間からジッとこちらを見ている奴がいた。
(勇者だ! 確か俺と同じ年で、名前はユウキだったかな?)
「ユウキくん、そんなところで見ていないで、こっちに来たらどうだい。一緒におままごとをしようぜ」
ソウタはユウキに呼びかけた。
この世界では同じ年齢とはいえ、転生前は20歳だったソウタは、勇者ユウキを幼児としか認識出来ない。
「はぁ? てめぇ、何で上から目線なんだぁ。俺を舐めてんのかぁ」
木剣を右手に持ってソウタの家の庭に入って来た勇者ユウキ。
(随分態度が悪いなぁ。このガキ)
「まあ、良いじゃないか。それより俺達を見てた様だけど、おままごとに交ざりたいんじゃないの?」
「誰がそんな女の遊びをするかぁ! お前も男なら剣の練習をしろ」
(青い猫型ロボットのマンガに出て来る、ジャイ〇ンの隠れ趣味も、おままごとなんだけどなぁ)
「剣の練習はやりたくないなぁ。戦うのは苦手なんだ。何よりも今はナナミと遊んでいるしね」
「はぁ? そんなガキ放っておけよ! 俺が特別に剣の使い方を教えてやる」
ユウキは俺に木剣を一つ投げてきた。
「だから、やらないってば」
ソウタは木剣をキャッチするが、直ぐにユウキに投げ返した。
ソウタとユウキのやり取りを見ていたナナミが、ソウタとユウキの間に割り込んできた。
「ちょっとぉ、アタシがソウタと遊んでいるんだから邪魔をしないでよ」
「はぁ? 退け!」
「きゃあ!」
ユウキはナナミの肩を押すと、ナナミは倒れた。
「えーん、えーん」
泣き出すナナミ。
「うるせい!」
ユウキはナナミに向かって木剣を振り上げた。
「危ない!」
ソウタは透かさずナナミを庇って前に出た。
ガツン!
ユウキの木剣がソウタの額に当たり、ソウタの額が割れ血が飛び散って倒れた。
「ちっ、寸止めだったのに、急に出て来るから当たっちまったじゃねぇか。俺は悪くねえからな。NPCの癖に生意気なんだよ。」
ソウタは薄れ行く意識の中で、ユウキの捨て台詞を聞いた。
「ソウタ! 大丈夫? しっかりしてぇ。えーん、えーん」
泣きながらソウタを抱き締めるナナミ、顔をしかめて自分の家に戻るユウキ。
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