上 下
21 / 50

第21話 公爵の騎士達

しおりを挟む
コボルト達を助けた俺は、馬車に戻った。

「タクミ様、有難う御座いましたワン。」
コボルトのコウキが抱きついて来た。

「よしよし。」
コウキの頭を撫でる。

でも、何も下調べ無しにコボルト達を解放したので、人間の商人や冒険者が悪者だとは、限らないんだよなぁ。

その上金貨も奪っちゃったし・・・。

コボルト達を捕まえたのは、別人の可能もあるし、コボルト達をただ運んでた可能性だってある。

所謂、善意の第三者かも・・・。

まあ、俺はやりたい様にやるって決めたからいいか。

悪者上等だ。

結局後ろめたいので、前を走る馬車と擦れ違わない様に、迂回して進む事にしたあたりは、俺ってつくづく小心者だと思った。

さて、目的地はフカクオ公爵領最大の都市ナキガサ。

既に公爵領に入って走っているが、まだ先の様だ。

公爵の全財産を奪取して出国するのだ。

暫く馬車が走ると・・・。

「タクミ様、前方より大勢の人が来ますワン。」

「ん?人?」

「人間だワン。」

「何だろ?」

馬に乗った十数人の騎士隊が、此方に向かってきた。

「そこの馬車止まれ!」

騎士隊は俺達の馬車を取り囲んだ。
聖騎士リンは、馬車を止める。

リンとコウキは御者席から降りて、俺とジジイも馬車から降りた。

「公爵の騎士隊ですな。」
ジジイが耳元で囁く。

「どう言った用件でしょうか?」
一応丁寧に尋ねてみた。

「お前等は聖騎士リンとその仲間で相違ないか。」
騎士のリーダーがリンに話し掛けた。

「相違御座いません。」
リンが答える。

「良し、連行する。手を出せ。」

「おいおい、何の罪で連行するんだよ!」
俺は思わず声を荒げてしまう。

「つべこべ言うな。」
騎士がいきなり殴り掛かって来た。

リンが左手から盾を出して、受け流す。
「タクミ様に何をする!」

リンは短槍を出して構え、コウキとジジイもナイフを出して構えた。

俺は素手で構える。
魔王の手甲はつねに装備している。

「ほう、抵抗するのか、やむを得ないな。」
騎士はニヤッと笑って剣を抜き構える。

それを合図に騎士達は一斉に武器を抜き構えた。

「はは~ん。成る程、俺達が公爵の全財産を受け取る前に、殺そうって言う腹づもりか。俺達が武器を構えるのも想定通りって訳だ。」

「ふん。たかが騎士爵風情が公爵を敵に回して、無事でいられると思うなよ。」

騎士は剣の尖端をリンに向ける。

「その武器も防具も公爵からの貸与品だろう。だったら俺の物だな。全て貰おう。」

「はあ、何、馬鹿な事をぬかしてる!
かかれええええ!」

騎士達は一斉に踏み込む。

俺は時を止めた。

雷の杖で全員気絶させる。
全員で16人、3分と掛からない。
時間が短いとMPの減りも少ないのだ。

時を動かす。

騎士達は一斉に倒れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...